シーカヤックで巨樹を見に行った話
こんにちは、神山しずくプロジェクトのスタッフ藤田です。
連日雨が続いた神山では、山や畑の植物がぐんっと成長したように感じます。
先日、梅雨の晴れ間を狙ってシーカヤックを漕ぎにいってきました。
訪れたのは香川県三豊市。
三豊市といえば観光地として有名な父母ヶ浜がありますが、今回の目的地は瀬戸内海の「志々島(ししじま)」!
塩飽諸島に属する人口およそ20名の小さな島で、かつては花卉業(かきぎょう=鑑賞用の花の栽培)が盛んだったそうです。
この島には樹齢およそ1200年の大クスがあり、「島の守り神」として今も大切にされているとのこと。1200年前といえば、源平合戦の戦いよりもさらに昔になりますね!
普段は山にまつわる話が多いですが、今回は瀬戸内海で出会った巨樹について紹介したいと思います。
瀬戸内海の島へ
「志々島(ししじま)というところに、巨大な大クスがあって。すごい迫力があるから、一度連れて行きたいんよね。」
そう話してくれたのは「Trip 四国の川の案内人」のアウトドアガイド・牛尾さん。
職業柄これまでたくさんの巨木を見てきた牛尾さんですが、志々島の大クスがとにかく迫力があるとのこと。それは是非見に行かねば!ということで、カヤックを漕いで行って参りました。

内海はのんびりした雰囲気がただよっていました
車が交通手段になる前、瀬戸内海は人や物が行き交う重要な「航路」でした。
いまでは島への連絡船が時たま通ったり、遠くに貨物船が見えるくらいでとても静か。
のどかな内海をゆっくりカヤックで漕いでいきます。
運がよい時は、スナメリという小型のイルカと遭遇することもあるそうですよ!

途中、粟島のはずれにある砂浜にカヤックをつけて、お昼ご飯を食べました。
さえぎるものがない晴れた海上は、なかなか過酷….
海岸沿いの小さな木陰の下は涼しくて、まるで天国の様でした。
島の奥で静かに佇む巨樹
木陰で休んだ後はさらに漕ぎ進み、目的地の「志々島」へ。
港の脇にある砂浜にカヤックをとめて、いざ出発!集落を抜けて山を登っていきます。歩くこと20分ほど、山頂付近から山の裏手側にまわったところに「大クス」がありました。

Via 三豊市観光交流局 https://www.mitoyo-kanko.com/shishijimaisland/
うねるように伸びる太い枝、表皮には苔が生え、その上からさらに新しい植物が芽生えています。その大きさたるや、まさに「島の守り神」にふさわしい存在感を放っていました。
調べたところによると、過去にこの一帯で土砂崩れがあり、根に近い部分が5mほど埋もれているとか。全体像はさらに大きく迫力ある姿だったのではと予想されます。
かつては大クスのまわりにも民家があったそうで、今よりもたくさんの人が島に住んでいたのでしょう。
日の入りが近づいていたこともあり長居できませんでしたが、島民の方にゆっくりと話をうかがってみたくなる、そんな場所でした。
森を支える大きな木
ところで、巨樹が森の中でどのような役割を持っているかご存知ですか?
鎮守の森には、マザーツリー(=Mother Tree)と呼ばれる木があります。森でもっとも大きな木を指し、そのような巨樹は森の中のすべての木や植物とコミュニケーションをとっているそうです。
さらに興味深いのは、マザーツリーは周囲の木々や植物に栄養を分け与えているということ。
大きな木は、雨や風から自身をまもるために森を作ろうとします。
そのために、周辺にある小さな木や植物に地中の菌類ネットワークを通して栄養を送るのだそう。
マザーツリーは森の生態系を支える重要な存在なのです。
昔話から読み解く自然との関わり方
志々島の大クスにはこのような話が残っています。
明治時代、大楠の枝を切った人が病にかかり、祈祷したところ、「神として祀れば許す」というお告げがあった(引用元:NHKアーカイブ)
実際の因果関係はさておき、島民にとって大クスの存在が非常に大きかったことが伺えます。
他の地域でも巨樹は御神木として信仰の対象になっていたり、あの淵には巨大な鯉がいるが川の主だから採ってはいけない。という話が残っていたりしますが、このような古い言い伝えは、単なる無知蒙昧な話として片付けられない部分があります。
生物多様性の専門家・坂田昌子さんは
「その土地に長く生きているものを移動させることは、生態系の撹乱を引き起こす」と話していました。
マザーツリーの話でいうと、巨樹を切ることで周辺の木々は栄養を得ることができなくなり、森全体が弱ってしまう可能性があるのです。
だから昔の人たちは、祟りというようなある種の「物語」を用いて、自然との関わり方を後世に伝えようとしてきたのかもしれません。
志々島の大クスも、マザーツリーとして周りの木々と交信しながら島の環境を支えているのだと思います。私たち人間が目で見えるものだけでは判断できない、複雑で多様な関係性が自然界にはあるのですね。

志々島の楠の倉展望台からの眺め
人の心の重さが、その土地を鎮めている
正直なところ、志々島での散策ではなんともいえない寂しさを少し抱きました。
港のあたりでは島の方に会いましたが、集落の奥に進むにつれて人の気配がなくなり、道中には朽ちた空き家が目に入ってくるのです。
もちろん、過疎化はこの島に限ったことではありませんが、やはり人の気配がなくなった風景には独特の寂しさがあります。
一方で、志々島港から大クスまでの道中には、ところどころに手作りのベンチが置かれていたり、いくつか看板が立っているのを見かけました。観光で訪れる人たちに向けて、どなたかが整備されたのでしょう。大クスのまわりも、定期的に清掃活動が行われているそうです。
そのような様子から、この小さな島を大切に想う人たちが確かにいることを感じました。
新海誠監督の映画『すずめの戸締まり』で「人の心の重さが、その土地を鎮めている。」という台詞がありますが、まさにそのような印象を抱きました。
日本各地で過疎化が進み、地域固有の伝統や文化は失われつつあります。
だからこそ、いま自分がいる場所を足元から見つめていく。
自分の手の届く範囲から、関わりをたどっていくことが大切なのかもしれませんね。
おわりに
じつは、ここ最近、森と海のつながりを感じられている方々からのしずくへの応援が増えました。
例えば、海まで10分の建材屋さんが運営するセレクトショップDEMI1/2で、しずくの製品をお取り扱いいただいています。
DEMIさんはストレートに「海のそばで木を使った仕事をしているからこそ、しずくさんの取組みを応援しつながりを持ちたい」と2年前にオファーをいただいたのがきっかけでした。
山から海へ繋がるご縁をこれからも大切に育むとともに、今後もいろいろな情報を発信していきたいと思います。
▼しずく製品の取り扱い店舗
https://shizq.jp/shoplist/
<志々島に行く方法>
香川県三豊市の宮下港から、粟島汽船に乗って約20分ほどです。
大クスの近くには天空の花畑という場所もあり、季節によっては、丘一面に花が咲く様子が見れるかもしれません!
ぜひ一度訪れてみてくださいね。
詳しくは三豊市観光局のウェブサイトをご確認ください。
<なぜ森の主(ヌシ) マザーツリーは伐ってはいけないか>
この話については、2023年に開催したSHIZQ10周年記念事業の基調講演会で、坂田さんが詳しくお話ししてくださっています。

