SHIZQが紹介する!神山町の宿泊スポット
2024.10.21追記
こんにちは、神山しずくプロジェクトです。
今年は暖冬で、春の訪れが早いですね。
春といえば、行楽の季節!
神山町は桜が有名で、春にはおよそ6,000本の桜が咲き乱れます。そんな桜を見に、毎年町外から大勢の方々が訪れます。

今日のお題は、これからの行楽シーズンにぴったりな「神山の宿泊スポット紹介」です。
突然ですが、みなさんは神山町の宿泊場所がいくつあるかご存じですか?
その数、なんと16ヶ所!
意外にも多くて、びっくりしますよね。古くから四国八十八ヶ所の巡礼路として、人の行き来がある神山。お遍路さんが宿泊する民宿はもちろん、家族や友人キャンプ場などさまざまな形態の宿泊施設があります。
こちらが宿泊スポット一覧です(2024年10月現在)

1. 神山シャングリ・ラ園/上分
2. 岳人の森キャンプ場/上分
3. せせらぎの里 オートキャンプ場/上分
4. 一棟貸古民家民宿 堂治/上分
5. B&B BROMPTON DEPO/上分
6. Strawberry Inn いちごいちえ/上分
7. お宿 すだち庵/下分
8. WEEK神山/下分
9. 旅館さくらや/神領
10. B&B On y va & Experience/神領
11. 作良家(さらや)/神領
12. コットンフィールドキャンプ場/神領
13. 神山温泉ホテル四季の里/神領
14. NATURE HEALING KAMIYAMA/神領
15. ペットと泊まれる古民家 四季灯り/神領
16. 神山くらしの宿moja house/神領
17. 植村旅館/阿野
18. 軽井沢レジャーランド/阿野
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今回はこの中から、SHIZQイチオシの場所をいくつかご紹介いたします!
岳人の森キャンプ場/上分

標高約1,000mと、神山町内では最も高い場所にあるのがこちら!山岳植物園内にあるキャンプ場で、その気候ゆえにコアな野営愛好家から人気スポットでもあります。屋外でのテント泊はもちろんロッジも併設されているので、グループでの宿泊も可能。園内にある観月茶屋では、地元の新鮮な食材を使った料理も味わうことができます。瓶ビールを注文すると、しずくのカップと一緒に出してくれますよ。(※〜2024年3月まで冬季休業中)
住所:徳島県名西郡神山町上分中津931
HP:https://gakujin-no-mori.net/gakujin07.html
B&B BROMPTON DEPO/上分

そこはまるで避暑地の別荘。
かつてCafe営業をしていたBROMPTON DEPOが、一棟貸しの宿として生まれ変わりました!シャワーやトイレ、ベッドルームを完備し、最大5名まで宿泊可能に。近隣には神通の滝や江田の菜の花など、四季を通して見どころもたくさん。宿泊者限定でBROMPTON(折り畳み自転車)の貸し出しも行っているので、滞在時にはぜひ、サイクリングを楽しんではいかが。(大人1名10,000円/泊、2歳以上から大人料金)
住所:徳島県名西郡神山町上分中津241-1
TEL:090-5146-7827
WEEK神山/下分

「いつもの仕事を、ちがう場所で」がコンセプトの宿泊施設。
コワーキングスペースに隣接しており、ワーケーションをしたい方におすすめ。
建物は母屋と宿泊棟に分かれており、部屋からは鮎喰川を一望することができます。部屋ではSHIZQのSLEEPING FORESTをお試し頂けるほか、アロマ製品を購入することもできますよ。ディナー時には、ワインクーラーを見ることができるかも?宿泊時には、ぜひSHIZQの製品を試してみてくださいね。
住所:徳島県名西郡神山町下分地野57
HP:https://week-kamiyama.jp/
コットンフィールドキャンプ場/神領

SHIZQ STOREから車で5分ほどのキャンプ場。
テント場やログコテージなどオーナーこだわりの充実した設備で、快適に宿泊することができます。なかでも囲炉裏コテージは18名収容可能で、企業研修など団体利用にぴったり!2023年には「おんおん釜&サウナ」も完成、上角谷川のほとりでサウナと森林浴を楽しんで。近隣にはクラフトビール醸造所や神山温泉、大粟山アートウォークなど、徒歩で散策できるスポットも盛りだくさん。
住所:徳島県名西郡神山町神領西上角272
HP:https://cottonfield.jp/wp/
作良家(さらや)/神領

築150年の古民家を改修した農家民宿。
雨乞いの滝や悲願寺などに近く、神山の自然や歴史をゆったりと味わいたい方におすすめ。素泊まりはもちろん、夕食や朝食、さらには宴会対応も可能とのこと!広い大部屋もあるので、研修や合宿にもぴったりです。薪を使って入る露天風呂が人気との噂も!気になる方はぜひオーナーさんに聞いてみてくださいね。神山の中心に位置しているため、スーパーやコンビニも近くて、ちょっとした買い物にも便利です。
住所:徳島県名西郡神山町神領西野間240
HP:http://saraya3298.web.fc2.com/
B&B On y va & Experience/神領

神山で持続可能な暮らしに触れたい方におすすめの宿。
B&B On y va & Experience(通称:オニヴァ)は、元造り酒屋を改装した一組限定の宿で、オーナーの齋藤郁子さんはオフグリッドな暮らしを実践すべく、自ら山に入り森づくりを行っています。希望される方は、郁子さんが開墾したオニヴァ農園を見学することも可能ですよ!宿にはSHIZQのコップやアロマ製品の実物もあるので、是非手にとってみてくださいね。
住所:徳島県名西郡神山町神領字西野間5-1
HP:http://airbnb.jp/rooms/3000814
NATURE HEALING KAMIYAMA/神領

2023年に誕生したサウナ施設!
名物の「蔵スモークサウナ」では、改装した蔵の中で本場フィンランド式サウナを体験することができます。蔵の2階には見晴らしのよい宿泊部屋があり、サウナと合わせてゆっくり滞在したい方にぴったり。外にはキャンプサイトもあるので、眼下を流れる鮎喰川を眺めたり、夜は星空を満喫することもできますよ。ちなみに、敷地内からはSHIZQ STOREも見ることができます!滞在時はぜひ探してみてくださいね。
住所:徳島県名西郡神山町神領大埜地355-1
HP:https://nature-healing.jp/
ペットと泊まれる古民家 四季灯り/神領

愛犬と一緒にお泊まりしたい!そんな希望を叶えてくれるのがこちら。
築90年の古民家を改装した一棟貸しの宿で、大切な家族と気兼ねなく過ごすことができます。室内には犬用のトイレや小型犬ケージ、食事用の容器などが置いてあり、屋外にはドッグランも完備!(なんと大型犬用のドッグランもあります!)
神山温泉や道の駅、SHIZQ STOREも近いので、愛犬と散歩がてら近隣散策してみてはいかがでしょう。
住所:徳島県名西郡神山町神領字西青井夫50-2
HP:https://shikiakari.info/
神山くらしの宿 moja house/神領

オーナーのモジャさんが海外青年協力隊を経て、2019年に開業した古民家ゲストハウス。
“moja”とはベンガル語で「美味しい」「楽しい」という意味で、食と農を通じて神山の暮らしを伝えたいという想いが込められています。
宿泊者に人気なのがごはん作り。地元の食材を使って、みんなでキッチンを囲みながら作るごはんは格別!季節によっては田植えや薪割りなどの体験も可能です。神山で受け継がれる地域文化を体験したい方におすすめですよ!
住所:徳島県名西郡神山町神領字本小野363
HP:https://www.moja-house.com/
以上、SHIZQが紹介する神山宿泊スポットの数々、いかがでしたでしょうか?
同じ神山町でも、立地や施設、オーナーのこだわりなど、宿によってその特徴もさまざまですね。
これから神山に滞在される方は、ぜひお気に入りの宿を見つけてみてください♪
絶体絶命のピンチは最高のギフト?
皆さん、こんにちは!
神山しずくプロジェクト 代表の廣瀬です。
ここ神山では、春の気配をそこかしこに感じようになり、氣持ちも軽やかに希望と期待を胸にワクワクした日々を過ごすことが出来ています。ありがたいことです。

