しずく特集の動画がご覧いただけます

フォーカス徳島でしずくプロジェクトの特集

四国放送「フォーカス徳島」のフォーカスアラカルトにて、SHIZQ特集をしていただきました。

昨年10周年を迎えた、神山しずくプロジェクト。水源涵養力を育む環境改善ワークショップや、来月発売を控えた神山杉の枝葉のリフレッシュアロマまで、幅広くご紹介いただきました。

約6分の動画です、ぜひご覧くださいね。

リンク先の四国放送サイトよりご覧いただけます!

フォーカス徳島でしずくプロジェクトの特集

 

 

 

【杉の削りくずが鶏のベッドに!】「阿波すだち鶏」を育てる阿部養鶏場さんへ訪問したはなし

阿波すだち鶏

こんにちは、神山しずくプロジェクトです。

夏の日差しが徐々に柔らぎ、ここ神山は秋の気配が漂いはじめております。

 

突然ですが、みなさんは阿波すだち鶏」をご存知ですか?

阿波すだち鶏

Ishii Foods Special Movie

 

「阿波すだち鶏」とは、イシイフーズが飼育・販売を行っている「特別飼育鶏」のこと。イシイフーズさん(以下敬称略)といえば、「神山鶏」ブランドでも有名ですね。

「阿波すだち鶏」は、飼育中に抗生物質・抗菌剤を使用せず、すだち果皮などをブレンドした混合飼料を与え大事に育てられた鶏で、ブロイラー特有の臭みがなく、ジューシーでさっぱりとした味わいが特徴です。

 

じつはこの「阿波すだち鶏」、しずくと意外な繋がりがあったりします。

なんと、杉の器を作るときに出る削りくずを、「阿波すだち鶏」を飼育する養鶏場さんで活用いただいているのです。

今回は、実際に削りくずを使ってくださっている神山町の「阿部養鶏場」さんへ訪問した時のはなしをみなさまにお届けします。

 

鶏のベッドになる杉の削りくず

 

そもそも、なぜ杉の削りくずを養鶏場で活用いただくことになったかを説明しますね。

しずくでは、活動当初から大事にしていることがあります。

それは、1本の杉を余すことなく活用すること。

しずく杉の活用方法

【ひとつの命を余すことなく】木を一本丸ごと使うということ。

 

しずくでは、杉を伐採して器やアロマ製品を作っていますが、「木の命をなるべく大事に使いたい」という想いから、様々な活用方法を見出してきました。

 

例えばろくろ職人がコップを作るときに、生まれる削りくず。

この削りくずは2014年のオンラインストア販売開始当初から、商品発送の緩衝材に使っています。

さらに、ふるいにかけた後の細かなものは養鶏場に引き取ってもらい、鶏のベッドとして活用いただいているのです。

その引取先が阿部養鶏場さん。今月初旬、削りくずのお渡しも兼ねて、阿部さんのところへ訪問してきました。

 

 

「阿波すだち鶏」が育つところ

 

神山町では、イシイフーズの契約農家として「阿波すだち鶏」を飼育する養鶏場がいくつかあります。阿部養鶏場さんもその1つ。

846坪という広大な敷地に、全8棟の鶏舎があります。ここで徹底した管理体制のもと「阿波すだち鶏」の飼育を行い、年間約17万羽の鶏をイシイフーズに出荷しているそうです。

阿部養鶏場

のどかな山間にある阿部養鶏場

抗生物質・抗菌剤投与を行わない養鶏では、いかに鶏が病気にかからないようにするかが鍵となります。

鶏舎にやってくる雛は卵から孵ったばかりで、体重は40g前後ほど。少しの気温の変化も命取りになります。阿部養鶏場では、鶏舎に削りくずを敷き詰めたり、設備の調整を行って、雛たちが快適に過ごせるよう環境を整えています。

鶏のベッドとなる木くずですが、養鶏場全体で使う量はかなり多く、普段は定期的に業者から購入しているそうです。しずくの削りくずはわずかですが、このような形で活用いただけることが、何よりもありがたいです。

養鶏場の木くず

鶏舎で使用している木くず

 

「阿波すだち鶏」から考える食の安全

 

一般的な養鶏では、病気予防のために抗生物質・抗菌剤投与を行います。その目的は、一度に多くの鶏を効率的に育てるためですが、この生産性を重視した方法はある種の問題を引き起こすことになりました。(引用元_鶏の一般的な飼育方法

それは、「薬剤耐性菌(=薬が効かない菌)」の出現です。

この薬剤耐性菌が含まれる鶏肉を食べると、免疫力が低い人などは、病気にかかった時に抗生物質が効かなくなる恐れがあるそうです。(引用元_ 薬効かない菌、鶏肉の半数から検出

現代社会の食を支える畜産業には、このような現実があるのです。

そのようななか、イシイフーズでは、平成元年より抗生物質・抗菌剤を使用しない鶏の飼育法の研究を開始しました。自社で開発した混合飼料「イシイミックス」を鶏に与えることで、鶏の腸内に善玉菌が増え、免疫力が高まり、病気にかかりにくくなるそうです。(引用元_イシイフーズの取り組み

他社に先駆けて食の安全を追求してきた企業が徳島にあるなんて、とても素晴らしいと感じます。

食肉のなかでも、比較的購入しやすい「鶏肉」。

ふだん何気なく口にする食べ物が、どのような過程を経て私たちの身の一部となるのか、色々と考えさせられる機会となりました。

余談にはなりますが、数年前イシイフーズさんが商品パッケージやパンフレット、ホームページや企業ロゴなど会社全体のリブランディングに取り組まれた際に、しずくプロジェクトの運営元であるキネトスコープ社がお手伝いをさせていただいた経緯があります。その際にも、本物の価値を長年にわたり提供しつづける地元企業さんの存在に感動したことを、今でも強く覚えています。

それから時間が経ち、しずくとして偶然にも阿部養鶏さんとのご縁がつながったことも、とても感慨深く感じています

阿部養鶏場の悟さんとお母さん

養鶏家の阿部悟さんとお母さま

今回、お話をしてくださった阿部悟さんとお母さま。

普段なかなか知ることのできない養鶏というお仕事に触れる貴重な機会となりました。命と向き合い、「阿波すだち鶏」の飼育に尽力する阿部さんのところで、しずくの削りくずを活用いただけていることを本当に嬉しく思います。暑いなかお邪魔したにもかかわらず、ありがとうございました!これからもよろしくお願いします。

 

養鶏家直伝「阿波すだち鶏」の美味しい食べ方とは?

 

今回、阿部養鶏場のお母さまに「阿波すだち鶏」の美味しい食べ方について伺ったところ、「ささみの唐揚げ」を教えてくださいました!