動画を見る方は画像をクリック↑(57分35秒あたりです)
しずくストア営業再開しております

こんにちは。
神山しずくプロジェクトです。
明日はいよいよ夏至ですね。最近は日も長く、本格的な夏の始まりを予感します。
毎年恒例の一ヶ月休業、みなさまのご理解とご協力のもと無事に実施することができました。本当にありがとうございました!

知人の手伝いを借りて、台所の古くなった床を塗り替え
かくいう私(スタッフ藤田)も、休暇中は家族や友人と過ごしたり、古民家のリノベーションや掃除など行いました。日常生活で後回しにしていたあれこれを片付けることができて、とてもすっきり!
こうやって暮らしを整えたり大切な人と過ごす時間を持てることは、何よりもありがたいです。
しずくストア営業再開しております

昨日から無事に通常営業を再開しました。お近くにお越しの方は、ぜひお立ち寄りください。
また、1ヶ月セール期間中にご注文いただいたお客様には、順次商品の発送を行っております。
到着までもうしばらくお待ちいただけますと幸いです。
そして!いよいよ来週には、しずく10周年事業の締めくくりとして「水源涵養力を育む環境改善ワークショップ in 神山町」を開催します。
環境改善の第一線で活動している坂田昌子さんにご指導を頂き、生活水の枯渇問題の原因となっている課題エリアに手を入れていきます。みんなで楽しみながら環境改善のノウハウや経験を共有し、水と空気の循環を取り戻し、豊かな場所へと戻していく試みです。
おかげさまで30人×3日間の枠もすべて埋まり、現在キャンセル待ちの状態です。たくさんの方からの反響や応援のコメントもいただいており、みなさまの関心の高さを感じています。
神山しずくプロジェクトとして、次の10年で向き合う課題でありスタッフ全員で取り組んでいきたいという思いから、ワークショップ期間中(6/26,27,28)しずくストアは臨時休業とさせていただきます。大変恐れ入りますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。
後日ワークショップの様子もご報告する予定です。
これからのしずくの活動もどうぞお楽しみに!
動画:生物多様性の坂田昌子さんに学ぼう!!「水源涵養力」を育む環境改善ワークショップ@神山町

【満員御礼・キャンセル待ち】水源涵養力を育む環境改善ワークショップ開催のおしらせ
2024.7.23追記
おかげさまで無事に初回WSを終えることができ、開催レポートを公開しました。動画もありますので、ぜひご覧ください。
生物多様性の坂田昌子さんに学ぼう!!
「水源涵養力を育む環境改善ワークショップ」開催のお知らせ
生物多様性と土中環境をテーマに自然に寄り添う環境改善を一から学び、実践していくワークショップです。いま神山の至るところで起こっている生活水の枯渇問題、このフィールドが神山の未来に繋がる学び舎となっていきますように。

皆さん、こんにちは。
神山しずくプロジェクト 代表の廣瀬です。
われわれ神山しずくプロジェクトでは、活動当初から山林や水源のあり方と10年向き合ってきました。いまなお、多面的機能を失いつつある山林整備の必要性を啓発しながら、町産材の新たな活用法を提案してきました。しかし、毎年のように生産林に入り、間伐を進めてはいるものの、改善の実感が持てないまま、疑問が募る日々を過ごしていました。
そんな中、ご縁があって生物多様性の専門家 坂田昌子さんと出会い、土中環境や菌根菌、思想、文化など、里山の暮らしと多様性が密接な関係にあることを学ぶ機会を得て、新しい視点と知識をたくさん頂きました。
昨年の7月には、10周年事業として「昔の暮らしと、森に想いを寄せる勉強会」と題して、シンポジウムを開催。加えて「生物多様性」をテーマにしたオンライン講座を開催し、参加者の皆さんから大きな反響を頂いたところですが、今年は、次のステージへ一歩踏み出すことにしました。
神山町で見つけた典型的な里山古民家の環境改善ワークショップを開催します。
民家の前面に広がる谷には、昔、棚田として使われいた耕作放棄地、傍には茅場や茶畑、裏には畑と果樹園、そして、その後ろに常緑樹林を背負っています。こんな典型的な里山古民家ですが、残念なことに井戸が枯れ、水の動きが感じられない場所となってしまっています。

ここ数年、神山町では、水が枯れたお家の話をよく耳にするようになりました。
この問題は、山林の状態や土中環境が密接に関係していると考えますが、適切に手を入れてやれば、水の豊かな場所を取り戻せるんじゃないかと、私は考えるようになりました。
そこで、坂田昌子さんに指導を頂きながら、この典型的な課題エリアに、みんなで手を入れることで、楽しみながら改善のノウハウや経験を共有し、水と空気の循環を取り戻し、豊かな場所へと戻していく、神山町の新しいモデルにしたいと思っています。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=z6fnE8EP-Sg?si=DVAVHS2QyWpN6u0T&w=560&h=315]
自然の営みを取り戻すための手入れとは?
その初手として、以下の内容を行います。みんなでワイワイ手を動かし様相の変化を見るだけでも達成感や充実感のある体験です。さらに、ふだん目にする自然に対する解像度が上がるのも、坂田さんのWSの大きなポイントです。
「答えは自然が出してくれる」という坂田さんの指導のもと、和気藹々と作業を進めていきたいと思います。坂田昌子さん四国初のワークショップでもあり、おかげさまで申込みも次々いただいています。ご興味ある方はぜひこの機会にご参加ください。