さて、今日は10周年を迎え、順風満帆かのようにみえるSHIZQですが、実は未だかつてない大ピンチに見舞われた事について、代表の僕にしか書けないぶっちゃけ赤裸々な記事を綴ります。どうか最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
職人育成。その想い
今回の話を進めるにあたり、過去に遡りながら経緯を説明する必要があります。
SHIZQブランドの商品たちは、木工ろくろ職人、宮竹博さん、宮竹良則さんのご兄弟無くして、この世に生まれていません。今もなお、お二人には感謝しかありません。一方、そんな師匠たちも技術を受け継ぐ後継者を作ることができなかった。という、大きな心残りがありました。SHIZQの活動を続けていくためにも、いつの日か後継者を一緒に育てようと約束したのが2014年のことでした。
時は過ぎ、2016年の年末。なんと「SHIZQの職人になりたい!」という若者が現れました。いつか来るであろう、この時のために少しずつ集めてきた木工機械や道具類を集結させ、町内の遊休施設を大改装。2017年10月に木工所としてSHIZQ LAB.を開所しました。師匠たちの惜しみない指導のもと、職人育成事業をスタートさせたのでした。

SHIZQ LAB.開所式。いろいろな方にお祝いしていただきました
木工所の経営自体、初めてだった我々にとって、一人前の職人を育てるという重責は、計り知れないものがありましたが、スタッフみんなの頑張りと、いつも応援してくれる皆さんが居てくれたお陰で、職人になりたいと言う彼のことを、ゼロからなんとか支えてこれました。
どん底へ叩き落とされる誕生日
それから4年ほど経ち、彼自身の頑張りもあって2021年ごろから木地のほとんどを彼に任せられるまで成長してくれました。その間、紆余曲折あったこと、ここでは書ききれませんが、2021年9月には、二人目の若き職人候補を迎えるまでになり、SHIZQチームにとって希望しかなく、新旧が共に成長にする姿を横目に理想的な展望に心を躍らせる日々でした。
しかし、そんな日々も束の間。二人目の若き候補生は2023年1月にSHIZQを去ることになってしまったのです。小さなチームにとって大きなダメージとなり、暗い影を落としました。
それでも諦めません!前を向いて行きます。
2023年の春ごろから準備をはじめ、次の職人候補を募集したところ、お陰さまで素晴らしい候補生2名の採用が内定し、この4月から神山町へ迎えられるようスタッフ一同、尽力してくれているところです。
ところが、そんなある日、今では木地製作の全てを任せている職人が、突然SHIZQを去ると言い出します。ただただ彼の言葉に耳を傾けること9時間。この日のことは一生忘れられないでしょう。僕にとっては、あまりに理不尽で重く、失意のどん底に落とされるような51回目の誕生日でした。
師匠たちの想いを引き継ぎ、職人育成のために工房を整備し、紆余曲折あったこの6年間を思うと、何もかもが虚無感に苛まれ、何も手につきません。共に頑張ってくれているスタッフ、応援してくれる方々への申し訳なさ、新たな職人候補のこと、この10年の出来事をぐるぐると300万回ほど脳内再生し、考えに考えましたが、経営者として力不足な自分を猛省するしかなく、絶望の淵から出られない日々が続きました。今だから言えますが、SHIZQを解体することも頭をよぎりました。

彼は静かにSHIZQを去りました。
誕生日からわずか55日間の出来事でした。
そして、とうとう400万再生したところで新たな氣づきがありました。
僕がくよくよしているのは、これまで積み上げてきたものが無駄に終わってしまうことへの「恐怖心」。そのことを受け止められないでいたのです。
いやいや違うよ。
これまでやってきたことは決して無駄ではない。
SHIZQ LAB.(工房)もSHIZQ STORE(専門店)もある。
SHIZQの活動に共感してくれる仲間も応援してくれる皆さんもいる。
豊かな森や水源を将来世代に残していくために、我々の活動を諦めるわけにはいきません。
「だったら一からやり直せばいい。」
持つべきものは友
4年ほど前、旧友の紹介で堤卓也さんと友達になりました。
堤さんは、漆の国内流通の7割を支える「堤浅吉漆店」の若旦那。
SHIZQの取り組みに深く共感してくれているし、堤さんの漆文化を広げるための数々の活動に僕自身も深く共感している。そんなご縁から、今ではSHIZQの亀シリーズ(拭き漆)の手仕事は、堤浅吉漆店さんに全てお願いしています。
藁をも掴む思いで「助けて欲しい」と、堤さんに泣きつきました。
すると「大ピンチだ!なんとかするぞーー」と返事があって、後日、彼が紹介してくれたのが上田量啓さんでした。上田さんは、京都の伝統的なアサギ椀復興プロジェクトで活躍した木地師のひとりで、京都の木地師の技術を後世に残したいと、塗師の西村圭功さんが育成した職人。偶然にもうちが職人育成を始めたころと時期が重なります。

堤浅吉漆店の工房にてスタッフさんと。一番右が堤卓也さん
5年間の修行を経て、近年独立した木地師さんで、いつも謙虚な姿勢でありながら、芯の強さを感じる「作ること」の楽しみを知っている、まさに職人肌な人物。最初に話したとき「SHIZQのことは知っている。杉材を木地にする技術は凄い。いつか神山に行ってみたかった。」と話してくれて、うちの木地をお願いできないか?と相談したところ「杉を製品にするためには、独自のノウハウがあるはず、それを僕が知って問題ありませんか?」と、そこを心配してくれる。僕は「もちろん、技術を絶やさないためにも、うちのノウハウは全て共有できます。」と答え、そこから双方のやり取りが始まりました。
どん底から生まれ変われ!
木製品は天然素材を扱う以上、ひとつ一つの材料にも個性があり、さらに手仕事ともなると、どうしても職人の癖とか感性が形に反映されます。それは手仕事の難しさであり、工業製品にはない面白さでもあります。素材として難しい「杉」を製品にするだけでも、ほとんど奇跡。そんな考えもあって、SHIZQではモノ作りの現場をずっと尊重してきました。
一方、デザイナーとして理想のフォルムをさらに追求したい。
もっとよくなるはずだ。と感じていました。人の感覚は思っているより鋭く、0.5ミリの厚みの違いでも印象が変わります。高さが1ミリ変わると別物に感じるほど。
今回、上田さんに木地をお願いするにあたり、図面と商品サンプル、材料を持って何度も京都へ通いました。試作品を作ってもらい、図面と現物を比較しながら、コンマ数ミリの単位で形を調整しフォルムを詰めて行きます。このピンチを機にSHIZQ本来の理想的なデザインを実現したいと、新たに商品開発する気持ちで取り組みました。

