こんにちは。しずく主任の渡邉です。
寒さ厳しい今年の冬。神山でも、もう雪が降りました。降ったと言ってもチラつく程度で積もることなく、空は快晴、なんだか不思議な初雪でした。
「こんな時代だからこそ自分たちで食べるものを作りたいね。」とみんなで話し合い、畑やお米作りを始めた今年の春。
雪も降り一気に師走を感じるなか、私たちには例年にはない大きな焦りが!
それは、、
「新米食べずに年は越せない…!」
以前のレポートで、収穫・はぜ掛けまでお伝えしましたが、まだまだお米という「食べ物」になるまでは、行き当たりばったり手探り米作りの私たちには高いハードルがそびえていたのです。
今日は、そのゴールに辿り着くまでの完結編をお届けします。
米作り後半戦
【一般的な農家さんの方法】
稲の刈り取りと、稲から穂を取る脱穀を同時に行えるコンバインという機械に乗って収穫を行います。その後、乾燥機にかけて水分を飛ばして、籾殻(もみがら)を外す籾摺り(もみすり)をすると、玄米となります。玄米を精米機で白米にすると、みんな大好き白いお米が出来上がるのです。
【2020年しずく農園の方法】
農業機械のない私たちは、手刈りで収穫。その後、お日様に乾かしてもらうために、はぜ掛けをしました。
台風が来てしまったので屋内に移動させ、台風一過には干し直して…。天気に右往左往しながら、お米の水分量を測りながら、再び干し直した場所は日照時間が短かったり、とてんやわんや。
NPO法人グリーンバレーが開催するモノストックで戴いてきた『足踏み脱穀機』。
歯車に稲穂を当てると穂が取れて飛んでいく。シンプルだけどよく考えられた仕組みです。
穂を当てて重くなる回転を、一生懸命踏み回す。稲を回転歯に持って行かれないように持ち堪えるのも大変ですが、ひたすらリズムよく踏み続けるのは結構ハードスポーツで、ひぃひぃ言いながら最後は男性陣が2人体制で踏み、女性陣が藁や塵をよけながら、米を集める。それぞれ出来ることを一生懸命やって、1日掛りで何とか脱穀。
最後にして最大の難所
そして最大の難所だった籾摺り(もみすり)。人力方式では、籾摺り臼(うす)を使ってやるらしい。さすがにそれは手に入らず、いろんな人に話を聞いて、機械を持っている方に助けていただくのが最善だと。
そもそも私たちは田植え時期が遅く、はぜ掛けをしたり脱穀も手作業だったので、大半の農家さんのスケジュールとは大幅にずれたタイミング。みんな今年の機械の出番も終わって片付けたのを、また引っ張り出して使わせていただく…。そんなお願いしづらいなぁ他の方法ないかなぁ、、などと思っていたら時すでに12月。
「新米食べずに年越し…」の危機感マックス。
応援してくれたご近所さんに、作ったお米でおにぎりを握って配りたい!
という夢を思い出し、ご迷惑承知で籾摺り機を使わせていただくことに。
お願いしたのは、しずくラボのろくろ台の基礎工事を施工して下さった西森組の西森さん。
「1時間で済むわ〜」と快く応じてくれたものの、開始早々、問題勃発!
取りきれなかった藁が、機械を止めてしまいました。。
「こんなん初めてやわ」と言いながらあれこれと西森さんが機転を効かせてくださり、2時間掛かってなんとか綺麗な玄米がお目見え。
「申し訳ない申し訳ない…」とひたすら思っていた私ですが、その時間があったからこそ西森さんとゆっくりお話ができたりと、気付けば楽しい時間に。目に見える成果が出るのも、そんな気分を後押ししてくれていました。
また来年もやったるけん、と言ってくれた懐の大きさに、うまくいかなくても頭を下げて飛び込む度胸が次に繋がることを痛感しました。
西森邸からの帰路、田舎あるあるのコイン精米機で精米を済ませ、ついに真っ白なお米が完成…!感無量です!!