内容:
本来、山に降る雨は、ゆっくりと大地に染み込み、浄化されて湧き出してきます。しかし植生が単一化された現状では、雨水は地表をすべり落ち、土を巻き込んで勢いよく流れ落ちてしまいます。結果的に地面は乾き、いっそう乏しい土壌環境を生み出します。加えて、家のすぐ裏にあるコンクリート溝が土のなかの水脈を停滞させてしまっています。
水源再生の手はじめとして、まず流れ落ちる雨水と土砂を堰き止め地中に浸透していく仕組みを作ります。
今回は、山と田畑の境界である山のきわに杭を打ち込み、「しがら組み」を施すことで、雨水を受け止める土台を作ります。木杭と枝、落ち葉だけで作るしがらは、まるでビーバーダムのような役割を果たし、昆虫や鳥・萌芽を促すベッドのような機能も期待できます。
この循環型工法である、しがら組みは、生態系の改善をめざした環境改善では、要の手法となります。今回のワークショップでは、このしがら組みをマスターしていただくことを第一目標に、優先順位の高い山ぎわ・裏山としがらを組んで、健全な水の動きを取り戻すための第一歩をめざします。
また家の裏にあるコンクリートU字溝を取り外し、その下を流れているはずのわずかな水脈にアプローチしたいと考えています。水と空気を遮断するU字溝を外したあとは、藁と石を使用し、小さなせせらぎを作る予定です。均一的な流れではなく、広範狭小・高低差をあえて設けることで自然物の好む小川に近づける造作を行います。
水と空気の循環を取り戻し、豊かな場所へと戻していくための
第一回 「環境改善ワークショップ」
日時:
2024年6月26日(水)27日(木)28日(金)の3日間
スケジュール:
・6月26日(水)
12:30 受付開始
13:00〜14:00 坂田さんの周辺ガイド
14:00〜17:00 はじめてのしがらづくり(山際のしがら)
・6月27日(木)
09:00 受付開始
09:30〜12:00 はじめてのしがらづくり(山際+照葉樹林のしがら)
12:00〜13:00 昼食
13:00〜16:00 はじめてのしがらづくり(山際+照葉樹林のしがら)
・6月28日(金)
09:00 受付開始
09:30〜12:00 U字溝の撤去・石積みで小さなせせらぎを作ろう
12:00〜13:00 昼食
13:00〜16:00 石積みで小さなせせらぎを作ろう
※雨天決行(大雨の場合は別内容の予定)
※参加者の技術レベル等に合わせてレクチャーおよび作業内容が多少変わります。
定員:
3020名程度 \ 10名増員しました/
参加費:
1日4,000円 保険料込み(+お弁当代 希望者のみ)
※当日、会場受付にて現金でお支払いください。
※全日参加(3日間)の方を優先する場合があります。
※高校生以下は無料
お申し込み:
以下のオンラインフォームから
※定員に達し次第、募集を締め切ります。
※後日、参加確定のご連絡をメールいたします。
講師:
坂田昌子さん
明治大学文学部史学科卒業。一般社団法人コモンフォレストジャパン理事。 虔十の会代表。前・国連生物多様性の10年市民ネットワーク代表。 東京高尾山にて生物多様性を守り伝える為に、ネイチャーガイドをされながら日本各地を駆け回りつつ、生物多様性条約や地球サミットなど国際会議にも継続的に参加。
開催場所:
徳島県神山町上分地区(参加者の方には詳細を後日お知らせします。)
現地までの移動は基本的に参加者各自でお願いしますが、開催までに参加者同士のFacebookグループチャットを立ち上げます。そこで乗り合わせの相談などが出来ると思います。
当日の服装や持ち物:
泥だらけになってもいい動きやすい服装と靴でお願いします。
水筒、帽子、軍手やグローブ、長靴・地下足袋・雨具、着替え、タオル。
できれば1人1つずつご持参ください:枝切り用手のこ、剪定ばさみ、移植ごて。腰ベルト・腰袋の上、紛失防止のため記名推奨。
※蜂対策のため、黒い衣服や帽子は控えて下さい。
神山町宿泊施設情報:
神山町の宿泊施設をご利用の参加者は、こちらを参考にご自身でお手配下さい。
お問い合せ:
神山しずくプロジェクト info@shizq.jp
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=St9PoXrs4MQ?si=j1f3wyxFK8Zic_3G&w=560&h=315]
開催レポートを公開しました。参加者の皆さん、本当にありがとうございました!動画もありますので、ぜひご覧ください。
2024年一ヶ月休業のお知らせ
こんにちは。神山しずくプロジェクトです。
5月20日(月)〜6月18日(火)の間、スタッフ研修も兼ねてSHIZQ STORE&オンラインストアおよびその他業務を休止しております。
休業明け営業日は6月19日(水)です。
皆様にはご不便おかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
オンラインストアについて
5月17日(金)までのご注文分については通常通り発送、5月18日(土)以降のご注文分については、6月19日(水)より順次発送となります。

休業とセール開催の経緯
神山しずくプロジェクトの運営元であるキネトスコープ社は、2012年に大阪から神山にサテライトオフィスを構えた小さなデザイン会社です。
インターネットがあればどこでも仕事ができる、地方にこそ自分たちのめざす真の豊かさがある。そう信じて、神山に来ました。
それから早12年、時は流れあのときの決断が、私たちの生活にもたらした実りの大きさは、正直予想以上です。
神山に来たからこその仕事、生活、そして生き方を模索するなかで、2018年にはじめた一ヶ月休業。
山間部に多い冬季休業からヒントを得て「それを1番いい時期にやってみよう!」というのが私たち流。その結果どうなるか、何が変わるか、それも含めての実験でありスタッフ全員、ひいては会社の学びと考えています。
移りゆく時間のなかで、大事なもの・守るものも少しずつ増えています。それでもやっぱりやってみようと毎年違う経路の思考をめぐらせ、今年もこの選択を選ばせていただきます。
休業期間を実施して今年で7年目。仕事も仕事以外のどちらも、取り替えのきかない人生の大切な一部だと、より実感をもって言えるようになっています。だからこそ真摯に向き合い自分たちの手で責任をもって選んでいきたい。
たくさんの方のご理解とご協力に感謝し、これからを作る大事な期間と考え、今年も実施させていただきます。
何卒よろしくお願いいたします。
ストア3周年記念!プレゼント企画のお知らせ
こんにちは。神山しずくプロジェクトです。
春が到来し、ストアの玄関前にある桃の花が見頃を迎えました。
毎年この時期になると、しずくストアがオープンした頃を思い出します。
旧ギャラリーショップからこの場所に移り3年、しずくストアを中心にたくさんの方の交流の場にもなり、私たちの想像を遥かに超えて、大切に想っていただけている事、またお客さまとの絆が深まったことを実感しております。
最近では「前から通るたびに気になっていたんです」と地元の方や県内の方にご来店いただくことが増え、ラウンジご利用のお客さまもたくさんいらしてくださります。
「SHIZQ STORE」という場所が、お一人、お一人の中で居場所になっていること、また行ってみたいなと思ってくださる存在になれていること、こんなに嬉しいことはないです。オープン当初、思い描いた「神山のこれからを象徴する様な場所、人の繋がりの場所」に少し近付けたように感じております。
これまでストアにお越しくださった方も、いつか来たい!と思っていただいている方も、こうして私たちのお知らせを受け取り見守ってくださる皆さまに、これまでの感謝をこめて、、
しずくストア3周年記念の特別イベントを開催することにしました!
今回は「SHIZQロゴ ステッカー」を先着100名様にプレゼントいたします!
ステッカーは、スマートフォンの裏側にも貼れるコンパクトなサイズ(約88.3mm x 43.2mm)。
耐水・耐候性にすぐれたシール素材なので、スマホやノートパソコンはもちろん、水筒や車のボディなどにもご使用いただけます。