上田さんの工房があるファブヴィレッジ京北。一般利用も可能です
上田さんは、デザイナーの想いに応えようと頑張ってくれ、とうとうロックグラスとデイカップのマスター木地が仕上がりました。僕がデザイナーとして思い描いていた理想のフォルムを、上田さんが技術で現実にしてくれた「奇跡の瞬間」でした。現場に同席してくれたしずくの統括は、木地を見て「これが理想のデザインだったんですね。確かにSHIZQらしい!」と、これまでの苦労と嬉しさで、涙ぐんでくれていました。
上田さんは現在、SHIZQの木地を鋭意製作してくれています。まずはデイカップ、そしてロックグラスを挽いてくれる予定です。木地が仕上がり、商品となって店頭やネットに登場するのは、もう少し先になりますが、その時には、また皆さんにお知らせしますね。理想的なフォルムを手に入れ、さらに美しくなったSHIZQのカップたちを、ぜひぜひ手にとってみて欲しいです。仕上がってくるのが、今から本当に楽しみです!
こちらは、木地師上田さんのInstagramです。
https://www.instagram.com/kazuhiro_ueda_woodturning_jpn/
こちらは、堤浅吉漆店さんのSNSです。
(Instagram)
https://www.instagram.com/tsutsumi_urushi/
(Facebook)
https://www.facebook.com/tsutsumiasakichi.urushi/
皆さん、ぜひフォローお願いします。
どうやら僕は誕生日にとんでもないプレゼントを頂いたようです。経営者として足りなかったものを経験を通して学び、教訓に変えることができます。旧友から頂いたご縁が、さらなるご縁となり、このピンチを一緒に乗り越える経験から、これまでより深い信頼関係が生まれました。そして、今まで以上に素敵なSHIZQに生まれ変わるきっかけを頂き、そのための一歩を踏み出すことができました。まだ詳しいことは発表できませんが、堤浅吉漆店さんとSHIZQのコラボも始まります。
ある日、ストア店長から「大丈夫ですよ!SHIZQスタッフはみんな大人なんだから、いざとなれば、なんとでもなります。ひとりで抱え込まないでください。」って、声をかけてもらいました。ずいぶん氣持ちが軽くなったのを、いまでも思い出します。みんなほんとにありがとう。これこそ本当のSHIZQの財産だ。
誕生日に失意のどん底を味わいましたが、いろんなことを氣づかせてくれました。
これって、まさにギフトだったんだなーーって、今では思うことが出来ます。
大きなピンチを乗り越えた新生SHIZQ。まだまだ沢山の課題を抱えながら、毎日がよちよち歩きですが、もっともっと素敵な物語を皆さんにお届けするために、これからも努力して参ります!
最後まで読んで頂きありがとうございます。
皆さん、これからもどうぞ、どうぞよろしくお願い致します!
2024年2月29日
神山しずくプロジェクト 代表 廣瀬圭治
世界最古の文明からの贈り物
皆さん、こんにちは。
神山しずくプロジェクト 代表の廣瀬です。
つい先日、旧暦の正月(2月10日)の新月の日に、今年もSHIZQの材料として杉の木を切らせて頂きました。山中では、いつも凛とした気持ちになりますが、こうして山の恵を頂く機会に恵まれたことに感謝しています。
さて、新年の挨拶で「内的自然(ないてきしぜん)」という言葉を皆さんに贈りました。このプロジェクトを通じて「世界の人々に、内的自然の大切さを伝え、広げ、本当の意味での豊かな暮らし、社会を取り戻したい。」と、こう綴ったのでした。
ご覧頂いてない方は、ぜひご一読いただけると嬉しいです。
「SHIZQから贈る言葉」

内的自然は、一人ひとりが本来持ち合わせている感覚だと書きましたが、特に日本人の我々には馴染みの深いものだと思っています。今日はその理由について、廣瀬なりの考察をお伝えします。どうぞ、最後までお付き合いください。
突然ですが、縄文人って、皆さんはどんな印象をお持ちですか?
竪穴式住居に暮らす狩猟採取民族で(他の文明人に比べ)文化水準が低い原始的な人。そんな印象ありませんか?
高度な文明と言われるには、灌漑農業や牧畜、航海技術、建築技術、暦学、文字、天文学、数学、音楽、芸術、宗教、そして王権制度による都市国家の形成などが挙げられると思いますが、世界の歴史を辿ると、高度な文明が発展する過程では、農耕のための灌漑や森林の開墾、その森林資源を燃料として鋳造技術が発達、武力や権力へ繋がり、私的所有した土地をめぐって、最後には紛争が起こります。そして、資源を使い果たした土地は砂漠化する。これが、史実だと私個人は捉えています。

縄文時代は16,500年前からスタートし、14,000年続いた世界最古にして、最長の文明で、縄文人たちは、高度な航海術をもって日本中で交易を行っていたし、天文学や地理学に精通し、暦、建造技術、芸術や加工技術など、高度な文化レベルだったことも分かっています。ちなみに、現代日本にも「旬」を頂く食文化が残っていますが、縄文人の食生活って、現代人より多種多様だったことが分かっています(興味がある方は「縄文カレンダー」で検索してみてください)。

春には毒出しの山菜(ふきのとう)。今年はもう食べましたか?
一方、縄文人は栗を植えたり、陸稲したりと食物の栽培はするものの、決して農耕しなかったとも言われています。なぜでしょうか?
森や川、海から食糧や資源を必要なときに必要なだけを頂き、決して取りすぎない。シンプルかつ、一番大切なことを守り伝えながら、自然と共存する暮らしを確立してきた縄文人。自然と隣り合わせで暮らす日常のなかで、自分たちがいかに小さい存在で、大きなもの一部だということを、その経験を通じて、深く理解し、森を開墾する行為は自分たちの首を絞めることを知って(解って)いたんじゃないでしょうか。

こうした記憶を、後世に繋げるために、縄文人の文化として、アニミズムや古神道が生まれ、時代を経て、現代の日本へと脈々と受け継がれていった。だから、われわれ日本人の深いところには、自然に対する道徳心や倫理観、つまり「内的自然」が、もともと備わっているのでは?と、私は考えるようになり、それがどうにも腑に落ちて仕方がないのです。
そして、特筆すべき点は、ぶっちぎり長く続いた縄文時代には「紛争」が無かったというのです。だから、14,000年も続いたのでしょうね。(日本では水田稲作が伝わった弥生時代以降、紛争の歴史が始まります。つまり土地の私的所有の始まりから。)
本当の意味で「高度な文明」とはなんでしょうか?
本当の豊かさとはなんでしょうか?
縄文の記憶を受け継ぐわれわれ日本人が「内的自然」を思い出すことは、もしかしたら世界を高度な次元へ導くことに繋がるんじゃないかと、私は思えてならないのですが、皆さんはどう感じましたか?
今回「世界最古の文明から贈り物」と題して、私なりの考察をまとめ、お伝えしましたが、これを機に、皆さんも身近なところで「内的自然」について、想いを馳せてみて頂けると幸いです。
令和6年2月15日
神山しずくプロジェクト 代表 廣瀬 圭治
編集後記
ここ数年、人類史や世界史、古事記や神道、政治や経済などを調べていると、いつも頭がぐるぐるとしていました。2年前から生物多様性を学ぶ機会を得て、とうとう「内的自然」という言葉に出会いました。根拠は示せないんだけど、何かすんごい大切なことに触れた感覚があって、毎日のように考えるようになりました。
去年、青森県にある山内丸山遺跡を見て周り「あぁそうだよ。そういうことだよ」と、これまた言葉にできない、ある意味、腹落ちした感がありました。それから数ヶ月して、ある日突然「あ、理解した!」という瞬間が訪れました。この感覚を「みんなに伝えなきゃ」と、今回の記事を書くことにしたんですが….
この腹落ちしたという「感覚」を伝えようと、言葉にすることが本当に難しく、書き始めたものの、やたらめったら説明くさい長い文章になってきました。これじゃ誰も読んでくれないよー。というパートナーの指摘を受けて、うーーん。うーん。と唸りながら、できるだけ簡素にまとめたのでした。
本当は、もっともっと書きたい言葉があって、例えば、人類史から紐解く日本人のDNAの話とか、有史から始まる周波数のことや、アカシックレコードのことなど、たくさん溢れ出てきました。でも、途中で氣付いたんです。言葉を説明的に羅列する行為は、僕が知っていることを誰かに知ってもらいたいという承認欲求でしかないのかも。
僕がみんなに伝えたかったことは「内的自然は僕らの中にちゃんとある。だから、大丈夫!」たった、それだけなのかもしれない。
【2分でわかる】しずくのギフト。どんな梱包で届く?
こんにちは。神山しずくプロジェクトです。
年が明けたと思ったら今日から2月。夕暮れ時間も日増しに延び、3日後には立春…!春がもうそこまで来ているようです。

