人気の鶴シリーズに欠かせない「クリアコーティング」って?

こんにちは。神山しずくプロジェクトです。
2月もあっという間に中旬を過ぎ、梅香る季節が近づいてきました。
少しずつ春の訪れを感じるこの時期は、新しい門出にむけたお祝いにとSHIZQの木製品をお選びいただくことが多いです。

 

中でもSHIZQ 鶴シリーズは杉本来の温かみを感じると特に人気です。今回はそんな鶴シリーズに欠かせない、最後の製作工程となる「クリアコーティング」についてご紹介します。

鶴シリーズ集合写真

これまで、写真や文章で事細かにお伝えしたことはなかったクリアコーティング。正直、透明なので写真でお伝えしてもとても分かりにくい、というのもありましたが、木製品にコーティングは不可欠。水漏れや汚れに対する強度面はもちろん、コーティングを施すことで、杉の特徴である赤白の色味も際立ちます

鶴シリーズ誕生には欠かせない、なくてはならない最終工程。その秘密をお届けします。

鶴ロックグラスを持つ手

鶴シリーズのコーティングは「セラウッド」という、ウレタン樹脂にセラミックを配合した熱にも紫外線にも強く、さらには食品衛生法にも適合しており人にも環境にも優しい塗料を使っています。

高機能塗料であるセラウッドは一般的にテーブルなど高価格なインテリア製品に使われることが多く、木製食器に使用されることはほとんどありませんでした。ただ、その機能性だけでなく、光沢感を抑え杉の表情やぬくもりを感じられるその仕上がりの美しさに、「SHIZQの器には一番ふさわしい!」と製品開発時に使用を決めたのです。

 

お客さまにも「何も塗ってないんですか?」と聞かれることもしばしば。手に取るとコーティングを施している感じがなく、工程も極薄に、なおかつ均一に合計6回吹き付け、乾燥させて完成します。

塗装の様子コーティングをお願いしているのは、徳島市内にある多田銘木塗装さん。
代表である多田さんは、しずくのろくろ職人の師匠・宮竹さんと長年一緒に仕事をしてきたこの道60年の大ベテランです。

多田銘木塗装代表の多田さんと職人の桑田さん
多田銘木塗装代表の多田さん(右)と職人の桑田さん(左)

最初は漆職人でしたが、塗装の会社を立ち上げ、住宅や店舗用の特注家具や建具の塗装を行なっています。また、会社の代表である傍ら、職人グループ「舞工房」のリーダーとして、徳島のさまざまな職人技術と自社の塗装技術を掛け合わせた徳島らしいものづくりもされています。


多田さんのものづくりへの情熱は木に対する愛情を感じます。

漆職人から現在の塗装業へと道を進めたきっかけも「木の本来の色味や木目の美しさを活かしたものを作りたい」という思いからでした。

 

SHIZQ開発時にも杉の良さを生かすにはと尽力してくださった多田さん。今でも「しずくのおかげで杉の可能性が広がった。それは誇るべきことだよ。」とわたしたちを応援してくださっています。

塗装ブース

わたしたちが目指す ”地域資源の地域内加工” への実現への次なる課題は、多田さんの塗装技術をしずくでも継承し、次の世代へ繋げていくこと。

 

実はスタッフが研修に行き、塗装用の設備も整えてあります。
しかし、兼務で塗装工程を自社で内製できるところまではなかなかたどり着けず…。
次は塗装職人を目指す人の募集を…と、いよいよ真剣に考えています。


しずくプロジェクトは今年7月で10年の節目を迎えます。
多田さんや宮竹さん、徳島で育まれてきた技術とものづくりへの情熱が、わたしたちを支えてきてくれて今があります。木工ろくろの技術を受け継いだ今、続いて塗装技術を継承していくことが彼らへの恩返しであり、そしてそれがしずくの波紋を広げていくきっかけになる。そんな未来を描いていくために、これからも1歩ずつ歩みを進めていきます。