ステッカープレゼントの経緯とロゴに込めた想い
10周年アニバーサリーバッグ企画を始めて9ヶ月。こだわりのバッグへの喜びの声をたくさんいただいています。と同時に、SHIZQのロゴをお褒めいただく機会も多く、改めてロゴに込めた設立の想いに立ち返る機会ともなりました。

生きとし生けるものすべての根源である「水」
少しでも多くの水を未来につなげよう。と活動をはじめたのが「神山しずくプロジェクト」です。
杉材を価値化するデザインで山林整備の循環を図り、環境改善に繋げ、水源を取り戻す。その活動を続けて行くことは、相当の時間を要します。われわれ本来の目的が「水」であること、そこを見失わないために「水」をシンボル化しました。
そして、SHIZQの水滴は、小さいながらも少しずつ少しずつ力を溜めて、いままさにエネルギーが解放される瞬間を表現しています。そのピュアなエネルギーが水面(社会)に落ちた瞬間に大きな波紋となって緩やかにどこまでも広がっていく。
SHIZQのロゴマークには、そんな活動でありたいという想いや願いを込めています。皆さんに、そんな「想い」を身近に感じてもらえたら幸いです。
プレゼント応募方法
以下のプレゼント応募フォームにて必要項目をご入力の上、ご応募ください。先着100名様に順次お送りいたします。
プレゼント応募フォームはこちら
数量限定ですので、興味のある方はお早めに!
皆様のご応募を心よりお待ちしております。
留意事項
・応募者おひとりにつき、ステッカー1枚のお渡しになります。
・ステッカーの発送先は、日本国内に限らせていただきます。
・当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。(電話やメールでの当選結果のご質問にはお答えできませんので、ご了承ください)
・ステッカーの発送は、2024年4月中旬より順次行う予定です。普通郵便にて発送しますので、ポストへ投函されるまで少しお時間を頂戴します。
CanCam 5月号に掲載いただきました

現在発売中の「CanCam 5月号」(小学館)では、SDGs連載で神山町特集が掲載されています!
モデルのトラウデン直美さんが神山町をめぐる旅で、しずくストアにもお立ち寄り頂きました。
ほかにも神山町内のいろんな場所が紹介されているので、興味のある方はぜひお手に取ってみてくださいね。
今回の取材記事がウェブ版でご覧いただけるようになりました!
代表廣瀬も登場します。興味のある方は
こちらよりご覧ください。
神山の暮らしから考える、鹿と人との関わり
こんにちは。神山しずくプロジェクトの鈴木です。
早いもので、神山に移住してから4度目の冬を越しました。
今年は例年に比べて温かいなぁと感じていた通り、蝋梅も梅も開花が早かったので、桜の見ごろも早まるかも知れませんね。
なんて、今では言えますが。
関東平野で生まれ育った私にとって、山に囲まれての生活は新鮮なものでした。
中でも驚きの一言は、夜のイベントからの帰り際の
「鹿に気を付けてね!」
夜道に鹿が飛び出してきて事故になるから、ということでした。
今まで生きてきて、気にもしたことのなかった鹿。
後日、夜道で初めて鹿を見たときに「わー!鹿だー!」と、歓喜の声をあげたのを覚えています。
なるほど山では、当たり前に遭遇する動物なのだな…とその時は感じました。
しかし、のちにそれが実は異常事態であること、「獣害、害獣駆除」なる言葉があることを知り、驚愕することになるのです。

有害鳥獣駆除員ユニフォーム
きっかけは、友人が猟師になったこと。
それまでの私にとって、猟師といえば、「鉄砲で獣を撃って食料にしたり毛皮を利用したりする人」という昔話で得られるような知識だけでした。
ところが、友人の目指した猟師とは、「有害鳥獣駆除員」という存在で、「害獣」に指定されている鹿や猪を捕り、報奨金を得るシステムであることに驚きました。
鹿が増えすぎている、ということも初めて知りました。
増えすぎていることで、畑の作物を食べられてしまって困るくらいまでは想像できましたが、鹿が木の皮や草を食べつくしてしまうことで山が荒れていくなんて、思いも至りませんでした。
しかし、だからと言って、人間の勝手で「害獣」呼ばわりして、ただただ殺してしまっていいのだろうか?
友人に疑問をぶつけてみました。
曰く、多すぎる鹿は結局食料にありつけなくなって飢え死にするのでどちらにせよ死ぬ、駆除した鹿を捨て場に捨てたら、野生動物の餌になるので無駄にはならない。
それもそうか…と思える答えではありましたが、もやもやは晴れることなく、相変わらず心のうちに巣くっています。