神山の蝋梅園では臨時喫茶がオープン中です(※1)
春といえば出会いと別れ。
お世話になったあの方へこれまでの感謝と新たな門出への餞(はなむけ)に、SHIZQをお選びいただけるシーンが多い季節でもあります。
今日は、そんなタイミングでご検討いただいている方に向けて、木製品のオンライン注文での梱包状態を過去の動画からご紹介いたします。
よろしければご参考になさってくださいね。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=rd6CAKcCzZs?si=baxPxhWZgS6YfqpI&controls=0&w=560&h=315]
【同梱物について(2024年2月)】
▶︎発送先:ご購入者さま住所→手渡しされるケース
< 段ボール内 >
・SHIZQパンフレット
・アロマパンフレット
・神山杉パンフレット
・ペーパーバッグ(希望者)
・神山杉の緩衝材
・杉おが屑の活用方法
・レーヨン紙で包んだGIFTBOX入り商品
< GIFTBOX内 >
・SHIZQ製品との付き合い方(製品取扱説明書)
・オーナーズラウンジ等のご案内
・手書き熨斗(希望者/印刷の場合もあります)
・メッセージカード(希望者)
▶︎現在の人気No.1商品はロックグラスです。

2013年当時、脱プラのために考案した緩衝材でしたが、封を開けた瞬間の杉の香りが大好評!
そのようなご感想からSHIZQ AROMAシリーズの開発にもつながりました。
アロマシリーズもプチギフトとして人気です。
年齢や男女問わないデザインなのも、ギフトとしてお喜びいただくことの多いポイントです。

【発送方法について】
以下の方法でお送りいたします。
・木製品→ヤマト運輸 宅急便
・アロマ製品→定形外普通郵便/レターパックプラス/ヤマト運輸 宅急便
※個数・組み合わせにより購入時に自動選択されます。
【発送日について】
基本的に決済完了後3営業日以内に発送いたします(地域により1〜5日後のお届けとなります)。
休業日は月・火曜日です。
※アロマ製品→土日祝日発送ができないため、その限りではありません。
【日時指定について】
・木製品→ご注文日から3日目以降の日付指定が可能です。
・アロマ製品→日時指定はできません。あらかじめご了承ください。
【明細書について】
・発送先:ご購入者さま住所(手渡しされるケース)
→明細書を同梱いたします
・発送先:お贈り先住所(直送されるケース)
→明細書は同梱いたしません

アロマ製品の定形外郵便でのお届け状態
木製品は白地にSHIZQロゴのオリジナルダンボール。
アロマはクラフト紙にロゴ入りの宛名シールですっきりとした印象です。
どちらも宛名ラベルには、ギフトでお送りした旨が一目でわかるようにしています。

緩衝材の形はいろいろ。届いた方へのお楽しみです
そのほか熨斗(のし)やギフトカード等についてや、送料などについては、以下をご参照ください。
(※1) 神山の「神通蝋梅園」についてはこちら
【風の谷の里】
< 臨時喫茶OPEN >
9時~14時
2/3(土)4(日)11(日)12(月)
※花の状態や天候により変更する場合があります。
アニバーサリーバッグ大好評です!

こんにちは!神山しずくプロジェクトです。
暖冬のなかでも冬の寒さが続いておりますが、神山町の桜の枝先には固い芽がつき、
その姿はひっそりと春の訪れを待っているように感じます。
さて、昨年夏から神山しずくプロジェクト10周年記念事業として始まった
「アニバーサリーバッグ プレゼント企画!」
おかげさまで、毎月10名の抽選企画にもかかわらず、
月終わりを待たずして当選枠がいっぱいになるほどの盛り上がりとなっております!

今回は、みごと当選された方のお声をいくつかご紹介いたします。
「本当に当たりました!」
プレゼント企画を知ってからずっと狙っていましたが、本当に当てることができてとても嬉しいです。こだわりの詰まった素敵なバッグ、汁椀同様に大切に使わせていただきます。
「当たって嬉しかったです」
縁あってお店に行って購入後に企画を知りました。当たった事がとても嬉しかったです。見た目も手触りもよく、とても丈夫です。他の種類も作成して販売してほしいです。
「ありがとうございました」
当選したバッグは、宿泊先のWEEK神山や食事をしたかま屋でとても羨ましがられました。デザイン、生地、縫製全て素敵で、同じく素敵な神山町のいい思い出としていつまでも大切に使わせて頂きます。
「最高です!」
洗練されたデザインで、いろんな場面で使えます!ありがたいです。生地もしっかりしていて、安心してものを詰め込むことができます。パソコンも入る大きさでとっても丁度良いです。
「当たりくじも貰えて嬉しかったです」
バッグ当選と同時に、当たりくじも貰えました。くじの材料は、エッセンシャルオイルのディフューザーの端材と聞き、自宅でオイルを使用しているので、当たりくじに、ペーパーで凹みをつけて、オイルを垂らして使っています。バッグ当選も嬉しく、特別なディフューザーを作れてダブルでハッピーでした。
「またまた当選しました」
一度当たって、またしずくストアで買い物をした時に、再び当たりました。マチが広いので、買い物バッグにちょうどよく、使い勝手が良いので、好んで使っています。
今回当たったバッグは妹にあげようと思います♪
「SHIZQのロゴマーク入りのバッグ嬉しいです」
SHIZQのロゴが素敵で前からロゴが入ったグッズが欲しかったので嬉しかったです。生地も丈夫そうなので、たくさん使いたいと思います。この先、こういうグッズも販売してほしいです。

くじの確率は7分の1という、なかなか当てづらい確率ではあると思うのですが、SHIZQに来られるお客さまは、とっても引きが強く、迷いなくぱっと引いて当てられる方の多いことに、毎度びっくりしています。(笑)
くじ引きもディフューザーの端材を使っているため、高さがマチマチ。
この高さの違いが、心理をくすぐるようで、「おもしろいくじですね〜」と嬉しいお言葉をよくいただきます。
当たった時の皆さまの笑顔とリアクションが素敵すぎて、毎回わたしたちも幸せな気持ちになります。
プレゼント企画の参加方法について
参加条件や抽選方法について、いま一度ご紹介しますね!
まず参加条件ですが、直営店であるSHIZQ STOREおよびオンラインストアで商品を購入いただいた方が対象となります。金額や商品に条件はありませんので、購入時に必ずご参加いただけます。
商品購入後にくじ引きにチャレンジいただき、当選された方に差し上げます。

オンラインショップでお買い上げ頂いた方はこちらで抽選し、当選者には、購入商品と同梱あるいは同時発送いたします。
※ご購入者様1名につき1度の抽選となります。
※当選者の定員が10名に達した時点で当月の抽選は終了し、翌月1日から再開します。
※プレゼント企画は2024年7月分で終了となります。
バッグに込めた想い
今回生まれたバッグには「地域で関わる人たちと一緒に、ものづくりをしたい」というしずくのこだわりが詰まっています。
バッグ作りは神山町内にある裁断屋の西内商事さん、ロゴの印刷は徳島市内のらくがき屋さんにお願いしました。どちらも日頃からしずくの製品作りにお力添えいただいています。

