こんにちは。神山しずくプロジェクトの渡邉です。今年は湿度も高く、よく降りますね。雨のさなかや雨後に見られる山の靄(もや)、幻想的でけっこう好きです。この水蒸気は、吸いすぎた水分を樹木がはき出しているものだと最近知りました。動かない木々の生態を少しでも見てとれるようになって、なんだか嬉しかったりします。
さて、今回はこの7月を境に、さまざま企画している神山しずくプロジェクト10周年記念事業のウラ側についてお話したいと思います。
「どんな経緯で」「なぜその選択に至ったのか」。いつも応援してくださるみなさんには、丁寧にお伝えしたい。そう思って書いてみました。ぜひご覧ください。
Topics
・なんで10周年イベントが勉強会なの?!
・うっかり定石は踏んでいる
・「わかりやすさ」との葛藤と「しずくらしさ」
・できるうちにできる限りのことを
なんで10周年イベントが勉強会なの?!
おかげさまでこの7月で10周年を迎えた神山しずくプロジェクト。代表挨拶からはじまり、たて続けに告知された周年記念事業の中身はなんと、、
オープン型「生物多様性から学ぶ、暮らしのオンライン学舎」
クローズド型「昔の暮らしと、森に想いを寄せる勉強会」
という学びの会。
しかも、とにもかくにも生物多様性。「一体なに?」「どしたん?!」という声が聞こえてこないわけではありません…。
10年間の感謝とこれからめざす先をお伝えするために、さまざまな角度から考え思考を重ね、長い時間をかけて準備をしてきました。
その末で、勉強会としたのは「知ることからすべてが始まる」という、しずくプロジェクトがスタートしたほんとの最初のきっかけだからです。
正直なところ、都会育ちの代表が、なんにも知らずに人工林を「緑豊かな山だ~!」と勘違いしなかったら神山に移住してこなかった。そこから住んでみて「実は違った…‼︎」と自分の認識を改めるきっかけがなければ、問題と向き合うこともなかった。
だからこそ、すべての始まりは「知ること・誰かと共有すること」だと考え、今回はそれをみなさんとともに実行したいと決めたのです。
うっかり定石は踏んでいる
「しずくさんはいつもいい感じですごいですね!」このふんわりとしたお褒めの言葉はきっと美しいデザイン、整ったクリエイティブ、見せ方にとことんこだわっていることに対する賛辞なのだと大変ありがたく受け取っています。
私たちの活動自体は、それはもう失敗だらけで時間もかかり、応援してくださる方々の温かいご理解のもとで、なんとかやってこられているのが現状です。
ふり返れば、SHIZQパンフレットの初稿版は、立ち上げの想いをぎゅーっっと込めこみ過ぎて過積載。読み手目線に立ち返り、大幅に改訂して今の形に着地…。
しずくストア開店時にもSHIZQの食器を使ってほしくてカフェ機能を、とメニュー開発までしていた始末。こちらも応援してくれる人に喜んでもらえる仕掛けとは?と考え直し、オーナーズラウンジへと仕切り直し…。
今回の周年事業も、新商品開発やお客さまプレゼントなど…ごく自然に思いつく企画から考えはじめました。続けていくには、コツコツ販売していくことも根本的に必要です。
自立した事業にするために小さな経済の歯車をまわす。杉でそのサイクルを取り戻す。これも外せない大きな柱なのですから。
「しずくらしさ」とは
商品開発やプレゼント企画など、こちらも目下、準備中ではあるんです。でも、そちらよりまず優先させた勉強会。タナボタ企画ではありますが、廣瀬のしずく立ち上げまでの想いも先立って公開させていただきました。
正直どちらも「どんな反応があるだろう…」と、恐るおそる出したところもあるのですが、うれしい反応をいただくことも多く、少しでも何かは伝わっているのかなと感じられています。
見せ方や伝え方にこだわる一方で、常に悩ましいのが「わかりやすさ」との葛藤です。わかりやすさは味方でありながら、敵にもなり得る扱いにくさを持っています。
時に分かりやすさを手放してでも本質を見つめ続ける、向き合い続けることが、しずくとしての矜持だと今は思います。
手間のかかる工程で2年もかけて1つのプロダクトを生み出す。それもチームのほとんどが元素人。これは多分、結構変わっているのだと思います。
でも、だからできることにフォーカスして、愚直に何度でもやり直す。失敗しても再チャレンジする。やり続ける。
その先にしか未来はないと10年かかって解ってきました。
できるうちにできる限りのことを
10年。私たちにも、みなさんにもさまざまなことがありました。
永遠はありません。伝統工芸に携わり、いわゆる限界集落に住まうことで、その実感が日ごとに増しています。
一ヶ月休業を毎年いただき、時間の区切り・有限さを肌感覚として感じられるようにもなってきました。
時間は、ありそうでないもののようです。
今の私たちができることを、できる限りお届けするためにこの10周年事業を企画しました。みなさんの応援があって存在し続けられたこの時間。渾身の企画だけを、ここから少しずつでもみなさんに手渡していきたいと思っています。
ぜひよければ受け取ってください。
そして、一緒に次の10年にすすみましょう。
「知ること・誰かと共有すること」がすべてのはじまりだと私たちは信じています。