夜道では鹿に本当に良く出くわします
そんな中、2023年7月29日に神山しずくプロジェクト10周年記念事業として開催された「昔の暮らしと、森に想いを寄せる勉強会」ゲストトークにてのゲストの言葉にさらなる驚きがありました。
昔は、鹿は山の奥のほうにしかおらず、見ようと思っても見られない動物だったし、メス鹿は狩猟対象外として保護されていた。神山町全体でおそらく100頭もいなかっただろうとのこと!(現在は4000~5000頭ほど生息との予測)
そして、獣害は人災だという言葉がやけに胸に残りました。
この数十年で急激に頭数が増えたのはなぜ?そのことも一緒に考えねばならないと知りました。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=ac9FOm2FkYs?si=ZdvLr6BNId4v5ifd&start=2219&w=560&h=315]
その頃、並行して「坂田の杜 第3期」を受講。
カリキュラムの中に、受講者同士の対話の場、各人が話したい議題を持ち寄って、ディスカッションできるコミュニティギャザリングという時間があります。
とある回で、私は常々抱いていた「害獣として鹿を駆除することへのもやもや」を議題としてあげてみました。
参加者の中から出た実践例として、森の中に動物たちが豊かに食べられる場所を作っているという話に目から鱗でした。森の中に食べられるものがあれば、鹿はわざわざ危険を冒してまで人里に出てきません。休耕地や耕作放棄地も有効活用できるし、ナイスアイディア!と思いました。
が、これでは、殺生をしないという点は良くとも、現在の増えすぎた鹿の頭数を減らす、ということには繋がらず、一長一短だなと今は考えます。
もうひとつ、良いアイディアだなと思ったのは、坂田さんも詳しく解説してくださった「里犬」。
江戸時代までは、犬は共同体(村や町)で所有する動物だったのだそうです。
繋がれておらず、町をうろうろしている彼らのお仕事は、子供の遊び相手でもあり、知らない人が来たら吠えて知らせ、そして、獣たちを追い払う。里山の生態系の中に組み込まれていた彼らは、人と野生生物たちの間に入る存在でした。
自然には自然の力で対策をする。全くその通り。
実際、サルの群れを追い払う「モンキードッグ」を許可している自治体では、大きな効果を上げているそうです。
行政上の問題はありますが里犬が認められるようになれば、少なくとも農作物への獣害は減るのかもしれないなと思います。
このように実践例や坂田さんのお話など、コミュニティギャザリングで「考える種」をいただけて参加できてとても良かったなと思いました。

見慣れた神山の山も坂田さんと歩くと解像度が一気に上がりました
しかし、その後ももやもやが解決したわけではなく、今に至ります。
「結局のところ、適正頭数にまでは減らさないと、生態系が維持できないんだよな」という考えと、「だがしかし!のべつ幕なしに駆除すればいいってもんでもないだろう」という思いとの折り合いがつきません。対処療法だけを追い求める違和感もぬぐえないのです。
でも、このもやもやを通して、私の「内なる自然」が培われていくはず。これを持たないまま、遠い存在として自然を眺めているだけでは私が「しずく」の活動に参加している意義も片手落ちになってしまうような気がするので、もやもやが解決しないことにも意味があるのだろうと今ではそう思っています。
同時に、行動に移すこと。
それが、例え小さな一歩でも、やるべきことを見出して、踏み出そうと思います。
SHIZQが紹介する!神山町の宿泊スポット
2026.3.5追記
こんにちは、神山しずくプロジェクトです。
今年は暖冬で、春の訪れが早いですね。
春といえば、行楽の季節!
神山町は桜が有名で、春にはおよそ6,000本の桜が咲き乱れます。そんな桜を見に、毎年町外から大勢の方々が訪れます。

今日のお題は、これからの行楽シーズンにぴったりな「神山の宿泊スポット紹介」です。
突然ですが、みなさんは神山町の宿泊場所がいくつあるかご存じですか?
その数、なんと16ヶ所!
意外にも多くて、びっくりしますよね。古くから四国八十八ヶ所の巡礼路として、人の行き来がある神山。お遍路さんが宿泊する民宿はもちろん、家族や友人キャンプ場などさまざまな形態の宿泊施設があります。
こちらが宿泊スポット一覧です(2026年3月現在)

1. 神山シャングリ・ラ園/上分→閉業
2. 岳人の森キャンプ場/上分
3. せせらぎの里 オートキャンプ場/上分
4. 一棟貸古民家民宿 堂治/上分
5. B&B BROMPTON DEPO/上分
6. Strawberry Inn いちごいちえ/上分
7. お宿 すだち庵/下分
8. WEEK神山/下分
9. 旅館さくらや/神領
10. B&B On y va & Experience/神領
11. 作良家(さらや)/神領→閉業
12. コットンフィールドキャンプ場/神領
13. 神山温泉ホテル四季の里/神領
14. NATURE HEALING KAMIYAMA/神領
15. ペットと泊まれる古民家 四季灯り/神領
16. 神山くらしの宿moja house/神領
17. 植村旅館/阿野
18. 軽井沢レジャーランド/阿野
ーーーーーーーーーーーーーーーー
今回はこの中から、SHIZQイチオシの場所をいくつかご紹介いたします!
岳人の森キャンプ場/上分

標高約1,000mと、神山町内では最も高い場所にあるのがこちら!山岳植物園内にあるキャンプ場で、その気候ゆえにコアな野営愛好家から人気スポットでもあります。屋外でのテント泊はもちろんロッジも併設されているので、グループでの宿泊も可能。園内にある観月茶屋では、地元の新鮮な食材を使った料理も味わうことができます。瓶ビールを注文すると、しずくのカップと一緒に出してくれますよ。
住所:徳島県名西郡神山町上分中津931
HP:https://gakujin-no-mori.net/gakujin07.html
B&B BROMPTON DEPO/上分

そこはまるで避暑地の別荘。
かつてCafe営業をしていたBROMPTON DEPOが、一棟貸しの宿として生まれ変わりました!シャワーやトイレ、ベッドルームを完備し、最大5名まで宿泊可能に。近隣には神通の滝や江田の菜の花など、四季を通して見どころもたくさん。宿泊者限定でBROMPTON(折り畳み自転車)の貸し出しも行っているので、滞在時にはぜひ、サイクリングを楽しんではいかが。(大人1名10,000円/泊、2歳以上から大人料金)
住所:徳島県名西郡神山町上分中津241-1
HP:https://bromptondepo.com/
WEEK神山/下分

「いつもの仕事を、ちがう場所で」がコンセプトの宿泊施設。
コワーキングスペースに隣接しており、ワーケーションをしたい方におすすめ。
建物は母屋と宿泊棟に分かれており、部屋からは鮎喰川を一望することができます。母屋ではアロマ製品を購入することもできるほか、ディナー時には、ワインクーラーを見ることができるかも?宿泊時には、ぜひSHIZQの製品を手にとってみてくださいね。
住所:徳島県名西郡神山町下分地野57
HP:https://week-kamiyama.jp/
コットンフィールドキャンプ場/神領