ハリのある生地で型崩れしにくく、重いものを入れても安心。
布地には国産綿100%の8号帆布を使用。丈夫で、お買い物など普段使いにぴったりです。
「プレゼントレベルではないクオリティ!」と当選者の方々に仰っていただくほど、こだわり抜いたバッグを作ったのは、日頃からしずくを応援してくださっている皆さんに、最大限の感謝の気持ちをお届けしたいという想いから。
また、お買い物のタイミングは人それぞれ。「大切なあの人へ、ギフトを贈りたいな」「いつか自分用にしずくの商品を迎えたい」など、いろいろなお客様がいらっしゃる中で、それぞれのタイミングにできる限り合わせてプレゼントできるチャンスを増やしたく、1年間に渡る企画とすることにしました。
このバッグを受け取ってくださった方の日常の一部になっていくような、そんな「何か」をお渡ししたかったのです。
夏までの企画ではありますが、数えてみると終了までは残り6ヶ月!
毎月10名様限定の当選枠なので、定員がはやく埋まる時は、月半ばで抽選終了となるケースも。
プレゼント企画に参加を希望される方は、月初めから中頃までに来ていただくのが確実です。
年度末は記念品のギフトシーズン、ご予約・取り置きなども可能ですので、ご検討中の方は、お早めがおすすめです。
SHIZQから贈る言葉

神山町の里山風景
皆さん、明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になり、心より感謝申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
まずはじめに、石川県能登地方で発生した能登半島地震で犠牲になられた方々へお悔やみを申し上げるとともに、被災されたすべての方々にお見舞い申し上げます。被害が最小限になりますように、少しでも不安がやわらぎますように、被災地へ心を寄せていきたいと思います。
新年のスタートにあたり、いつも神山しずくを応援してくれている皆さんへ「内的自然(ないてきしぜん)」という言葉を贈りたいと思います。
2023年7月、神山しずくプロジェクトは10周年を迎えることができましたが、私がこのような活動を始めたわけが、ようやく自分自身理解できるようになってきました。今日は、そんなお話をさせていただきます。
11年前、神山に居を移したことを端に、みどり豊かに見えていた山々は、実は戦後に植林した人工林で、植林してからおおよそ60年の間に、森が本来持っている多面的な機能が失われつつあり、とりわけ「水源涵養機能」が失われていることに氣づき、少しでも水を取り戻そう、未来の子どもたちに一滴でも多くの水を残そうと活動をスタートしたのでした。
杉を間伐し山に光を届けることで、山林環境が良くなり、水源涵養機能が回復すると信じて(当時は間伐が解決策だと言われていた)、人工林の課題の啓発とともに、杉を価値化し、杉を使う活動を行って参りました。
しかしながら、この10年、毎年毎年、山に入って杉の木を間伐してきましたが、環境が良くなる実感を得られず、ここ数年ずっと違和感を抱えながら、なぜ環境が良くならないのか?を自問自答し、その原因を探るために、自分なりにさまざまな勉強を重ねてきました。(間伐が無効という結論ではありません。神山しずくプロジェクトでは、これまで通り杉を間伐し、価値化し、その利用を進めていきます。山林の環境改善には、地表だけではなく、土中環境に目を向けた施行が有効という考えに現在は至っていますが、その話はまたの機会にさせていただきます。)

河合峠から望む剣山系の夕暮れ
そんな折、知人を通じて「生物多様性」の専門家、坂田昌子さんと出会うことになりました。2021年11月のことです。
ところで話は変わりますが、私は自分の中にあるルサンチマン(*)に似た感情が、自分自身の最も嫌いなところで、その負の感情をどう抑えればいいのか?どう付き合っていくのがいいのか?と、大きな悩みでした。
学校では、嘘をつくのは罪であり、正直に真面目に頑張れば、ちゃんと幸せになれる。そう教わりました。
なぜ、多くの政治家は国民を蔑ろにする?
誰がどう見ても理不尽な道理が、なぜ正当化される?
金融資本主義、民主主義崩壊への憤り。など
たくさんの疑問を解消するため、自分の頭で考え、判断するため、日本史、世界史、政治、貨幣、経済、エネルギー、金融など、自分なりに情報を集めて勉強しています。最近では、古代史、旧神道や世界の宗教、そして文明、人類史などを追っかけています。学生のころは、とんと勉強しなかったのに笑えますよね。
そんな私の中にあるルサンチマン的着想は、物事の奥底にある資本的で理不尽な考えや愚行に向けた憤りだったと、ようやく氣付きました。
(自分を含め)人はなぜ、目の前の利しか見ず、愚行に走るのだろう?
なぜ、そちらを選択してしまうのだろう?
ずっとずっと疑問に思ってきました。
さて、話は「生物多様性」の坂田さんとの出会いに戻ります。
2021年11月。知人からの勧めで、坂田さんのオンライン講座「坂田の杜」の1期生として、半年間、生物多様性を学ぶことになりました。
「生物多様性」と聞くと、生き物がたくさんいることが良いことで、動物愛護のための環境保全をやっていこう的なイメージはありませんか?私自身もそういったイメージと似たり寄ったりのイメージを持っていました。
「生物多様性」をひと言で説明することは非常に困難ですが「動物が可哀想」とか「自然がいっぱいで美しい」とは、似て非なるものです。

大粟山の倒木が朽ちて苔が生す様子
例えば、菌類や微生物、昆虫や植物、動物といったすべての生き物の「食う食われる」関係、それが我々の想像を超える規模で、複雑かつ多様であることの「尊さ」が、基本にあると私は捉えています。
産業革命以降の資本主義社会は、未だかつてないほどのスピードで、その多様性を壊していること、そこには人の暮らしや文化、思想や信仰が密接に関わっていて、我々の暮らしそのものをも危ういものにしている事態だと言うことを知りました。
つまりは、我々自身も、何千年、何万年と営まれてきた尊くも大きく素晴らしい奇跡の仕組みの一部だということを「生物多様性」から学んだのです。
今では、私自身が、坂田の杜の運営チームの一員として、その活動を支えるメンバーとして携わっています。今年の4月から第4期がスタートする予定なので、皆さんにも改めてご案内させていただきます。
生き物や環境が大切なことは、誰もが知っているよ。
そうです。では、なぜ我々は、大切な多様性を今もなお、ぶち壊しているのでしょうか。私がずっとずっと疑問に思ってきた答えのヒントが坂田さんとの出会いによって得られたのです。
それは「内的自然(ないてきしぜん)」です。
内なる自然とも言います。
この内的自然を端的に説明することも、非常に困難ですが、ルソーが提唱した哲学的概念で、いわゆる「思想」のひとつです。本来すべての人が持ち合わせているもので、普段、我々が自然と呼んでいる物理的なものは「外的自然」といい、我々がその外的自然に共同で関わったり、享受することによって、普遍的に我々の内部に湧き起こる「自然に対する道徳心や倫理観」のことをいいます。
法律で禁止されていなくても、我々はむやみに動物を傷つけたり、殺めたりしません。川にゴミを捨てたりしません。山の木々や植物をむやみに壊したりしません。これは、かつては誰もが当たり前に持っていた人としてのルールとも言えるかもしれません。