こちらの料理、阿部家でも定番のメニューだそうです。

まず「阿波すだち鶏」のささみ肉を一口サイズに切り、醤油、砂糖、擦りおろし生姜を入れたタレに漬け込んだ後、唐揚げ粉をまぶして油で揚げるというもの。

阿波すだち鶏の唐揚げ

旬の神山すだちを添えて

ポイントは、鶏肉のタレにたっぷりと生姜を入れること。

生姜が唐揚げの脂っこさを軽減し、鶏肉のさっぱりした味わいを引き出してくれます。

興味のある方は、ぜひ試してみてくださいね。

 

「阿波すだち鶏」はどこで手に入る?

 

ここまで読んで「食べてみたい!」と思った方向けに、取扱い場所をまとめてみました。

 

神山町では、ミートショップたかはしで購入することができます。また、石井町の阿波食ミュージアムや応神町の喜多野安心市さんほか、徳島県内のいくつかのお肉屋さんでも取扱いがありますよ。

徳島県外ですと、関西・中部地方などの一部のイトーヨーカドーでも販売されているそう。

 

関東方面で購入できる場所は現状なさそうですが、上勝ビールの東京店である「RISE & WIN Brewing Co. KAMIKATZ TAPROOM」で、阿波すだち鶏を使った料理が楽しめるそうですよ!

より詳しく取扱店をご覧になりたい方はこちら→イシイフーズHP

 

さて、だんだんとお腹が空いてくる内容になってきましたが、、笑

「阿波すだち鶏」としずくの意外な繋がり、いかがでしたでしょうか?

「阿波すだち鶏」から見えてくる食の安心・安全、養鶏家という命を扱う仕事の大変さ、この現場を支える阿部さんには頭が上がりません。

微力ではありますが、これからもしずくとして阿部さんの取り組みを応援できればと思います。

 

【9月開催募集!】水源涵養力を育む環境改善ワークショップ Vol.2

坂田マサコさんの環境改善ワークショップイン神山町

坂田マサコさんの環境改善ワークショップイン神山町

神山の古民家環境改善

② 山際の「しがら」作り

「しがら」とは、生木の杭や枝、落ち葉を使った伝統工法であり、降った雨がゆっくりと地中に浸透していく働きを担っています。この「しがら」を、裏山と果樹園の境目に一つひとつ人の手で組んで行きます。

木杭と枝、落ち葉といった自然物だけで作るしがらは、まるでビーバーダムのような構造になっています。水がゆっくりと浸透する機能に加え、苔や萌芽を促し、微生物や昆虫のベッドような役割も果たし、生態系の改善をも期待できます。
一見、脆弱に感じる素材ですが、微生物が葉っぱを1枚分解するには約3年掛かると言われており、何年か毎に落ち葉を詰め込んでやれば、その機能を維持でき、メンテナンスも容易です。

しがら組とは

③の水脈改善

敷地内にあるコンクリート排水溝が、自然の水の流れを遮断し、行き場を失った水脈は、コンクリートを避けるようにその下を流れています。水と空気が遮断された付近はグライ化を起こし、目詰まりします。

前回のワークショップではコンクリートU字溝を撤去し、代わりに藁や天然石で「小さなせせらぎ」の基盤作りを行いました。排水という考え方ではなく、水や空気が地中に染み込んだり、地上に出てきたりと、本来の水の流れを取り戻すための有機環境土木です。

U字溝を外し有機環境土木で再生

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=AlqUE3Jwkoo?si=5JcUmeobMmUYMKXG&w=560&h=315]

(実際の様子は、こちらの動画 およびレポートをご覧ください)


定員:

30名程度

参加費:
1日4,000円 保険料込み(+ランチ代 各日1,000円)
※当日、会場受付にて現金でお支払いください。
※全日参加(3日間)の方を優先する場合があります。
※高校生以下は無料

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お申し込みはこちらから

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※定員に達し次第、募集を締め切ります。
※後日、参加確定のご連絡をメールいたします。

講師:
坂田昌子さん
明治大学文学部史学科卒業。一般社団法人コモンフォレストジャパン理事。 虔十の会代表。前・国連生物多様性の10年市民ネットワーク代表。 東京高尾山にて生物多様性を守り伝える為に、ネイチャーガイドをされながら日本各地を駆け回りつつ、生物多様性条約や地球サミットなど国際会議にも継続的に参加。

開催場所:
徳島県神山町上分地区(参加者の方には詳細を後日お知らせします。)

現地までの移動は基本的に参加者各自でお願いしますが、開催までに参加者同士のFacebookグループへご招待します。そこで乗り合わせの相談などが出来ると思います。

当日の服装や持ち物:
泥だらけになってもいい動きやすい服装と靴でお願いします。
水筒、帽子、軍手やグローブ、長靴・地下足袋・雨具、着替え、タオル。

できれば1人1つずつご持参ください:
枝切り用手のこ、剪定ばさみ、移植ごて。
腰ベルト・腰袋の上、紛失防止のため記名推奨。

※蜂対策のため、黒い衣服や帽子は控えて下さい。

神山町宿泊施設情報:
神山町の宿泊施設をご利用の参加者は、こちらを参考にご自身でお手配下さい。

お問い合わせ:
神山しずくプロジェクト info@shizq.jp


切り株更新

アニバーサリー企画と10周年を終えての御礼

しずく10周年の取組

こんにちは、神山しずくプロジェクトです。

各地で猛暑が続いていますね。
徳島はお盆を目前に阿波踊りの練習が追い込みの時期となり、夕暮れ時には遠くでお囃子の音が聞こえたりします。

ちょうど1年前から始まった、しずく10周年記念事業「アニバーサリーバッグ プレゼント企画」が昨日をもちまして無事に終了しました!

しずく10thアニバーサリーバッグ

商品を購入いただいた方を対象に抽選に参加いただき、当たりくじを引いた方にアニバーサリーバッグをプレゼントするという本企画。
当たりくじを引いた方も、そうでなかった方も、企画に参加してくださりありがとうございました!

たくさんの方にこのバッグを迎えていただき、とても嬉しいです。

しずく当選者のみなさま

当選された方々、おめでとうございます!