SHIZQ STOREから車で5分ほどのキャンプ場。
テント場やログコテージなどオーナーこだわりの充実した設備で、快適に宿泊することができます。なかでも囲炉裏コテージは18名収容可能で、企業研修など団体利用にぴったり!2023年には「おんおん釜&サウナ」も完成、上角谷川のほとりでサウナと森林浴を楽しんで。近隣にはクラフトビール醸造所や神山温泉、大粟山アートウォークなど、徒歩で散策できるスポットも盛りだくさん。
住所:徳島県名西郡神山町神領西上角272
HP:https://cottonfield.jp/wp/
B&B On y va & Experience/神領

神山で持続可能な暮らしに触れたい方におすすめの宿。
B&B On y va & Experience(通称:オニヴァ)は、元造り酒屋を改装した一組限定の宿で、オーナーの齋藤郁子さんはオフグリッドな暮らしを実践すべく、自ら山に入り森づくりを行っています。希望される方は、郁子さんが開墾したオニヴァ農園を見学することも可能ですよ!宿にはSHIZQのコップやアロマ製品の実物もあるので、是非手にとってみてくださいね。
住所:徳島県名西郡神山町神領字西野間5-1
HP:http://airbnb.jp/rooms/3000814
NATURE HEALING KAMIYAMA/神領

2023年に誕生したサウナ施設!
名物の「蔵スモークサウナ」では、改装した蔵の中で本場フィンランド式サウナを体験することができます。蔵の2階には見晴らしのよい宿泊部屋があり、サウナと合わせてゆっくり滞在したい方にぴったり。外にはキャンプサイトもあるので、眼下を流れる鮎喰川を眺めたり、夜は星空を満喫することもできますよ。ちなみに、敷地内からはSHIZQ STOREも見ることができます!滞在時はぜひ探してみてくださいね。
住所:徳島県名西郡神山町神領大埜地355-1
HP:https://nature-healing.jp/
ペットと泊まれる古民家 四季灯り/神領

愛犬と一緒にお泊まりしたい!そんな希望を叶えてくれるのがこちら。
築90年の古民家を改装した一棟貸しの宿で、大切な家族と気兼ねなく過ごすことができます。室内には犬用のトイレや小型犬ケージ、食事用の容器などが置いてあり、屋外にはドッグランも完備!(なんと大型犬用のドッグランもあります!)
神山温泉や道の駅、SHIZQ STOREも近いので、愛犬と散歩がてら近隣散策してみてはいかがでしょう。
住所:徳島県名西郡神山町神領字西青井夫50-2
HP:https://shikiakari.info/
神山くらしの宿 moja house/神領

オーナーのモジャさんが海外青年協力隊を経て、2019年に開業した古民家ゲストハウス。
“moja”とはベンガル語で「美味しい」「楽しい」という意味で、食と農を通じて神山の暮らしを伝えたいという想いが込められています。
宿泊者に人気なのがごはん作り。地元の食材を使って、みんなでキッチンを囲みながら作るごはんは格別!季節によっては田植えや薪割りなどの体験も可能です。神山で受け継がれる地域文化を体験したい方におすすめですよ!
住所:徳島県名西郡神山町神領字本小野363
HP:https://www.moja-house.com/
以上、SHIZQが紹介する神山宿泊スポットの数々、いかがでしたでしょうか?
同じ神山町でも、立地や施設、オーナーのこだわりなど、宿によってその特徴もさまざまですね。
これから神山に滞在される方は、ぜひお気に入りの宿を見つけてみてください♪
絶体絶命のピンチは最高のギフト?
皆さん、こんにちは!
神山しずくプロジェクト 代表の廣瀬です。
ここ神山では、春の気配をそこかしこに感じようになり、氣持ちも軽やかに希望と期待を胸にワクワクした日々を過ごすことが出来ています。ありがたいことです。

さて、今日は10周年を迎え、順風満帆かのようにみえるSHIZQですが、実は未だかつてない大ピンチに見舞われた事について、代表の僕にしか書けないぶっちゃけ赤裸々な記事を綴ります。どうか最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
職人育成。その想い
今回の話を進めるにあたり、過去に遡りながら経緯を説明する必要があります。
SHIZQブランドの商品たちは、木工ろくろ職人、宮竹博さん、宮竹良則さんのご兄弟無くして、この世に生まれていません。今もなお、お二人には感謝しかありません。一方、そんな師匠たちも技術を受け継ぐ後継者を作ることができなかった。という、大きな心残りがありました。SHIZQの活動を続けていくためにも、いつの日か後継者を一緒に育てようと約束したのが2014年のことでした。
時は過ぎ、2016年の年末。なんと「SHIZQの職人になりたい!」という若者が現れました。いつか来るであろう、この時のために少しずつ集めてきた木工機械や道具類を集結させ、町内の遊休施設を大改装。2017年10月に木工所としてSHIZQ LAB.を開所しました。師匠たちの惜しみない指導のもと、職人育成事業をスタートさせたのでした。

SHIZQ LAB.開所式。いろいろな方にお祝いしていただきました
木工所の経営自体、初めてだった我々にとって、一人前の職人を育てるという重責は、計り知れないものがありましたが、スタッフみんなの頑張りと、いつも応援してくれる皆さんが居てくれたお陰で、職人になりたいと言う彼のことを、ゼロからなんとか支えてこれました。
どん底へ叩き落とされる誕生日
それから4年ほど経ち、彼自身の頑張りもあって2021年ごろから木地のほとんどを彼に任せられるまで成長してくれました。その間、紆余曲折あったこと、ここでは書ききれませんが、2021年9月には、二人目の若き職人候補を迎えるまでになり、SHIZQチームにとって希望しかなく、新旧が共に成長にする姿を横目に理想的な展望に心を躍らせる日々でした。
しかし、そんな日々も束の間。二人目の若き候補生は2023年1月にSHIZQを去ることになってしまったのです。小さなチームにとって大きなダメージとなり、暗い影を落としました。
それでも諦めません!前を向いて行きます。
2023年の春ごろから準備をはじめ、次の職人候補を募集したところ、お陰さまで素晴らしい候補生2名の採用が内定し、この4月から神山町へ迎えられるようスタッフ一同、尽力してくれているところです。
ところが、そんなある日、今では木地製作の全てを任せている職人が、突然SHIZQを去ると言い出します。ただただ彼の言葉に耳を傾けること9時間。この日のことは一生忘れられないでしょう。僕にとっては、あまりに理不尽で重く、失意のどん底に落とされるような51回目の誕生日でした。
師匠たちの想いを引き継ぎ、職人育成のために工房を整備し、紆余曲折あったこの6年間を思うと、何もかもが虚無感に苛まれ、何も手につきません。共に頑張ってくれているスタッフ、応援してくれる方々への申し訳なさ、新たな職人候補のこと、この10年の出来事をぐるぐると300万回ほど脳内再生し、考えに考えましたが、経営者として力不足な自分を猛省するしかなく、絶望の淵から出られない日々が続きました。今だから言えますが、SHIZQを解体することも頭をよぎりました。