1月の吉野川。江戸時代に建てられた第十堰から、上流に向かって遠くに高越山が見えます。
しかし、資本主義のもとでは内的自然は解体されます。私的所有さえすれば、何をしても良い。地主なら、その土地をどのように扱おうがかまわない。住んでいる地域の環境でさえ、利にならないものは興味すら湧かないのです。逆に、自分の敷地内にお隣さんの植木の枝が伸びてきて落ち葉がその敷地内に落ちると、迷惑だと憤慨する。物質的な豊かさばかりを求めてきた結果、何かを失ったと感じるのは私だけでしょうか。
内的自然は、外的自然との具体的な関わりを通じてしか生まれないと言われています。水道をひねれば飲み水が出てくる。便利な暮らしですが、川とのつながりをイメージできなくなっています。休日に川でキャンプを楽しみ、悲しいことですが、ゴミを放って帰ってしまう人がいます。
私は若いころ、北海道をバイクで放浪した時期がありました。
大自然のなかで得た経験は、自分の存在がいかにちっぽけかを感じることが多かったし、各地で触れた人の暮らしの中にある「豊かさ」には、法律的なルールとは違った、人として大切にすべきものを学んだ気がします。外的自然とつながることで、内的自然を自分の中に築けた経験だったのかもしれません。だから、ずっとずっと疑問に思ってきたのかもしれません。
私が神山しずくプロジェクトを通じて、本当に成し得たかったことが、ようやくはっきりしてきました。「世界の人々に、この内的自然の大切さを伝え、広げ、本当の意味での豊かな暮らし、社会を取り戻したい。」
いまでは、そう強く願うようになりました。
外的自然と体験を通じた繋がりでしか得られない「内的自然」
私自身、まだ完璧に捉えられていないかもしれない「内的自然」
この神山という場所で、いったい何ができるのでしょうか。
いったい何から始めればいいでしょうか。
その足がかりとして、この春、神山町内で環境改善のワークショップを企画中です。改めて、お知らせできればと考えています。
2024年は、内的自然について熟考し、行動に移していく。
そんな年にしたいと思っています。
ぜひ、皆さんのお知恵やお力添えをいただけますと幸いです。
ご感想やご意見なども、ぜひお寄せください。お待ちしております。
令和6年1月5日
神山しずくプロジェクト 代表 廣瀬圭治
ルサンチマン(仏:ressentiment)フランス語で「憤慨する人」を意味する言葉です。
弱者が敵わない強者に対して抱く「憤り・怨恨・憎悪・非難・嫉妬」といった感情を指し、弱い自分は「善」であり、強者は「悪」だという「価値観の転倒」を意味します。
How to use 快眠のための杉オイル!
皆さまからのお声を反映して「眠りのためのエッセンシャルオイル」オススメの使い方をご案内しはじめてから、お試しいただける方がさらに増えました。
SHIZQのSLEEPING FOREST エッセンシャルオイルは、杉の樹木だけから抽出したピュアオイル。
深いリラックスへといざなう成分が豊富に含まれています。
使い方のコツが分かると、商品のよさ・凄さがきっと解るはず!
今回はオススメの使い方をさらに詳しく解説します♪

①おやすみ前に、セットのディフューザーやコットン・タオル・ティッシュなどに一滴垂らします。
②できれば消灯後、横になりながら、鼻孔の近くで香りをさがすように深く5回すいこみます。
吸い込んだ際に、眉間のさらに上の方に香り(成分)を届けるように意識するとなおgood!眠ってしまうまで、くりかえし吸い込むのもアリですよ。
③そのまま、ふーーーっと意識が上にあがるように遠のいていくので、その状態に意識をぼ〜んやり集中させます。
一方で身体の重みを感じたら、沈み込むようなイメージで自分を包み込む布団に身を預けましょう。
このときに意識が忙しいと色々と考えが浮かんできてしまいます。ここでそちらに意識をもっていかれないことが分かれ道!
「今日はもう寝ます。おやすみ〜」と、休むことを許してあげましょう。
④そうして眠ることができたら、翌朝はスッキリ!目覚めたときの頭の軽さ、身体の軽さが違います。
そんな風に朝を迎えられたら、その日はきっと素敵な1日にできますよ。
※個人の体感や使用者の方のご感想をもとに作成しています。効果や体感には個人差があります。
自分のための新習慣。
ぜひお試しくださいね。
しめ縄飾りを作ってみた!しずく田んぼ部【番外編】
こんにちは。
神山しずくプロジェクトの藤田です。
あっという間に師走ですね。おかげさまで、しずくは今年も米作りを終えることができました。
4年目になる田んぼは、試行錯誤を重ねて少しずつ手慣れてきたように感じます。

今年は田植え後の草取りを頑張ったので、雑草の生育を抑えることができました。
突然ですが、皆さんはお正月に「しめ縄飾り」を飾っていますか?
「しめ縄飾り」とは、しめ縄を用いて作られる飾りのこと。
年の瀬になると玄関などに飾り、新しい年神様をお迎えする目印にします。
かくいう私は田舎の実家で見たことがある程度で、自ら「しめ縄飾り」に触れる機会はありませんでした。

2022年、しずくでの田んぼ仕事をきっかけに、いろんな側面からお米というものを捉えてみたいと思った私。お米を収穫した後に残った稲ワラで、「しめ縄飾り」作りに挑戦しました!
今回は私が教わった「しめ縄飾り」の作り方について、皆さんにご紹介したいと思います。
Topics
・名人に教わる「しめ縄作り」
・「しめ縄飾り」の材料と作り方
・フェーズ1. 下準備
・フェーズ2. 締め縄を綯う
・フェーズ3. 輪飾りの完成
・かつては身近な存在だった「稲ワラ」
名人に教わる「しめ縄作り」
とはいえ、今まで「しめ縄飾り」など作ったことのない私。せっかくやるなら、ちゃんと習いたい!と思い、友人の紹介でしめ縄作りの名人を訪ねてきました。

名人は普段、木彫りや籠編み教室の先生をしていらっしゃいます
今回作ったのは、「輪飾り」というタイプの「しめ縄飾り」です。

初めて私が作った輪飾り
「しめ縄飾り」もいろんな形がありますが、これはシンプルな構造なので初心者の私にもチャレンジしやすかったです。「しめ縄飾り」を作る前に、まずは縄を綯う(なう)練習から行いました。手で稲ワラ同士を擦るように巻いていくのですが、これが意外と難しい!

慣れた手つきでどんどん綯っていく名人
この作業さえ覚えてしまえば簡単なのですが、一度やっただけではすぐ忘れてしまうため、習得するまでに時間がかかりました。初めて「しめ縄飾り」を作る方は、まずは数本の稲ワラを使って縄を綯う練習からスタートすると良いかもしれません。
「しめ縄飾り」の材料と作り方
しめ縄飾りに必要な物をまとめてみました。
<材料・道具>
・稲ワラ…適量
・水…稲が浸かるくらいの水を入れた容器
・装飾(例:橙、裏白など)…適量
・結束バンド…1つのしめ縄飾りに2本
・ハサミ
・棍棒
・敷石
材料は基本的に身近にあるものでまかなっていきます。稲ワラの代わりに真菰や他の小物を使う方もいますし、結束バンドは麻紐でも問題ありません。

フェーズ1. 下準備
まずはじめに、
❶乾燥した稲ワラを湿らせて扱いやすくします。稲ワラが入るくらいのバケツや容器に水を溜めて、全体をさっと浸すイメージです。
次に、きれいなしめ縄を綯うために、
❷稲ワラの不要な部分を取っていきます。これを袴取りと言います。
❸きれいになった稲ワラを敷石の上に乗せて、根元あたりを棍棒で数回叩きます。
こうすることで、硬い根元の繊維が柔らかくなり、しめ縄を綯いやすくします(強く叩きすぎると繊維が壊れてしまうので要注意)。

フェーズ2. しめ縄を綯う
❹きれいになった稲ワラを30〜40本ほど束ねます。根元を結んだら、その束をさらに3つに分けます。
❺3つに分けた束のうち、2束を綯っていきます。この時、束自体は時計回りにひねりつつ、各々ひねった2束を、さらに左巻きにしていきます。※ この工程はコツが必要です!こちらの動画がわかりやすいので参考に!
❻編みきったら、残りの1束を時計回りに捻りつつ、先に綯ったしめ縄のくぼみに添わすようにして巻いていきます。
このとき手の滑りが悪い場合は、稲ワラを再度湿らせましょう。水を含んだワラは手に吸い付くので、綯いやすくなります。