前回に引き続き、見事当選された方の声をこちらで紹介させていただきますね。

 

「念ずれば叶う」
とってもステキなバック、わたしのところに来て来て来て〜と念じながらクジを引きました😉
大切に使います💓

「とっても嬉しい」
持った感じがとにかく可愛い!
重い物を入れても平気です。マチが広いので見た目以上にたくさん入ります。
お出かけ時の相棒に、大事に使わせていただきます。
ありがとうございました♪

「当たって幸せ♡」
家族旅行で、徳島を訪れた時に偶然見つけたSHIZQさん。
お洒落で素敵なお品が並んでいます。
そして親切な店員さん。神の山での素敵な出会いに感謝です!また是非訪れたいと思います☆
アニバーサリーのバッグ、娘が大変喜んでおりました。ありがとうございました!
またオンラインストアも覗いてみますね♪

しずく当たりくじチャーム

当たりくじを引いたお客様が作られたチャーム

インスタグラムでバッグの存在を知ってくださり、「バッグが可愛くて、見にきました!」と伝えてくださったお客さまもいらっしゃったり、当選された方が喜びの舞を踊ってくださったり、中にはくじ引きをスタッフと心理戦で引かれる方もいらっしゃいました(笑)!

当たりくじも一緒にプレゼントしていたのですが、くじを可愛くチャームにしてくださる方も。私たちの想像を超えて、喜んでいただけたことが本当に幸せでした。

 

10周年という節目の1年を終えて

「たくさん使っていただけるよう、日常に馴染むものを」というコンセプトで作られた、しずくらしいシンプルなデザイン。国産綿100%の8号という厚手の帆布生地を使用しているので、重いものを入れても安心。
また、バッグの製造においては、「地域で関わる人たちと一緒に、ものづくりをしたい」というしずくの想いに協力してくださった方々がいます。
神山町内にある裁断屋の西内商事さん、そしてロゴのシルクスクリーン印刷を担当してくださった徳島市内のらくがき屋さんです。
西内商事さんもらくがき屋さんも、しずくのFRAGRAN FORESTの製造をお手伝いいただいております。

今回のバッグは限定120個という少数でのお願いに、はじめはお受けしていただけるか内心ドキドキしながらご相談に伺いました。企画をお話しすると、お二方とも快諾してくださり、改めてこうして繋がっていただけていることに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

バッグは丈夫さを追求し、厚手で目の粗いキャンパス生地を使用しましたが、生地の特性を踏まえつつ、縫製もプリントもとても綺麗に仕上げてくださいました。

しずくアニバーサリーバッグ製造現場

左が西内商事さん、右がらくがき屋さん

たくさんの方にこのバッグを手に取っていただけたことはもちろん、地域の方と一緒に本当に喜んでいただけるものづくりができたことを、とてもありがたく思います。

このアニバーサリーバッグが、受け取ってくださった方の日常の一部になっていくことを願っています。


 

SHIZQ 10周年ロゴ

おかげさまで、しずくプロジェクト設立10周年を無事に終えることができました。

10周年のはじまりに代表の廣瀬がお伝えした言葉を改めて記したいと思います。(10周年の代表あいさつより

 

10周年を迎えることができた我々は、次の10年、何を選択し、何ができるでしょう。

立ち上げ当初「杉でカップなんて作れない」「山の問題は大きすぎて無駄だ」と、厳しいお言葉を沢山頂きました。


あの頃の僕の心境を、オセロに例えると、真っ黒な盤面の真ん中に白いコマがぽつんとひとつだけ。
そんな状況から、なぜ一歩踏み出すことが出来たのでしょうか。

どうしても湧き上がる「豊かに生きたい。」という「想い」からだったと思います。

(中略)
黒いコマが一つ、また一つとひっくり返ります。
皆さんが見守ってくださり、そして応援してくれることで、盤面はずいぶん変わった様に思います。

 

神山町に移り住むまでの僕は、なーーんにも見えてませんでした。

なにも解っていませんでした。

山や川、暮らしのことに真剣に向きあうことで(勉強嫌いの僕が..)日本史・世界史・貨幣・経済・政治など、僕なりに一生懸命学びました。今では、世界で起こっている様々なコトが、少しずつ、少しずつ、感じられるように、解るようになってきました。

 

そして、とうとう我々が目指すべきものが、はっきりとしてきました。

キーワードは「生物多様性」

 

神山しずくプロジェクトの10周年。

僕が見えてきたものを、皆さんに、ちゃんとお返ししたいと思っています。

 

そんな想いからはじめた様々な記念事業や企画の数々。
初めてのことばかりで決してスマートにできたとは言えないけれど、想像を遥かに超えた実りのある一年でした。

しずく10周年の取組

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□ワクワクする暮らしはワクワクする森から始まる
昔の暮らしと、森に想いを寄せる勉強会
→町内向けにも関わらず100名を超える参加者から大きな反響をいただきました

□生物多様性から学ぶ 暮らしのオンライン学舎
民芸・土中環境・もののけ姫と多様なテーマで計250人近い方が参加。これをきっかけにワークショップに参加された方も

新商品3種オンライン販売開始
→人気シリーズ。ボウルMは晩秋に入荷予定です!

□「めぐる谷の物語」水源涵養力を育むワークショップ
次回の募集も近日開始します!


番外編としては、

□シンポジウムがきっかけで山へ現状を見に行く機会をいただいたり

□新たな木工職人候補の募集、育成した職人の退職、師匠不在?!の新人職人育成…
→詳細はまた後日お伝えします

etc…
_________________________________________


振り返るだけでも眩暈のするような(苦笑)、怒涛の日々でした。

それでも、それらを1つずつ越え創立11年目を迎えられた今、これまでとは見える景色が様変わりしたように感じています。
プロジェクトが生き物として動き出したように思えた5年目の頃にも似た、さらにそれを上回る大きなエネルギー、そして安心感をも感じられています。

きっと、しずくプロジェクトが「みんなのもの」になった感覚と、その”みんな”に対する絶大な信頼から来る感情のように思います。

 

こうしてここまで読んでくださった一人ひとり、しずくを見守り関わり応援してくださるすべての方に、改めて厚く御礼申し上げます。

おかげさまで、ここまで来られました。

 

心新たにして、次の10年を歩んでいきます。

みなさんのよきところで、これからもしずくと関わり交わり、つながっていけたらと願ってやみません。

 

改めて次の10年とその先へも、神山しずくプロジェクトとその想いこそが、みなさんの日常の一部となりそれぞれの毎日が本当の豊かさと安心感で溢れる日々となっていきますよう、邁進していきます。

これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。

 

 

お盆休みのお知らせ

しずくストア

しずくストア

お盆休みについて

【SHIZQ STORE】
8月12日(月)〜8月15日(木)の間、休業させていただきます。
休業前最終営業日:8月11日(日)
休業明け営業日:8月16日(金)