彼は静かにSHIZQを去りました。
誕生日からわずか55日間の出来事でした。
そして、とうとう400万再生したところで新たな氣づきがありました。
僕がくよくよしているのは、これまで積み上げてきたものが無駄に終わってしまうことへの「恐怖心」。そのことを受け止められないでいたのです。
いやいや違うよ。
これまでやってきたことは決して無駄ではない。
SHIZQ LAB.(工房)もSHIZQ STORE(専門店)もある。
SHIZQの活動に共感してくれる仲間も応援してくれる皆さんもいる。
豊かな森や水源を将来世代に残していくために、我々の活動を諦めるわけにはいきません。
「だったら一からやり直せばいい。」
持つべきものは友
4年ほど前、旧友の紹介で堤卓也さんと友達になりました。
堤さんは、漆の国内流通の7割を支える「堤浅吉漆店」の若旦那。
SHIZQの取り組みに深く共感してくれているし、堤さんの漆文化を広げるための数々の活動に僕自身も深く共感している。そんなご縁から、今ではSHIZQの亀シリーズ(拭き漆)の手仕事は、堤浅吉漆店さんに全てお願いしています。
藁をも掴む思いで「助けて欲しい」と、堤さんに泣きつきました。
すると「大ピンチだ!なんとかするぞーー」と返事があって、後日、彼が紹介してくれたのが上田量啓さんでした。上田さんは、京都の伝統的なアサギ椀復興プロジェクトで活躍した木地師のひとりで、京都の木地師の技術を後世に残したいと、塗師の西村圭功さんが育成した職人。偶然にもうちが職人育成を始めたころと時期が重なります。

堤浅吉漆店の工房にてスタッフさんと。一番右が堤卓也さん
5年間の修行を経て、近年独立した木地師さんで、いつも謙虚な姿勢でありながら、芯の強さを感じる「作ること」の楽しみを知っている、まさに職人肌な人物。最初に話したとき「SHIZQのことは知っている。杉材を木地にする技術は凄い。いつか神山に行ってみたかった。」と話してくれて、うちの木地をお願いできないか?と相談したところ「杉を製品にするためには、独自のノウハウがあるはず、それを僕が知って問題ありませんか?」と、そこを心配してくれる。僕は「もちろん、技術を絶やさないためにも、うちのノウハウは全て共有できます。」と答え、そこから双方のやり取りが始まりました。
どん底から生まれ変われ!
木製品は天然素材を扱う以上、ひとつ一つの材料にも個性があり、さらに手仕事ともなると、どうしても職人の癖とか感性が形に反映されます。それは手仕事の難しさであり、工業製品にはない面白さでもあります。素材として難しい「杉」を製品にするだけでも、ほとんど奇跡。そんな考えもあって、SHIZQではモノ作りの現場をずっと尊重してきました。
一方、デザイナーとして理想のフォルムをさらに追求したい。
もっとよくなるはずだ。と感じていました。人の感覚は思っているより鋭く、0.5ミリの厚みの違いでも印象が変わります。高さが1ミリ変わると別物に感じるほど。
今回、上田さんに木地をお願いするにあたり、図面と商品サンプル、材料を持って何度も京都へ通いました。試作品を作ってもらい、図面と現物を比較しながら、コンマ数ミリの単位で形を調整しフォルムを詰めて行きます。このピンチを機にSHIZQ本来の理想的なデザインを実現したいと、新たに商品開発する気持ちで取り組みました。

上田さんの工房があるファブヴィレッジ京北。一般利用も可能です
上田さんは、デザイナーの想いに応えようと頑張ってくれ、とうとうロックグラスとデイカップのマスター木地が仕上がりました。僕がデザイナーとして思い描いていた理想のフォルムを、上田さんが技術で現実にしてくれた「奇跡の瞬間」でした。現場に同席してくれたしずくの統括は、木地を見て「これが理想のデザインだったんですね。確かにSHIZQらしい!」と、これまでの苦労と嬉しさで、涙ぐんでくれていました。
上田さんは現在、SHIZQの木地を鋭意製作してくれています。まずはデイカップ、そしてロックグラスを挽いてくれる予定です。木地が仕上がり、商品となって店頭やネットに登場するのは、もう少し先になりますが、その時には、また皆さんにお知らせしますね。理想的なフォルムを手に入れ、さらに美しくなったSHIZQのカップたちを、ぜひぜひ手にとってみて欲しいです。仕上がってくるのが、今から本当に楽しみです!
こちらは、木地師上田さんのInstagramです。
https://www.instagram.com/kazuhiro_ueda_woodturning_jpn/
こちらは、堤浅吉漆店さんのSNSです。
(Instagram)
https://www.instagram.com/tsutsumi_urushi/
(Facebook)
https://www.facebook.com/tsutsumiasakichi.urushi/
皆さん、ぜひフォローお願いします。
どうやら僕は誕生日にとんでもないプレゼントを頂いたようです。経営者として足りなかったものを経験を通して学び、教訓に変えることができます。旧友から頂いたご縁が、さらなるご縁となり、このピンチを一緒に乗り越える経験から、これまでより深い信頼関係が生まれました。そして、今まで以上に素敵なSHIZQに生まれ変わるきっかけを頂き、そのための一歩を踏み出すことができました。まだ詳しいことは発表できませんが、堤浅吉漆店さんとSHIZQのコラボも始まります。
ある日、ストア店長から「大丈夫ですよ!SHIZQスタッフはみんな大人なんだから、いざとなれば、なんとでもなります。ひとりで抱え込まないでください。」って、声をかけてもらいました。ずいぶん氣持ちが軽くなったのを、いまでも思い出します。みんなほんとにありがとう。これこそ本当のSHIZQの財産だ。
誕生日に失意のどん底を味わいましたが、いろんなことを氣づかせてくれました。
これって、まさにギフトだったんだなーーって、今では思うことが出来ます。
大きなピンチを乗り越えた新生SHIZQ。まだまだ沢山の課題を抱えながら、毎日がよちよち歩きですが、もっともっと素敵な物語を皆さんにお届けするために、これからも努力して参ります!
最後まで読んで頂きありがとうございます。
皆さん、これからもどうぞ、どうぞよろしくお願い致します!
2024年2月29日
神山しずくプロジェクト 代表 廣瀬圭治
世界最古の文明からの贈り物
皆さん、こんにちは。
神山しずくプロジェクト 代表の廣瀬です。
つい先日、旧暦の正月(2月10日)の新月の日に、今年もSHIZQの材料として杉の木を切らせて頂きました。山中では、いつも凛とした気持ちになりますが、こうして山の恵を頂く機会に恵まれたことに感謝しています。
さて、新年の挨拶で「内的自然(ないてきしぜん)」という言葉を皆さんに贈りました。このプロジェクトを通じて「世界の人々に、内的自然の大切さを伝え、広げ、本当の意味での豊かな暮らし、社会を取り戻したい。」と、こう綴ったのでした。
ご覧頂いてない方は、ぜひご一読いただけると嬉しいです。
「SHIZQから贈る言葉」

