こんばんは。しずく主任の渡邉です。
本日、21時よりタイトルの通りSHIZQはじまって以来の大規模B品市をスタートしました!
70点を超える対象商品が一律40%オフ。5,060円の鶴ぐい呑みは、なんと3,036円。ただし、ぐい呑みをはじめ1点しかない商品種もありますので、お早めにwebストアからご確認ください。
じつは、今回のB品市開催の経緯には、しずくの抱えている大きな課題が絡んでいます。
それはズバリ職人の高齢化問題。杉を木工ろくろで扱う職人は、今でも大変貴重な存在で、木を削り出して形を作る木地師(きじし)と、それを食器に変身させる塗装職人。この両軸がしっかりと噛み合って初めて水分や油分も受け止められる器として完成します。
柔らかくて加工の難しい杉にチャレンジしてくれたのは、高い技術と気概をもつ熟練職人でした。しずくをはじめて早7年、寄る年波。自然相手、人の作るものだから、多少の差や違いも個性として捉えています。しかしお店に並べる直前の検品で、どうしても外さなければならないものも実は増えていました。小さなキズやよーーく見ないと気づかない仕上げに使うサンドペーパーの粉など。杉の柔らかい部分にくっつき、塗装前には私たちでも虫メガネで見てやっとな細かさ。
自然由来のものは、それが個性だとしっかり説明して販売しています。でも、やはり人工的なものに関しては、SHIZQとして出すのは難しい。職人は精一杯やってくれている。状況を伝え、改善も試みてくれる…。それなら、店頭でしっかり説明してアウトレットで使ってくれる方を探そう。職人に助けられてきた私たちだから、職人を守っていきたい。そうやって今まで来たけれども、その数がどんどんどんどん増えていく。作ってくれてるのに正規品の在庫も足りない。。
腹を決めて職人と話し合っても、根本的解決には繋がらず。若手もまだまだ育たない…。そうして溜まっていく正規では売れない子たち。「杉を早く辞めればいい。他の木材ならもっと簡単」、そんな言葉を耳にする日もありました。でもそれじゃ、しずくをやってる意味がない。職人の病気や再発、健康問題もリアルにのし掛かっても来ました。出口の見えないトンネルをずっとずっと走っている感じです。
今でも出口を出たわけではありません。未だトンネルの中。それでも出口の先が見えだしたのは、ひとえに若手職人のめざましい成長があります。しずくの木工ろくろをやりたいと大阪から移住、修行をはじめて丸2年。この半年で一皮も二皮も剥けたところです。
この事実をようやく言葉にして、みなさんに伝えられるタイミングになりました。苦しい中カッコつけずそのままを伝えて、いつも応援しくださる皆さんに助けてもらったら?そんな意見も中ではありました。それが出来なかったのは私自身の弱さでもあります。スタッフも増え、B品も増え、不安ばかりが大きくなって怖かった。
でも結局、その状況を打破してくれたのは他でもないスタッフや、彼らを育て支えてくれる職人、そして何より、いつも応援してくださるみなさまの存在。
今、しずくラボは塗装ブースの工事中です。去年から進めたかった塗装の内製化も来年から取りかかる予定です。まだまだ歩みは遅いけれども、ひとつひとつ挑戦を続け、諦めずにできるまで辞めないこと。それが、私たちにできるただ一つのこと。
B品で出すのは、甘えじゃない?自問もしました。でも、丸太を切って乾燥させるところから2年、手塩にかけて生み出した器たちは、どれも愛おしいんです。プレゼントにならなくても使い手をさがして日の目をみさせてあげたい。その思いで、この企画に踏み切りました。
今回のB品市は、私たちからみなさまへのヘルプでもあります。もしよければこの機会に、こんな不器用なプロジェクトですが、応援してやってもらえませんか?
私たちはそれを糧に、田舎でド素人がはじめたおこがましい程の理想を夢見たプロジェクトが、たくさんの方の力を借りて成長していく姿を通して、新しい価値や希望をこれからも創造していきます。
今年は暖かく私たちの住む神山は只今、紅葉シーズンを迎えています。杉だらけの真緑な山々を見渡し、ぽつんと真っ赤や真っ黄色に染まる木をところどころで見つけては、山に囲まれたこの景色が、すべて紅葉したときには、どれほど美しいのだろうと想像しながら、車を走らせています。
この2年分の事情を、さいごまで読んでいただき、本当にありがとうございました。これを伝えられたことで、また一つ私たちは成長していくと思います。これからも神山しずくプロジェクトをどうぞよろしくお願いいたします。