【オンラインストア】
8月10日(土)までのご注文分について、通常通り発送
8月11日(日)以降のご注文分については、8月16日(金)より順次発送いたします。

ご不便をお掛けいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

「めぐる谷の物語」と名付けました。

環境改善のワークショップ集合写真

環境改善のワークショップ集合写真

皆さん、こんにちは!
神山しずくプロジェクト 代表の廣瀬です。

新年のご挨拶で「内的自然」という言葉をテーマに「世界の人々に、この内的自然の大切さを伝え、広げ、本当の意味での豊かな暮らし、社会を取り戻したい」と綴りました。「内的自然」は、外的自然と体験を通じた関わりの中からしか育まれません。

2024年6月末、しずくの新しい取組「水源涵養力を育む環境改善ワークショップ」を開催しました。環境改善を通じ、内的自然を育むことも私の中では大切なテーマでした。

今回は、ワークショップを開催するに至ったその経緯や想い、当日の様子、そして、これからのことをお伝え出来ればと思っています。少し長くなりそうですが、最後までお付き合い頂けると幸いです。


 

10年の活動、生物多様性、その先に見えてきたもの

われわれ神山しずくプロジェクトは、この30年で失われた川の水を少しでも取り戻そうと、活動当初から、神山町の山林や水源のあり方と10年向き合ってきました。いまなお、多面的機能を失いつつある神山町の山林整備の必要性を広く啓発しながら、町産材の新たな活用法をSHIZQブランドの商品開発を通じて世に提案して参りました。

毎年、切り旬と呼ばれる冬期に生産林に入り、間伐を進めてきましたが、環境の変化にはっきりとした実感が持てないまま、疑問が募る日々を過ごしていました。

そんな中、2年前に生物多様性の専門家 坂田昌子さんと出会い、土中環境や菌根菌、思想、文化など、里山の暮らしと環境、生物多様性が実に密接な関係にあることを学ぶ機会を得て、新しい視点と知識をたくさん頂きました。

2023年7月、SHIZQの10周年事業として「昔の暮らしと、森に想いを寄せる勉強会」と題し、神山町でシンポジウムを開催。120名を超える来場者を迎え、これからの暮らしや自然との向き合い方について議論する場を設け、町内外の方々より様々なご意見や反響を頂きました。加えて「生物多様性」をテーマにしたオンライン講座を開催し、全国から参加された皆さんから、大きな評価を頂き、環境に関心のある方々はもちろん、実際に自分たちのフィールドの環境改善に取り組んでいる方々との新たな交流が生まれました。

ここ神山町では、この数年、水が枯れてしまって暮らせない。という話しをよく耳にするようになりました。われわれが10年前から懸念してきた事が、いよいよ待ったなしの状況となって暮らしを脅かしています。全国の中山間地域では同じような課題を抱えているんじゃないでしょうか。

山林や里山における多面的機能、とりわけ水源涵養力の喪失は、人工林(単相林)や多様性を失ってしまった動植物の環境、コンクリートによる護岸排水、土中のグライ化など、さまざまな事象が複雑に絡み合っています。

本来の多様な森であれば、高木・中低木・下草や苔というように降った雨は自然の階段を降りながら、地表に到達するころには小さな小さな水滴となり、地中にゆっくり染み込みます
しかし、単相林や多様性に乏しい森ではそうはなりません。降った雨は、ほぼそのまま地表へ当たります。空から降る雨はさながら小さなミサイルです。降った雨は地中に染み込まず、表面の土砂を削りながら、コンクリート排水路へ集まり流してしまいます。雨が降るたびに地表を削られるので、苔や植物も育ちません。こんな環境では、生き物も住み着きません。虫や鳥、動物は森を循環させ、再生させる能力において天才です。そんな彼らが生きていけない環境をわれわれが作ってしまっているのです。

雨に打ちつけられ続けた大地は、徐々に固まり、とうとう目詰まりします。水や空気を通さない硬い地盤となり、コンクリートで遮断されたところは地中でグライ化を起こし、更に目詰まりを起こす。地表では分かりにくいですが、地中では雨が降るたび悪循環を起こしています。

 

フィールドとの出会い、そして葛藤

今回、ご縁があってお借りしたフィールドは、古民家の面前に昔の棚田跡、茅場やお茶畑、梅やすだちの果樹園、そして裏には照葉樹林を背負う典型的な里山古民家で1ヘクタールほどの広大な土地です。そして、このフィールドがある「金泉」と言う集落は、書いて字のごとく、昔はそれはそれは水が豊かな谷だったと、集落の皆さんが話してくれるのですが、今はどのお家も水で困っている様子です。

ワークショップ開催地

実はこのフィールドを紹介してもらったのは、2023年7月のことでした。
当初は、そのスケール感にビビってしまい、勇気が出せない、決断できないまま、ほぼ1年間、悩みに悩みまくりました。

1ヘクタールという広大な土地、自分たちで何とかなるサイズを超えている…
どこからどう手を付けたら?成功する保証は何もない。とてもじゃないけど…無理かも…と。

生物多様性の世界に触れた(学んだ)私は、環境悪化の原因や悪循環のメカニズム、その情景が立体的かつ、感覚的に脳内に、いや「腹」に入って来て「あぁそうか..そうだったんだ」と、まさに腹落ちした瞬間がありました。もちろん、全てが理解出来ている訳ではありません。

こんな広大なフィールドだけど、適切に手入れをしてやれば、もしかすると…もしかすると…昔のように水の豊かな場所に戻るかもしれない。いつもぼんやりと考えてしまうようになりました。

「もしも豊かな谷に戻すことが出来たら?」

「悪循環を好循環に変えることができたら?」

「神山の希望、いや日本の希望の谷になるかも知れない」

 

希望の谷にしたい

人工林の杉林に囲まれた貴重な照葉樹林。その照葉樹林ですら荒れて果て、山際は崩落を招き、乾燥し、水や空気の動き、多様性にも乏しい。生活に一番大切な井戸は、ほぼ枯れている状況。酸性の土壌は、ススキしか生えない。放置されてしまった茶畑や農地の再生など、このフィールドには課題が山積しています。

あらゆる角度から環境改善(有機環境土木)を進めて行かなければなりませんが、個人やチームだけの力では、どうにもなりません。

だけど諦めたくない。

ワークショップ開催地考え抜いた結果が、みんなの力を借りるワークショップという方法でした。
坂田昌子さんに具体的な改善ポイントをご指導頂きながら、みんなで有機環境土木を行い、そのノウハウや経験を共有し、楽しみながら、水や空気、多様性を育み、豊かな場所へと生まれ変わらせる。神山町、日本の新しいモデルとなる場所を目指し、人々も循環する希望の谷にしたい。そして、「内的自然」も育まれる場所として。

2024年6月26日(水)27日(木)28日(金)と、第一回目となる3日間の環境改善ワークショップを開催しました。1日30名、3日間で90名を超える参加者を迎え、その第一歩をスタートさせることが出来ました。平日開催、悪天候にも関わらず、たくさんの参加者に恵まれ、イベントは大成功を収めました。
さて、環境改善(有機環境土木)とは一体、どんなことをやるのでしょうか。

