こんにちは、神山しずくプロジェクトです。
夏の日差しが徐々に柔らぎ、ここ神山は秋の気配が漂いはじめております。
突然ですが、みなさんは「阿波すだち鶏」をご存知ですか?
「阿波すだち鶏」とは、イシイフーズが飼育・販売を行っている「特別飼育鶏」のこと。イシイフーズさん(以下敬称略)といえば、「神山鶏」ブランドでも有名ですね。
「阿波すだち鶏」は、飼育中に抗生物質・抗菌剤を使用せず、すだち果皮などをブレンドした混合飼料を与え大事に育てられた鶏で、ブロイラー特有の臭みがなく、ジューシーでさっぱりとした味わいが特徴です。
じつはこの「阿波すだち鶏」、しずくと意外な繋がりがあったりします。
なんと、杉の器を作るときに出る削りくずを、「阿波すだち鶏」を飼育する養鶏場さんで活用いただいているのです。
今回は、実際に削りくずを使ってくださっている神山町の「阿部養鶏場」さんへ訪問した時のはなしをみなさまにお届けします。
鶏のベッドになる杉の削りくず
そもそも、なぜ杉の削りくずを養鶏場で活用いただくことになったかを説明しますね。
しずくでは、活動当初から大事にしていることがあります。
それは、1本の杉を余すことなく活用すること。
しずくでは、杉を伐採して器やアロマ製品を作っていますが、「木の命をなるべく大事に使いたい」という想いから、様々な活用方法を見出してきました。
例えばろくろ職人がコップを作るときに、生まれる削りくず。
この削りくずは2014年のオンラインストア販売開始当初から、商品発送の緩衝材に使っています。
さらに、ふるいにかけた後の細かなものは養鶏場に引き取ってもらい、鶏のベッドとして活用いただいているのです。
その引取先が阿部養鶏場さん。今月初旬、削りくずのお渡しも兼ねて、阿部さんのところへ訪問してきました。
「阿波すだち鶏」が育つところ
神山町では、イシイフーズの契約農家として「阿波すだち鶏」を飼育する養鶏場がいくつかあります。阿部養鶏場さんもその1つ。
846坪という広大な敷地に、全8棟の鶏舎があります。ここで徹底した管理体制のもと「阿波すだち鶏」の飼育を行い、年間約17万羽の鶏をイシイフーズに出荷しているそうです。
抗生物質・抗菌剤投与を行わない養鶏では、いかに鶏が病気にかからないようにするかが鍵となります。
鶏舎にやってくる雛は卵から孵ったばかりで、体重は40g前後ほど。少しの気温の変化も命取りになります。阿部養鶏場では、鶏舎に削りくずを敷き詰めたり、設備の調整を行って、雛たちが快適に過ごせるよう環境を整えています。
鶏のベッドとなる木くずですが、養鶏場全体で使う量はかなり多く、普段は定期的に業者から購入しているそうです。しずくの削りくずはわずかですが、このような形で活用いただけることが、何よりもありがたいです。
「阿波すだち鶏」から考える食の安全
一般的な養鶏では、病気予防のために抗生物質・抗菌剤投与を行います。その目的は、一度に多くの鶏を効率的に育てるためですが、この生産性を重視した方法はある種の問題を引き起こすことになりました。(引用元_鶏の一般的な飼育方法)
それは、「薬剤耐性菌(=薬が効かない菌)」の出現です。
この薬剤耐性菌が含まれる鶏肉を食べると、免疫力が低い人などは、病気にかかった時に抗生物質が効かなくなる恐れがあるそうです。(引用元_ 薬効かない菌、鶏肉の半数から検出)
現代社会の食を支える畜産業には、このような現実があるのです。
そのようななか、イシイフーズでは、平成元年より抗生物質・抗菌剤を使用しない鶏の飼育法の研究を開始しました。自社で開発した混合飼料「イシイミックス」を鶏に与えることで、鶏の腸内に善玉菌が増え、免疫力が高まり、病気にかかりにくくなるそうです。(引用元_イシイフーズの取り組み)
他社に先駆けて食の安全を追求してきた企業が徳島にあるなんて、とても素晴らしいと感じます。
食肉のなかでも、比較的購入しやすい「鶏肉」。
ふだん何気なく口にする食べ物が、どのような過程を経て私たちの身の一部となるのか、色々と考えさせられる機会となりました。
余談にはなりますが、数年前イシイフーズさんが商品パッケージやパンフレット、ホームページや企業ロゴなど会社全体のリブランディングに取り組まれた際に、しずくプロジェクトの運営元であるキネトスコープ社がお手伝いをさせていただいた経緯があります。その際にも、本物の価値を長年にわたり提供しつづける地元企業さんの存在に感動したことを、今でも強く覚えています。
それから時間が経ち、しずくとして偶然にも阿部養鶏さんとのご縁がつながったことも、とても感慨深く感じています。
今回、お話をしてくださった阿部悟さんとお母さま。
普段なかなか知ることのできない養鶏というお仕事に触れる貴重な機会となりました。命と向き合い、「阿波すだち鶏」の飼育に尽力する阿部さんのところで、しずくの削りくずを活用いただけていることを本当に嬉しく思います。暑いなかお邪魔したにもかかわらず、ありがとうございました!これからもよろしくお願いします。
養鶏家直伝「阿波すだち鶏」の美味しい食べ方とは?
今回、阿部養鶏場のお母さまに「阿波すだち鶏」の美味しい食べ方について伺ったところ、「ささみの唐揚げ」を教えてくださいました!
こちらの料理、阿部家でも定番のメニューだそうです。
まず「阿波すだち鶏」のささみ肉を一口サイズに切り、醤油、砂糖、擦りおろし生姜を入れたタレに漬け込んだ後、唐揚げ粉をまぶして油で揚げるというもの。
ポイントは、鶏肉のタレにたっぷりと生姜を入れること。
生姜が唐揚げの脂っこさを軽減し、鶏肉のさっぱりした味わいを引き出してくれます。
興味のある方は、ぜひ試してみてくださいね。
「阿波すだち鶏」はどこで手に入る?
ここまで読んで「食べてみたい!」と思った方向けに、取扱い場所をまとめてみました。
神山町では、ミートショップたかはしで購入することができます。また、石井町の阿波食ミュージアムや応神町の喜多野安心市さんほか、徳島県内のいくつかのお肉屋さんでも取扱いがありますよ。
徳島県外ですと、関西・中部地方などの一部のイトーヨーカドーでも販売されているそう。
関東方面で購入できる場所は現状なさそうですが、上勝ビールの東京店である「RISE & WIN Brewing Co. KAMIKATZ TAPROOM」で、阿波すだち鶏を使った料理が楽しめるそうですよ!
より詳しく取扱店をご覧になりたい方はこちら→イシイフーズHP
さて、だんだんとお腹が空いてくる内容になってきましたが、、笑
「阿波すだち鶏」としずくの意外な繋がり、いかがでしたでしょうか?
「阿波すだち鶏」から見えてくる食の安心・安全、養鶏家という命を扱う仕事の大変さ、この現場を支える阿部さんには頭が上がりません。
微力ではありますが、これからもしずくとして阿部さんの取り組みを応援できればと思います。