フェーズ.3 輪飾りの完成
❼しめ縄ができたら、縄を丸めて円にします。
❽縄の両端が重なる上部を、結束バンドで留めたら「輪飾り」の土台が出来上がり。
❾最後に装飾をつけて完成です。装飾物にはそれぞれ意味があり、橙は「代々=子孫繁栄」、松は「長寿」や「健康」を表しているそうです。飾りの数や種類に決まりはないので、自分が大事にしたい意味を込めて作ってみてください。
以上で、「しめ縄飾り」の完成です。
かつては身近な存在だった稲ワラ

2023年の暮れに、しずくのメンバーでしめ縄飾りを作った夜
その昔、私たちの祖父母らは、畑仕事や暮らしの道具を作る材料として稲ワラを活用してきました。残念ながら、現代では身近なものではなくなってしまったというのも事実です。当たり前の知恵や技術が簡単に消えていく今だからこそ、稲ワラという素材に触れること、自分の暮らしに取り入れることに面白さを感じます。

庭や裏山で拾った木の実をつける人も
しずく田んぼ部では、今年も稲ワラを使って「しめ縄飾り」を作る予定です。
完成品は、しずくストアにも飾る予定ですので、年明けに来店いただく方にはご覧いただけるかもしれません。
「しめ縄飾り」に興味がある方は、次のお正月に向けてぜひチャレンジしてみてくださいね!
おとなり香川のSHIZQスポットご紹介♪
こんにちは。神山しずくプロジェクトの渡邉です。今年は秋らしいお出かけ日和が続いていましたね。

神山ではイチョウのライトアップがはじまりました
みなさんのお住まいから”ちょうどいいお出かけ先”はどちらでしょうか?
徳島県の東中央に位置する神山町。四国県内だと愛媛県松山市まで車で3時間、高知市なら2時間30分、香川県高松市だと1時間30分と、香川県が身近なエリアです。

おかげさまで少しずつご縁のある方々が増えていき、SHIZQ製品をご覧いただける場所もできました。
今日はそんな隣県香川にあるSHIZQゆかりのスポットを一挙にご紹介いたします!
どちらがどの場所かわかりますか??
SHIZQ SPOT LIST(敬称略・順不同)
・百十四銀行 高松東営業部/高松市
・西岡家具/観音寺市
・喜田建材 DEMI1/2/三豊市
・麦縄(むぎなわ)の里 まさご屋/高松市
・77番札所 道隆寺/多度津町
・臼杵芳春さんの漆林/丸亀市
・Cafe de flots カフェ ド フロ/三豊市
・Lemon tree hotel/男木島
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四国四県から各2社ずつ展示いただいています
①百十四銀行 高松東営業部/高松市
1つめは期間限定で展示いただいているこちら。香川県で最大シェアを誇る百十四銀行の新店舗。建物のエネルギー消費量を実質ゼロにするZEBに認定された特徴的な支店です。また店舗内では、銀行業務以外に地元企業が活用できるスペースが併設されています。そちらのオープン企画「四国の美しい工芸」にて展示いただいています。12月25日頃までの展示です。
展示品:鶴タンブラー、亀八タンブラー、SLEEPING FOTRST エッセンシャルオイル&ディフューザーギフトセット、FRAGRAN FOREST 除湿芳香剤、RELAX MIST 微芳香蒸留水
住所:香川県高松市木太町877番地1
HP:https://www.114bank.co.jp/

圧倒的な品揃えは暮らしのテーマパーク…!
②西岡家具/観音寺市
今年の初売りにポップアップを企画いただいた香川の有名家具店である西岡家具さん。その後も継続してお取り扱いいただいています。さすが老舗!という広ーい店内。ちょうど旧館改装前の大型セールが来週まで!ぜひこの機会にお近くの方はチェックしてみてくださいね。店内散歩ムービーでステキな店内の様子がご覧いただけます。個人的には、家具屋さんならではの寝具を使った睡眠の質を見直すサービス、睡眠体験プランが一推しです。
取扱商品:SLEEPING FOTRST エッセンシャルオイル&ディフューザーギフトセット、SLEEPING FOTRST エッセンシャルオイル単品、FRAGRAN FOREST 除湿芳香剤
住所:香川県観音寺市吉岡町770-1
HP:https://n-oka.net/

気軽に入れる雑貨屋さんながら家づくりのヒントが詰まったショールームでもあります
③喜田建材 DEMI1/2/三豊市
建材屋さんでありながら工務店やゲストハウス、特産である伊吹いりこのラーメン屋まで…地域のための事業をとことん追求する喜田建材さん。”デミにぶんのいち”という雑貨屋さんは、木に関わる商品を中心としたこだわりのセレクトショップ。海まですぐのお店だからこそ、海と川、川と山とのつながりを伝えるためにもSHIZQの商品を!とラブコールをくださり実現しました。
取扱商品:鶴 ロックグラス、SLEEPING FOTRST エッセンシャルオイル&ディフューザーギフトセット、FRAGRAN FOREST 除湿芳香剤、RELAX MIST 微芳香蒸留水
住所:香川県三豊市詫間町詫間890-1
HP:https://demi-kitaken.com/

公渕森林公園すぐ、広い敷地で製造見学もできます
④麦縄(むぎなわ)の里 まさご屋/高松市
日本三大そうめんと呼ばれる小豆島そうめんを発祥とする、まさご屋さん。30時間以上かけ昔ながらの製法で丁寧に作られた手延べそうめんを味わうことができます。「本物を今に合ったカタチで」と、次世代に残したい地域をつくるための複合施設。カヌレや植物性ハンバーガー、アクセサリーや生活の道具、夏には流しそうめん!と幅広い世代で楽しめます。
取扱商品:SLEEPING FOTRST エッセンシャルオイル&ディフューザーギフトセット、SLEEPING FOTRST エッセンシャルオイル単品
住所:香川県高松市東植田町1361
HP:https://www.muginawa-m.com/

和尚さんのほっこりとした日常を垣間見れるInstagramもおすすめです
⑤77番札所 道隆寺/多度津町
四国霊場八十八ヶ所のお寺は、発心の道場と言われる徳島県からはじまり左回りに点在します。その第77番札所である道隆寺さん。住職の就任式である晋山式の記念品にSHIZQのコップをお選びいただいたご縁から今もお付き合いが続いています。眼病平癒祈願でも有名で、全国から参拝客が訪れているそうです。
住所:香川県仲多度郡多度津町北鴨1-3-30
HP:https://88shikokuhenro.jp/77doryuji/

手間をかけて種から育てた苗木。漆林の様子は漆掻きレポートからどうぞ
⑥臼杵芳春さんの漆林/丸亀市
昨年、漆掻きレポートの取材をさせていただいた漆林です。漆を掻き終わった木で器を作る循環型のものづくりをされています。職人という立場から材料・加工・販売とひとつなぎに取り組むべく漆苗木の植林をはじめ後継者の育成まで精力的に取り組まれており、しずくプロジェクトのことも、とても気にかけてくださっています。作品はうつわ楓さん等でご覧いただけます。
HP:https://www.usuki-koubou.com/

丹精こめた食事・お茶・宿泊・お土産すべてが叶います
⑦Cafe de flots カフェド フロ/三豊市
夕暮れのロングビーチで鏡のような絶景が広がると一躍有名になった父母ヶ浜。その海岸線で20年近く前から続く人気のカフェ。お店の一角にはご好意でSHIZQのエッセンシャルオイルを飾ってくださっています。カフェの隣には、薪料理を囲んで団欒を味わうホステル「Ku;bel(クーベル)」を併設。目の前の海から汲み上げ、薪窯で手づくりしたお塩はどれも絶品です。
住所:香川県三豊市仁尾町165-1
HP:https://nami53.wixsite.com/flots