ワークショップ開催地のイメージ

※イメージ図作成にあたり、NPO法人 地球守 発行「古民家の環境つくりの作法」を参考にさせて頂きました。

この図は、ワークショップを開催するフィールドのイメージ図になります。水源涵養力が低下しているこのフィールドでは、まず②の山と果樹園の境目(山際)に、降った雨がゆっくりと地中に浸透するための仕組みを作ります。

しがらについてそれが「しがら」です。
生木の杭や枝、落ち葉を使った伝統工法の「しがら」を一つひとつ人の手で組んで行きます。

6月のワークショップでは、30mほどの「しがら」が組み上がりました。
木杭と枝、落ち葉といった自然物だけで作るしがらは、まるでビーバーダムのような構造で、水がゆっくりと浸透する機能に加え、苔や萌芽を促し、微生物や昆虫のベッドような役割も果たし、生態系の改善をも含みます。一見、脆弱に感じる素材ですが、微生物が葉っぱを1枚分解するには約3年掛かると言われており、何年か毎に、落ち葉を詰め込んでやれば、その機能を維持でき、メンテナンスも容易なんです。

実際に編んだしがら枝や枯れ葉など自然物を使って作るしがらは、検索しても明確な「マニュアル」は見つかりません。あーでもない、こーでもないと「手」を動かしながら、大地に膝をつきながら、頭でなく、五感で作っていくもの。この感覚は、「しがら組み」をやったことがある人しか分かりません。

参加者の皆さん、どうやら「しがら組み」にハマってしまったようで、終了時間が来ても手を止めず、もくもくと作業を進めます。

「しがらジャンキー♪」という言葉が飛び交いました。

普段では、経験出来ない貴重な時間となりました。

今回、もう一つチャレンジしたのが③の水脈改善です。
敷地内にコンクリート排水溝があって、自然の水の流れを遮断し、行き場を失った水脈は、コンクリートを避けるようにその下を流れています。水と空気が遮断された付近はグライ化を起こし、目詰まりします。

せせらぎについてまずはコンクリートU字溝を撤去し、代わりに藁や天然石を使った小さな「せせらぎ作り」を行いました。排水という考え方ではなく、水や空気が地中に染み込んだり、地上に出てきたりと、本来の水の流れを取り戻すための有機環境土木です。6月のワークショップでは、約3トンの石材を使って25mほどの「せせらぎ」を作りました。

悪天候の中、皆さん、ずぶ濡れになりながらも、声を掛け合い、資材や重い石をリレーで運びました。こちらの石積みも自然物が相手なので、明確な答えがありません。一つひとつの石の違いを観察しながら、五感をフルに使って組んでいきます。

やっぱり、人の力は凄いなぁ。
さっきまでコンクリート排水溝だったのに、あっという間に、石畳のような美しい「せせらぎ」が出来上がっていきました。施工中は泥水のように濁った水でしたが、ワークショップが終了するころには、綺麗な水に変わり、新しい空気の流れを感じる場所へと変貌していました。

写真とコメントではなかなか雰囲気が伝わりにくいかも知れません。
ワークショップの様子をダイジェストにまとめた動画を作りました。
ぜひその雰囲気をご覧ください。

ワークショップレポート

画像をクリックして動画を観る

 

初のワークショップを終えて想うこと。

SHIZQ10年の節目に、次の一歩を踏み出すことが出来たことは、これまでわれわれが追い求めてきたものの、ある種「答え」にリーチした感があり、未だかつて感じたことのない成果に繋がる予感がしてなりません

それと同時に、かつての豊かな谷に戻すという取組は、途方も無い労力と根気、時間が掛かりそうです。環境改善(有機環境土木)に使用する資材は、全てにおいて自然物で大量に集めなければなりません。ワークショップ開催にあたっての道具や消耗品、安全対策、運営など、活動を継続するためのノウハウや協力関係の構築、地元の理解など創意工夫が必要不可欠となります。

いくら頭をひねってみても収益事業になり得ません。しかしながら、ここで培うノウハウや経験、ネットワークは、日本の中山間地域が抱える同じような問題の「希望」となり、われわれの暮らしにおいて、かけがえのない水源、つまりは「豊かさ」を取り戻す次世代のモデルになり、それこそが未来の財産になると私は信じています。

 

われわれはこの活動を「めぐる谷の物語」と名付けました。

みんなの希望のその先に、水や空気の動き、微生物や動植物の営み、そして、そんな豊かな場所に人々もめぐる。

そんな想いをもって活動を続けて行こうと思っています。

現在、活動を続けるためのスポンサーを募ろうと思案中です。皆さんのお知恵を拝借致したく、どうか引き続き、応援をよろしくお願い致します!

 

最後に

ワークショップに参加してくださった皆さん、本当に本当にありがとうございました!

初めての開催において、至らぬ点も多かったと思いますが、参加者の皆さんの一人ひとりの笑顔と、常に前向きなエネルギーを頂き、主催した僕たちが勇気と希望を頂いたように思います。皆さんに作って頂いた「しがら」や「せせらぎ」の経過も随時観察してお届けして参ります。今さらながら、お一人おひとりにハグして回りたい氣持ちです。

第2回目の開催は、9月13日(金)14日(土)15日(日)を予定しています。
前回に引き続き、山際の「しがら作り」と、「小さなせせらぎ作り」(こちらは完成を目指します)を行う予定ですが、ぜひぜひ奮ってのご参加お待ちしております!
もちろん、新規のご参加も大歓迎!一緒に「めぐる谷」の物語を綴っていけたら、たいへん嬉しく思います。


参加者さんの声

・第一回に参加できてうれしい
・頭で考えてただけでは手に入らないものを行動から得られました。きつい方が充実感はあるのかもですね(´∇`)
・準備、運営、本当にご苦労様でした。水源に再生活動、とても大事なことだと思います。この意識がシズクプロジェクトの取り組みによって広がりますように
・しがら作りがとても興味深かったです。
・体力がないので不安でしたが、みなさん明るく頼もしくて、皆さんのおかげで3日間菌にまみれながら貴重な体験ができました♡豊かさや幸せ、遠回りしがちな現代ですが、シンプルなんだなと感じることができました。本当に参加できて良かったです。しがらもまた経過を見に行きたいです。ありがとうございます♡
・人生の豊かさについて、もう一度考える機会になりました。
・しがら組みの作業を通じて森への理解を深めることができました。何より楽しかったです。新たな人との繋がりもできました。
・水路の作り方、しがらの組み方などを学ぶことができた。

 

本動画の制作において
SPECIAL THANKS for Kuvonneさん
Kuvonne Instagram:kamiyama_another_home

シーカヤックで巨樹を見に行った話

瀬戸内海をカヤックで漕ぐ

こんにちは、神山しずくプロジェクトのスタッフ藤田です。

連日雨が続いた神山では、山や畑の植物がぐんっと成長したように感じます。

瀬戸内海をカヤックで漕ぐ先日、梅雨の晴れ間を狙ってシーカヤックを漕ぎにいってきました。

訪れたのは香川県三豊市。

三豊市といえば観光地として有名な父母ヶ浜がありますが、今回の目的地は瀬戸内海の「志々島(ししじま)」!

