神山の冬の風景

【新年ご挨拶】企業秘密(?)のものづくり改革について

2026年1月6日

新年あけましておめでとうございます。

旧年中は、神山しずくプロジェクトの活動を見守り、支えてくださり、本当にありがとうございました。

今回は、しずくブランドの「ものづくり改革」について、綴りたいと思います。

しずくの製品ができるまでの、言わば企業秘密(?)を改めて、明らかにしますので、ぜひ最後までお付き合い頂けると幸いです。

さて、皆さんもご存知のように、しずくのカップや椀などは、杉の赤身と白太のツートンカラーを活かしたデザインが特徴で、唯一無二の存在です。

「杉を横木で削る」という前代未聞のチャレンジに応えてくれたのは、50年木地を挽いてきたろくろ職人でした。神山の森を佳くしていこうと杉の新しい価値を創造しようとするしずくと、長年培われた木地師の技術とのコラボレーションによって、世の中に新たに生まれたのが、しずくブランドでした。

発売当初は、わずか3坪の店舗に見本を並べ、ご注文を頂いてから一個一個お作りするところから始めました。皆さんの心よりの応援があって、お祝いごとや記念日など、贈答品としてしずくを選んで下さる方もだんだん増えてきて、4年前には専門店を開設するまでになりました。本当に感謝の気持ちでいっぱいですが、どの商品も欠品が多く、ファンの皆さんのご期待に添えない状態が続いているのが、本当に申し訳ないと感じながら数年が経っています。

一方、木地を挽くということは、大きな杉の木を製材などで小さくして、乾燥させ、さらに細かくした角材を、さらにまた削り出していく作業です。

林内で伐採された杉の木は、およそ2トンもの重量(直径や樹齢、条件で変わる)があります。枝打ちし、丸太の状態にしたものを、しずくでは3.7mに造材します。一番玉と二番玉を使うことがほとんどです。

しずく製造工程1(伐採と造材)

造材した丸太を山から搬出し、製材所で1本1本皮を剥いて、木の直径や木目をみながら、特殊な方法で製材し、赤身と白太のツートンを切り出していきます。最初は70cmほどの長さで管理され、自然乾燥ののち、工房でさらにブロック状にしていきます。

しずく製造工程2(製材と乾燥)

次は、木工所の加工工程に入るのですが、まずは長さ70cmの長い角材を、それぞれの製品に合わせて製材しブロック状にします。そして、さまざまな木工機械を駆使しながら、例えば、カップを製作する工程で言えば、角を落とし、筒状に丸め、ドリルで穴を空け、最後には、ろくろを回し刃物を当てカップ形状に削り出していくのです。

このことは、最初の角材が100だとすれば、外径や内径の80を削ぎ落とし、20の木地にするということと同義。つまり、100のものを20まで削ることが木工所の仕事であると言えます。

木工所の手仕事を計算式にしてみると(100% – 80% = 20%)となりますよね?

仕事量は「80」です。しかしながら、それは1個の場合です。
それを100個製作するとしましょう。(80 × 100 = 8,000

しずく製造工程3(木地加工)

200個の場合は16,000、300個の場合24,000…400個の場合…

この数字は、そのまま職人の身体的負担と、集中力の消耗を意味します。

私たちが今年取り組む改革は、
この「80」を根本的に見直すことです。

たとえば、80のうち
40を機械や仕組みに任せることができたとしたら?

40の仕事 × 100個 = 4,000
この「4,000の差」が、私が長年構想してきた「改革」です。
このことは、決して、手を抜くことでも、品質を下げることでもありません。

人でなくても担える部分を、機械に委ね、
精度を保つための仕事や、繰り返しが必要な仕事は、きちんと仕組み化する。

そうして生まれた余白を、
人にしかできない領域へと繋ぐ。

木目を観る感性
刃物を滑らす瞬間の集中力
仕上げる際の、手の感触や肌感覚
そして、新しいプロダクトを産む想像力

実は、2025年10月から、代表である私自身が工房に入り、
技術面や工程の根幹から見直しを図り、ものづくりにガチで関わってきました。

日本の木工ろくろで育まれてきた定量化できない感覚値と、
西洋旋盤の合理性や精度、技術面を重ねながら、
両者を融合させ、新しいしずくの表現と生産体制を再デザインし、
より良いものづくりへ。新しい削りのかたちを探っています。

これは、より自由な造形のための挑戦です。

この「改革」によって、私が成し得たいことは、
ファンの皆さんの手元に、クオリティの高いしずくブランドの商品をちゃんと届けたい。
しずくに携わるスタッフさんや、関係者のより豊かな暮らしを実現すること。
そして、神山の森や里山環境を佳くすることで、日本のモデルを築くこと。

現在、新生しずくブランドに向けた準備を進めています。
工房の在り方、専門店の在り方、そして環境改善の在り方。

静かに、しかし確かに、
次のしずくが生まれる場所、そして大事なことを整えているところです。
皆さんには、4月を目処に、新生しずくをお披露目できる予定です。

本年も、神山しずくプロジェクトを
どうぞどうぞ、よろしくお願いいたします。

 

神山しずくプロジェクト
代表 廣瀬 圭治