おにぎりの会、開催
私たちド素人の米作りを、心配しながら手助けしながら応援してくれたご近所のじいちゃんばあちゃん。
「できたらおにぎり配るからね〜!」と言っていたのをついに実現させる時。
でもご近所なんだから、集まって一緒に食事をするのがホントは1番いいのかも。
こんな状況だけど徳島も神山も比較的落ち着いているし、何よりみんなが元気でいてくれている今、これは絶好のチャンスだって思ったんです。
そしてついに、ご近所さんのご夫婦3組がしずくギャラリーショップ前の母屋にやってきて、スタッフと一緒に総勢12人、みんなで一緒に私たちが作ったおにぎりを食べることが出来ました。
つやっつやでピカピカの塩むすびと、ご近所さんお手製の梅干しを使った梅にぎり。
朝採りの小松菜のおひたしや、お漬物、徳島の郷土料理のそば米汁。他にもビールやフルーツ、お菓子やなぜか洋服まで!笑
スタッフやご近所さんそれぞれの好意で、たくさんのいただきものが集まり、まさに収穫祭という宴が平日の昼間に繰り広げられました〜!
「ほんまにおいしいなぁ」「ようできたでぇ」「やっぱり天日干しのお米は格別じゃな〜」「ようけ雑草生えとったのに頑張って草取りしとったなぁ」
口々にみんながそう言ってペロリと食べてくれる様子や、手前味噌ながら甘くてみずみずしいおにぎりを頬張りながら、スタッフみんなが「ほんとに自分たちで作れちゃったね、ほんとに美味しいね」と嬉しそうに話す姿に、
準備が万全でなくても失敗しても、それでもチャレンジしたこと、最後までやり切ったことは大正解だったと強く思いました。
田んぼをやってみて見えてきたもの
外出自粛というかつてない状況とショップの休業という事態になって、初めて手をつけた畑と田んぼ。
先生のいない、上司も部下もないみんながゼロの同じ立場になってみて出てくるキャラクターやそれぞれの性格。
日頃の仕事や日常で培ったスキルが、農作業というフィールドで活用できたときの発見やうれしさ。
一体感や団結力は、この1年で今まで以上にずいぶんと付いたと思います。
当たり前に食べてきた野菜やお米、当たり前に食べられることへの感謝の気持ち。
自分たちで作れたという充実感、鮮度だけとっても確実にいつも以上のおいしさ。
手を動かせば、育つ。植物の力と自然の恵を実感として感じる日々、土や虫や動物、
人間も含めて自然の一部なんだと改めて思い知らされる、そんな時間を味わいました。
SHIZQチームはたったの6人。いつも精一杯、なかなか余裕が作れない現状ですが、
地域の人やご近所さんが、自分たちが思っている以上に私たちを見守ってくれていること。
その懐のなかで、大いにチャレンジしてみたら、想定外のたくさんの笑顔が見れたこと。
野菜やお米以上の、余りある実りをいただいた何物にも代え難い経験となりました。
このメンバーで、たくさんの方に支えられながら、2020年という年を神山で過ごせたことに改めて大きな喜びと安心感、選んできた事実に自信がついた出来事でした。
これからも沢山の経験を学びに変えて、多くのみなさんに還元できるように私たちなりに取り組んで行きたいと思います!
移住×田舎暮らしをしずくスタッフ目線でお届け中!
今回ご紹介したSHIZQ米・完結編はYouTubeでもお送りしています。
大阪から移住し9年目の代表と、静岡、福岡、岡山、大阪から移住した4人+徳島出身のスタッフらで繰り広げる神山での日々の生活や田舎暮らしのリアルを赤裸々にお届け。
「田んぼ」や「畑」をはじめ、四季折々の田舎暮らしの模様。こんな場所でこんなメンバーがしずくを運営していることを知ってもらえたら…と始めました。ぜひご覧ください!高評価&チャンネル登録もどうぞよろしくお願いします^^