塩飽諸島に属する人口およそ20名の小さな島で、かつては花卉業(かきぎょう=鑑賞用の花の栽培)が盛んだったそうです。

この島には樹齢およそ1200年の大クスがあり、「島の守り神」として今も大切にされているとのこと。1200年前といえば、源平合戦の戦いよりもさらに昔になりますね!

志々島の大クス普段は山にまつわる話が多いですが、今回は瀬戸内海で出会った巨樹について紹介したいと思います。

 

瀬戸内海の島へ

 

「志々島(ししじま)というところに、巨大な大クスがあって。すごい迫力があるから、一度連れて行きたいんよね。」

 

そう話してくれたのは「Trip 四国の川の案内人」のアウトドアガイド・牛尾さん。

職業柄これまでたくさんの巨木を見てきた牛尾さんですが、志々島の大クスがとにかく迫力があるとのこと。それは是非見に行かねば!ということで、カヤックを漕いで行って参りました。

瀬戸内海をカヤックで漕ぐ

内海はのんびりした雰囲気がただよっていました

車が交通手段になる前、瀬戸内海は人や物が行き交う重要な「航路」でした。

いまでは島への連絡船が時たま通ったり、遠くに貨物船が見えるくらいでとても静か。

のどかな内海をゆっくりカヤックで漕いでいきます。

運がよい時は、スナメリという小型のイルカと遭遇することもあるそうですよ!

瀬戸内海でシーカヤックランチ

途中、粟島のはずれにある砂浜にカヤックをつけて、お昼ご飯を食べました。

さえぎるものがない晴れた海上は、なかなか過酷….

海岸沿いの小さな木陰の下は涼しくて、まるで天国の様でした。

 

島の奥で静かに佇む巨樹

 

木陰で休んだ後はさらに漕ぎ進み、目的地の「志々島」へ。

港の脇にある砂浜にカヤックをとめて、いざ出発!集落を抜けて山を登っていきます。歩くこと20分ほど、山頂付近から山の裏手側にまわったところに「大クス」がありました。

志々島の大クス

Via 三豊市観光交流局 https://www.mitoyo-kanko.com/shishijimaisland/

うねるように伸びる太い枝、表皮には苔が生え、その上からさらに新しい植物が芽生えています。その大きさたるや、まさに「島の守り神」にふさわしい存在感を放っていました。

調べたところによると、過去にこの一帯で土砂崩れがあり、根に近い部分が5mほど埋もれているとか。全体像はさらに大きく迫力ある姿だったのではと予想されます。

⁡かつては大クスのまわりにも民家があったそうで、今よりもたくさんの人が島に住んでいたのでしょう。

日の入りが近づいていたこともあり長居できませんでしたが、島民の方にゆっくりと話をうかがってみたくなる、そんな場所でした。

 

 

森を支える大きな木

 

ところで、巨樹が森の中でどのような役割を持っているかご存知ですか?

鎮守の森には、マザーツリー(=Mother Tree)と呼ばれる木があります。森でもっとも大きな木を指し、そのような巨樹は森の中のすべての木や植物とコミュニケーションをとっているそうです。

さらに興味深いのは、マザーツリーは周囲の木々や植物に栄養を分け与えているということ。

大きな木は、雨や風から自身をまもるために森を作ろうとします。

そのために、周辺にある小さな木や植物に地中の菌類ネットワークを通して栄養を送るのだそう。

マザーツリーは森の生態系を支える重要な存在なのです。

 

 

昔話から読み解く自然との関わり方

 

志々島の大クスにはこのような話が残っています。

明治時代、大楠の枝を切った人が病にかかり、祈祷したところ、「神として祀れば許す」というお告げがあった(引用元:NHKアーカイブ

実際の因果関係はさておき、島民にとって大クスの存在が非常に大きかったことが伺えます。

他の地域でも巨樹は御神木として信仰の対象になっていたり、あの淵には巨大な鯉がいるが川の主だから採ってはいけない。という話が残っていたりしますが、このような古い言い伝えは、単なる無知蒙昧な話として片付けられない部分があります。

 

生物多様性の専門家・坂田昌子さんは

その土地に長く生きているものを移動させることは、生態系の撹乱を引き起こす」と話していました。

 

マザーツリーの話でいうと、巨樹を切ることで周辺の木々は栄養を得ることができなくなり、森全体が弱ってしまう可能性があるのです。

だから昔の人たちは、祟りというようなある種の「物語」を用いて、自然との関わり方を後世に伝えようとしてきたのかもしれません。

志々島の大クスも、マザーツリーとして周りの木々と交信しながら島の環境を支えているのだと思います。私たち人間が目で見えるものだけでは判断できない、複雑で多様な関係性が自然界にはあるのですね。

瀬戸内海

志々島の楠の倉展望台からの眺め

 

人の心の重さが、その土地を鎮めている

 

正直なところ、志々島での散策ではなんともいえない寂しさを少し抱きました。

港のあたりでは島の方に会いましたが、集落の奥に進むにつれて人の気配がなくなり、道中には朽ちた空き家が目に入ってくるのです。

もちろん、過疎化はこの島に限ったことではありませんが、やはり人の気配がなくなった風景には独特の寂しさがあります。

一方で、志々島港から大クスまでの道中には、ところどころに手作りのベンチが置かれていたり、いくつか看板が立っているのを見かけました。観光で訪れる人たちに向けて、どなたかが整備されたのでしょう。大クスのまわりも、定期的に清掃活動が行われているそうです。

そのような様子から、この小さな島を大切に想う人たちが確かにいることを感じました。

新海誠監督の映画『すずめの戸締まり』で「人の心の重さが、その土地を鎮めている。」という台詞がありますが、まさにそのような印象を抱きました。

日本各地で過疎化が進み、地域固有の伝統や文化は失われつつあります。

だからこそ、いま自分がいる場所を足元から見つめていく。

自分の手の届く範囲から、関わりをたどっていくことが大切なのかもしれませんね。 

 

おわりに

じつは、ここ最近、森と海のつながりを感じられている方々からのしずくへの応援が増えました。
例えば、海まで10分の建材屋さんが運営するセレクトショップ
DEMI1/2で、しずくの製品をお取り扱いいただいています。
DEMIさんはストレートに「海のそばで木を使った仕事をしているからこそ、しずくさんの取組みを応援しつながりを持ちたい」と2年前にオファーをいただいたのがきっかけでした。

山から海へ繋がるご縁をこれからも大切に育むとともに、今後もいろいろな情報を発信していきたいと思います。

▼しずく製品の取り扱い店舗

https://shizq.jp/shoplist/

 

<志々島に行く方法>

香川県三豊市の宮下港から、粟島汽船に乗って約20分ほどです。

大クスの近くには天空の花畑という場所もあり、季節によっては、丘一面に花が咲く様子が見れるかもしれません!