いつかホテルのどこかでしずくプロジェクトの名前を見つけられるかも
⑧Lemon tree hotel/男木島
人口150人の小さな離島。里山・里海を守るため自家ハーブのみを使用したノンケミカルなヘアサロンや循環を意識したバールを運営しながら「Lemon tree hotel project」という、集落や自然環境を維持・再生をめざしたホテルづくりが行われています。ホテルオープンに先がけ、年内にはグランピングがスタートするそうです。
住所:香川県高松市男木町1896-1
HP:https://elephant-sun.com/
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どのスポットも、人と人とのご紹介でつながったご縁ばかり。しずくプロジェクトの考え方・取り組みに共感賛同してくださり、私たちもそれぞれのビジョンや取り組みを知って励まされています。
みなさんは気になるものや場所はありましたか? 少しでも共感や発見があったらうれしいです。
10年に1度?の紅葉と、奥山の現状を見に塔の丸へ
こんにちは。
神山しずくプロジェクトの藤田です。
11月に突入し、2023年も残すところ2ヶ月を切りました。
日々が過ぎるはやさに驚きつつ、鮮やかな秋の移ろいに癒されています。

突然ですが、みなさんは野生の鹿を見たことがありますか?
馴染みがない方もいるかもしれませんが、
じつはここ神山町では、よく見かける野生動物でもあります。

夜に車を運転すると、道路でばったりなんてことも
一見愛らしい見た目のこの生きもの、
今日はそんな「鹿」について、話をしたいと思います。
Topic
・鹿は身近な生き物?
・神山のさらに奥へ
・残された森の現状
・塔の丸からの眺め
・鹿の食害から見えるもの
・登山を振り返って
・さいごに、岳人の森について
鹿は身近な生き物?
さかのぼること、今年の7月29日。
しずくでは、創立10周年記念事業として「昔の暮らしと、森に想いを寄せる勉強会」を開催しました。
その際、話題にあがったのが「獣害」について。神山町に限らず、日本各地の里山で鹿や猿、イノシシなどの野生動物が出没し、畑の作物が荒らされるという現状があります。その中でも、神山ではとくに鹿の増加が問題となっています。実際にSHIZQ STOREの敷地内にも早朝に降りてきたり、有志で行なっている田んぼの苗がほとんど食べられてしまったという経験もありました。
今は繁殖期に入り、鹿の鳴き声が毎晩聞こえてくるのが日常になっています。
しかし、神山町ではかつてメス鹿を保護していたという事実を勉強会で知りました。
それほど、以前は鹿の頭数は少なく、近年のように私たちの生活圏に降りてくるようなことはなかったそうです。
本来、野生動物は人間を恐れて近づかないもの。
なぜ、彼らは危険を犯してまで里山に降りてくるようになったのでしょうか。
それは、野生動物の住処である奥山(=人里離れた山奥)にエサがなくなっていることが原因にあります。
この勉強会でゲスト登壇してくださった岳人の森の山田勲さんが、
「奥山の鹿の食害はさらに悲惨な状況、ぜひ一度みてほしい。」
と声をかけてくださったことがきっかけで、私たちしずく一行は、秋の剣山系へ足を運ぶことになりました。
神山のさらに奥へ
10月下旬のある朝、山田勲さんの案内で、塔の丸 (とうのまる)にやってきました。
塔の丸 (標高1,713m)は四国百名山のひとつで、剣山国定公園内に位置しています。

塔の丸の登山口は、剣山の見ノ越から車で10分ほどの道路沿いにあります
登山口から足を踏み入れた先で、思わず息を飲みました。
そこには、多様な樹木が共生する森が広がっているのです。
上を見上げると紅葉した樹木の葉がハラハラと風に舞って、苔生す地面を覆うように落ちていました。
神山町でよく見るスギ・ヒノキの人工林とは違い、ダケカンバやウラジロモミ、シコクシラベなど、高山ならではの樹木もあります。

もふもふの杉苔が愛らしい
この辺りは、ニホンツキノワグマ(以下、ツキノワグマ)の生息地でもあります。
ツキノワグマは「豊かな自然の象徴」とも言われる野生動物。現在、ツキノワグマは四国では絶滅危惧種となっており、唯一残された生息地域が剣山系なのです。
残された森の現状
登山道に入ってしばらくすると、山田さんが鹿の食べ跡を発見しました。

白い点線で囲ってあるところが、鹿の食べ跡
幹の上から下まで、樹皮が剥がれているのがわかります。
鹿は食糧がなくなる冬に、木の樹皮を剥がして食べます。
とくにモミ系の樹木の被害が深刻化しているとのこと。
この写真だけでなく、森の至るところに鹿の食べ跡を確認しました。

鹿に樹皮を食べられた木は、このように立ち枯れしていきます
針葉樹林は幹の周囲の皮をぐるっと剥がれると、回復できずに枯れてしまうそう。
一方でリョウブやナツツバキなどの広葉樹林は、樹皮を食べられても復活するとのことで、樹木の種類によっても違いがあるのが興味深いです。

鹿の食害を防止するための樹木ガードも多数ありました
鹿が木の皮を食べることで、樹木が枯れて山肌がゆるみ、土砂崩れや下流の河床の上昇を引き起こしているのです。
残された豊かな森は、想像以上に深刻な状態でした。
塔の丸からの眺め
しばらくして森が開けると、見晴らしの良い場所に出ました。
谷からは風が吹き、なんとも気持ちの良いところ!

山稜から南側に広がる絶景が見事です
シコクザサの群生が続く尾根を進みながら、横目には剣山(1,955m)や次郎笈(1,930m)、さらには三嶺(1,894m)まで続く美しい稜線を眺めることができます。

登山道の脇で立ち枯れしている樹木群
なだらかな登山道を歩いている道中でも、立ち枯れの木々が目立ちます。
これもまた、鹿の食害が原因とのこと。
森を抜けた稜線エリアの方が、深刻化しているように感じます。

左奥に見えるのが、塔丸山頂です
鹿の食害から見えるもの
山田さんが連れて行ってくださった奥山では、想像以上に鹿の食害が進んでいました。残された森を守るために樹木ガードを巻くにも、この膨大な樹木群すべてを守ることは困難でしょう。
なぜ、このような状況が起きているのか。
それは彼らのエサ場である雑木林が、戦後の拡大造林によって消失してきたからという見方があります。川の水を取り戻すため人工林と対峙してきたしずくとしても、この現状をみなさんにお伝えし、一緒に考えていけたら、と強く感じました。

塔の丸山頂で記念撮影!
登山を振り返って
今回、改めて現地に足を運ぶ大切さに気づきました。
奥山で起きていることは剣山系のふもとに暮らす私にとっても、決して無関係ではないことを感じました。
日本の山林が抱えるさまざまな問題は、一筋縄ではいかないことばかり。現実はポジティブなことばかりではありませんし、個人でできることも限られているかもしれません。それでも、知ることを放棄しないように、もっと大きな視点で考え、できることをしていきたいと思いました。

余談ですが、さいきん我が家では鹿肉カレーがブームです。鹿は美味しい!
さいごに、「岳人の森」について
7月の講演会をきっかけに、実際に奥山へ足を運ぶという貴重な機会を頂きました。
改めて、案内をしてくださった山田さん、ありがとうございました!
山田さんが運営されている「岳人の森」では、四国の貴重な山岳植物を見ることができます。しずくストアから車で30分ほどの場所です。
2023年の営業は11月末まで(12〜3月まで冬季休業)とのことですが、併設している観月茶屋でのお食事がとても美味しいので、神山にお越しの際には是非足を運んでみてくださいね。

観月茶屋では、瓶ビールをご注文いただいたお客様に、しずくのカップをお出ししています。(※ 2023年11月時点)
気になる方は、ぜひ岳人の森 公式サイト もしくはFacebook をご覧ください。