内的自然は、一人ひとりが本来持ち合わせている感覚だと書きましたが、特に日本人の我々には馴染みの深いものだと思っています。今日はその理由について、廣瀬なりの考察をお伝えします。どうぞ、最後までお付き合いください。
突然ですが、縄文人って、皆さんはどんな印象をお持ちですか?
竪穴式住居に暮らす狩猟採取民族で(他の文明人に比べ)文化水準が低い原始的な人。そんな印象ありませんか?
高度な文明と言われるには、灌漑農業や牧畜、航海技術、建築技術、暦学、文字、天文学、数学、音楽、芸術、宗教、そして王権制度による都市国家の形成などが挙げられると思いますが、世界の歴史を辿ると、高度な文明が発展する過程では、農耕のための灌漑や森林の開墾、その森林資源を燃料として鋳造技術が発達、武力や権力へ繋がり、私的所有した土地をめぐって、最後には紛争が起こります。そして、資源を使い果たした土地は砂漠化する。これが、史実だと私個人は捉えています。

縄文時代は16,500年前からスタートし、14,000年続いた世界最古にして、最長の文明で、縄文人たちは、高度な航海術をもって日本中で交易を行っていたし、天文学や地理学に精通し、暦、建造技術、芸術や加工技術など、高度な文化レベルだったことも分かっています。ちなみに、現代日本にも「旬」を頂く食文化が残っていますが、縄文人の食生活って、現代人より多種多様だったことが分かっています(興味がある方は「縄文カレンダー」で検索してみてください)。

春には毒出しの山菜(ふきのとう)。今年はもう食べましたか?
一方、縄文人は栗を植えたり、陸稲したりと食物の栽培はするものの、決して農耕しなかったとも言われています。なぜでしょうか?
森や川、海から食糧や資源を必要なときに必要なだけを頂き、決して取りすぎない。シンプルかつ、一番大切なことを守り伝えながら、自然と共存する暮らしを確立してきた縄文人。自然と隣り合わせで暮らす日常のなかで、自分たちがいかに小さい存在で、大きなもの一部だということを、その経験を通じて、深く理解し、森を開墾する行為は自分たちの首を絞めることを知って(解って)いたんじゃないでしょうか。

こうした記憶を、後世に繋げるために、縄文人の文化として、アニミズムや古神道が生まれ、時代を経て、現代の日本へと脈々と受け継がれていった。だから、われわれ日本人の深いところには、自然に対する道徳心や倫理観、つまり「内的自然」が、もともと備わっているのでは?と、私は考えるようになり、それがどうにも腑に落ちて仕方がないのです。
そして、特筆すべき点は、ぶっちぎり長く続いた縄文時代には「紛争」が無かったというのです。だから、14,000年も続いたのでしょうね。(日本では水田稲作が伝わった弥生時代以降、紛争の歴史が始まります。つまり土地の私的所有の始まりから。)
本当の意味で「高度な文明」とはなんでしょうか?
本当の豊かさとはなんでしょうか?
縄文の記憶を受け継ぐわれわれ日本人が「内的自然」を思い出すことは、もしかしたら世界を高度な次元へ導くことに繋がるんじゃないかと、私は思えてならないのですが、皆さんはどう感じましたか?
今回「世界最古の文明から贈り物」と題して、私なりの考察をまとめ、お伝えしましたが、これを機に、皆さんも身近なところで「内的自然」について、想いを馳せてみて頂けると幸いです。
令和6年2月15日
神山しずくプロジェクト 代表 廣瀬 圭治
編集後記
ここ数年、人類史や世界史、古事記や神道、政治や経済などを調べていると、いつも頭がぐるぐるとしていました。2年前から生物多様性を学ぶ機会を得て、とうとう「内的自然」という言葉に出会いました。根拠は示せないんだけど、何かすんごい大切なことに触れた感覚があって、毎日のように考えるようになりました。
去年、青森県にある山内丸山遺跡を見て周り「あぁそうだよ。そういうことだよ」と、これまた言葉にできない、ある意味、腹落ちした感がありました。それから数ヶ月して、ある日突然「あ、理解した!」という瞬間が訪れました。この感覚を「みんなに伝えなきゃ」と、今回の記事を書くことにしたんですが….
この腹落ちしたという「感覚」を伝えようと、言葉にすることが本当に難しく、書き始めたものの、やたらめったら説明くさい長い文章になってきました。これじゃ誰も読んでくれないよー。というパートナーの指摘を受けて、うーーん。うーん。と唸りながら、できるだけ簡素にまとめたのでした。
本当は、もっともっと書きたい言葉があって、例えば、人類史から紐解く日本人のDNAの話とか、有史から始まる周波数のことや、アカシックレコードのことなど、たくさん溢れ出てきました。でも、途中で氣付いたんです。言葉を説明的に羅列する行為は、僕が知っていることを誰かに知ってもらいたいという承認欲求でしかないのかも。
僕がみんなに伝えたかったことは「内的自然は僕らの中にちゃんとある。だから、大丈夫!」たった、それだけなのかもしれない。