ぜひ一度訪れてみてくださいね。

 

詳しくは三豊市観光局のウェブサイトをご確認ください。

 

なぜ森の主(ヌシ) マザーツリーは伐ってはいけないか

この話については、2023年に開催したSHIZQ10周年記念事業の基調講演会で、坂田さんが詳しくお話ししてくださっています。

坂田さん講演会in神山町

動画を見る方は画像をクリック↑(57分35秒あたりです)

 

しずくストア営業再開しております

神山のあじさい

こんにちは。

神山しずくプロジェクトです。

明日はいよいよ夏至ですね。最近は日も長く、本格的な夏の始まりを予感します。

 

毎年恒例の一ヶ月休業、みなさまのご理解とご協力のもと無事に実施することができました。本当にありがとうございました!

古民家の床を塗り替え

知人の手伝いを借りて、台所の古くなった床を塗り替え

かくいう私(スタッフ藤田)も、休暇中は家族や友人と過ごしたり、古民家のリノベーションや掃除など行いました。日常生活で後回しにしていたあれこれを片付けることができて、とてもすっきり!

こうやって暮らしを整えたり大切な人と過ごす時間を持てることは、何よりもありがたいです。

 

しずくストア営業再開しております

しずくストア

昨日から無事に通常営業を再開しました。お近くにお越しの方は、ぜひお立ち寄りください。

また、1ヶ月セール期間中にご注文いただいたお客様には、順次商品の発送を行っております。

到着までもうしばらくお待ちいただけますと幸いです。

 

そして!いよいよ来週には、しずく10周年事業の締めくくりとして「水源涵養力を育む環境改善ワークショップ in 神山町」を開催します。

坂田昌子さんワークショップin神山環境改善の第一線で活動している坂田昌子さんにご指導を頂き、生活水の枯渇問題の原因となっている課題エリアに手を入れていきます。みんなで楽しみながら環境改善のノウハウや経験を共有し、水と空気の循環を取り戻し、豊かな場所へと戻していく試みです。

おかげさまで30人×3日間の枠もすべて埋まり、現在キャンセル待ちの状態です。たくさんの方からの反響や応援のコメントもいただいており、みなさまの関心の高さを感じています。

神山しずくプロジェクトとして、次の10年で向き合う課題でありスタッフ全員で取り組んでいきたいという思いから、ワークショップ期間中(6/26,27,28)しずくストアは臨時休業とさせていただきます。大変恐れ入りますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。

後日ワークショップの様子もご報告する予定です。

これからのしずくの活動もどうぞお楽しみに!

 

動画:生物多様性の坂田昌子さんに学ぼう!!「水源涵養力」を育む環境改善ワークショップ@神山町

 

【満員御礼・キャンセル待ち】水源涵養力を育む環境改善ワークショップ開催のおしらせ

坂田マサコさんの環境改善ワークショップイン神山町

2024.7.23追記
おかげさまで無事に初回WSを終えることができ、開催レポートを公開しました。動画もありますので、ぜひご覧ください。

生物多様性の坂田昌子さんに学ぼう!!
「水源涵養力を育む環境改善ワークショップ」開催のお知らせ

生物多様性と土中環境をテーマに自然に寄り添う環境改善を一から学び、実践していくワークショップです。いま神山の至るところで起こっている生活水の枯渇問題、このフィールドが神山の未来に繋がる学び舎となっていきますように。

坂田マサコさんの環境改善ワークショップイン神山町

皆さん、こんにちは。
神山しずくプロジェクト 代表の廣瀬です。

われわれ神山しずくプロジェクトでは、活動当初から山林や水源のあり方と10年向き合ってきました。いまなお、多面的機能を失いつつある山林整備の必要性を啓発しながら、町産材の新たな活用法を提案してきました。しかし、毎年のように生産林に入り、間伐を進めてはいるものの、改善の実感が持てないまま、疑問が募る日々を過ごしていました。

そんな中、ご縁があって生物多様性の専門家 坂田昌子さんと出会い、土中環境や菌根菌、思想、文化など、里山の暮らしと多様性が密接な関係にあることを学ぶ機会を得て、新しい視点と知識をたくさん頂きました。

昨年の7月には、10周年事業として「昔の暮らしと、森に想いを寄せる勉強会」と題して、シンポジウムを開催。加えて「生物多様性」をテーマにしたオンライン講座を開催し、参加者の皆さんから大きな反響を頂いたところですが、今年は、次のステージへ一歩踏み出すことにしました。

 



神山町で見つけた典型的な里山古民家の環境改善ワークショップを開催します。

民家の前面に広がる谷には、昔、棚田として使われいた耕作放棄地、傍には茅場や茶畑、裏には畑と果樹園、そして、その後ろに常緑樹林を背負っています。こんな典型的な里山古民家ですが、残念なことに井戸が枯れ、水の動きが感じられない場所となってしまっています。

典型的な山間部の古民家の立地

ここ数年、神山町では、水が枯れたお家の話をよく耳にするようになりました。
この問題は、山林の状態や土中環境が密接に関係していると考えますが、適切に手を入れてやれば、水の豊かな場所を取り戻せるんじゃないかと、私は考えるようになりました。

そこで、坂田昌子さんに指導を頂きながら、この典型的な課題エリアに、みんなで手を入れることで、楽しみながら改善のノウハウや経験を共有し、水と空気の循環を取り戻し、豊かな場所へと戻していく、神山町の新しいモデルにしたいと思っています。

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=z6fnE8EP-Sg?si=DVAVHS2QyWpN6u0T&w=560&h=315]

自然の営みを取り戻すための手入れとは?

その初手として、以下の内容を行います。みんなでワイワイ手を動かし様相の変化を見るだけでも達成感や充実感のある体験です。さらに、ふだん目にする自然に対する解像度が上がるのも、坂田さんのWSの大きなポイントです。

「答えは自然が出してくれる」という坂田さんの指導のもと、和気藹々と作業を進めていきたいと思います。坂田昌子さん四国初のワークショップでもあり、おかげさまで申込みも次々いただいています。ご興味ある方はぜひこの機会にご参加ください。

里山の景色

内容:
本来、山に降る雨は、ゆっくりと大地に染み込み、浄化されて湧き出してきます。しかし植生が単一化された現状では、雨水は地表をすべり落ち、土を巻き込んで勢いよく流れ落ちてしまいます。結果的に地面は乾き、いっそう乏しい土壌環境を生み出します。加えて、家のすぐ裏にあるコンクリート溝が土のなかの水脈を停滞させてしまっています。

水源再生の手はじめとして、まず流れ落ちる雨水と土砂を堰き止め地中に浸透していく仕組みを作ります

今回は、山と田畑の境界である山のきわに杭を打ち込み、「しがら組み」を施すことで、雨水を受け止める土台を作ります。木杭と枝、落ち葉だけで作るしがらは、まるでビーバーダムのような役割を果たし、昆虫や鳥・萌芽を促すベッドのような機能も期待できます

この循環型工法である、しがら組みは、生態系の改善をめざした環境改善では、要の手法となります。今回のワークショップでは、このしがら組みをマスターしていただくことを第一目標に、優先順位の高い山ぎわ・裏山としがらを組んで、健全な水の動きを取り戻すための第一歩をめざします。

また家の裏にあるコンクリートU字溝を取り外し、その下を流れているはずのわずかな水脈にアプローチしたいと考えています。水と空気を遮断するU字溝を外したあとは、藁と石を使用し、小さなせせらぎを作る予定です。均一的な流れではなく、広範狭小・高低差をあえて設けることで自然物の好む小川に近づける造作を行います


水と空気の循環を取り戻し、豊かな場所へと戻していくための
第一回 「環境改善ワークショップ」

日時:
2024年6月26日(水)27日(木)28日(金)の3日間

スケジュール:
・6月26日(水)
 12:30 受付開始
 13:00〜14:00  坂田さんの周辺ガイド
 14:00〜17:00  はじめてのしがらづくり(山際のしがら)

・6月27日(木)
 09:00 受付開始
 09:30〜12:00 はじめてのしがらづくり(山際+照葉樹林のしがら)
    12:00〜13:00 昼食
 13:00〜16:00   はじめてのしがらづくり(山際+照葉樹林のしがら)

・6月28日(金)
 09:00 受付開始
 09:30〜12:00 U字溝の撤去・石積みで小さなせせらぎを作ろう
    12:00〜13:00 昼食
 13:00〜16:00    石積みで小さなせせらぎを作ろう

※雨天決行(大雨の場合は別内容の予定)
参加者の技術レベル等に合わせてレクチャーおよび作業内容が多少変わります。


定員:
3020
名程度 10名増員しました/


参加費:
1日4,000円 保険料込み(+お弁当代  希望者のみ)
※当日、会場受付にて現金でお支払いください。
※全日参加(3日間)の方を優先する場合があります。
※高校生以下は無料

お申し込み:
以下のオンラインフォームから


※定員に達し次第、募集を締め切ります。
※後日、参加確定のご連絡をメールいたします。

講師:
坂田昌子さん
明治大学文学部史学科卒業。一般社団法人コモンフォレストジャパン理事。 虔十の会代表。前・国連生物多様性の10年市民ネットワーク代表。 東京高尾山にて生物多様性を守り伝える為に、ネイチャーガイドをされながら日本各地を駆け回りつつ、生物多様性条約や地球サミットなど国際会議にも継続的に参加。

開催場所:
徳島県神山町上分地区(参加者の方には詳細を後日お知らせします。)

現地までの移動は基本的に参加者各自でお願いしますが、開催までに参加者同士のFacebookグループチャットを立ち上げます。そこで乗り合わせの相談などが出来ると思います。

当日の服装や持ち物:
泥だらけになってもいい動きやすい服装と靴でお願いします。
水筒、帽子、軍手やグローブ、長靴・地下足袋・雨具、着替え、タオル。
できれば1人1つずつご持参ください:枝切り用手のこ、剪定ばさみ、移植ごて。腰ベルト・腰袋の上、紛失防止のため記名推奨。

蜂対策のため、黒い衣服や帽子は控えて下さい。

神山町宿泊施設情報:
神山町の宿泊施設をご利用の参加者は、こちらを参考にご自身でお手配下さい。

お問い合せ:
神山しずくプロジェクト info@shizq.jp

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=St9PoXrs4MQ?si=j1f3wyxFK8Zic_3G&w=560&h=315]

開催レポートを公開しました。参加者の皆さん、本当にありがとうございました!動画もありますので、ぜひご覧ください。

 

2024年一ヶ月休業のお知らせ

神山の森と空

こんにちは。神山しずくプロジェクトです。

5月20日(月)〜6月18日(火)の間、スタッフ研修も兼ねてSHIZQ STORE&オンラインストアおよびその他業務を休止しております。

休業明け営業日は6月19日(水)です。

皆様にはご不便おかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。

オンラインストアについて

5月17日(金)までのご注文分については通常通り発送、5月18日(土)以降のご注文分については、6月19日(水)より順次発送となります。

神山の森と空

休業とセール開催の経緯

神山しずくプロジェクトの運営元であるキネトスコープ社は、2012年に大阪から神山にサテライトオフィスを構えた小さなデザイン会社です。

インターネットがあればどこでも仕事ができる、地方にこそ自分たちのめざす真の豊かさがある。そう信じて、神山に来ました。

それから早12年、時は流れあのときの決断が、私たちの生活にもたらした実りの大きさは、正直予想以上です。

神山に来たからこその仕事、生活、そして生き方を模索するなかで、2018年にはじめた一ヶ月休業。

山間部に多い冬季休業からヒントを得て「それを1番いい時期にやってみよう!」というのが私たち流。その結果どうなるか、何が変わるか、それも含めての実験でありスタッフ全員、ひいては会社の学びと考えています。

移りゆく時間のなかで、大事なもの・守るものも少しずつ増えています。それでもやっぱりやってみようと毎年違う経路の思考をめぐらせ、今年もこの選択を選ばせていただきます。

休業期間を実施して今年で7年目。仕事も仕事以外のどちらも、取り替えのきかない人生の大切な一部だと、より実感をもって言えるようになっています。だからこそ真摯に向き合い自分たちの手で責任をもって選んでいきたい。

たくさんの方のご理解とご協力に感謝し、これからを作る大事な期間と考え、今年も実施させていただきます。

何卒よろしくお願いいたします。