川の水が減った理由
かつての山は自然林でした。
ずっと昔の自然林には針葉樹や広葉樹などいろいろな木が生え、長い時間をかけて大木が育っていました。
そんな自然林の地面には光が降り注ぎ、下草が生えていました。地表は葉っぱや草を含んだ、やわらかい土となり、地中にたっぷりと水を含んでいました。地下水を蓄えた山々は、時間をかけて雨を川へと送り出していました。
どうして自然林が減ったのか
太平洋戦争の時代、戦争に必要な建物や燃料として使うため多くの木が伐採され、山はまる裸になってしまいました。
戦後、産業として使う木を増やすため、植樹に多くの補助金が支給されるようになりました。こうして山々には多くの若木が植林されました。杉は成長が早く、住宅用建材として最適だとされていたので、多くの山々は杉を中心とした人工林へと変わっていったのです。
杉を切らなくなった理由
杉を大量に植えた日本の山々でしたが、自由貿易が始まり、安い輸入材が大量に市場に出回るようになり、杉の市場価値が下がってしまいました。日本の杉は需要が無くなったのです。売れないから、切らない。という時代になってしまったのです。
切らなくなった人工林は放置されるようになりました。密集した人工林は、枝打ちや間伐などの手入れをしないと地面に光が届きません。そんな地面には、草が生えず、土が固くなり、雨が降っても水を吸い込みません。雨は地表を一気に流れてしまいます。
人工林で覆われた山の保水力が失われたことで、日常的に川へ送り出す水量が減り、川の水量が減少しました。
どうすれば水が増える?
年間約2000ミリの雨が降り、雄大な木立が並ぶ神山町ですが、町を流れる鮎喰川の水は30年前と比べると3割に減ったそうです。
川の水量を保つひとつの方法が「間伐」です。密集する木を間引く「間伐」が進めば、太陽の光が地面まで届き、下草が生い茂り、水を吸い込む地面を増やせます。山から川へ流れ込む水の量も増えると考えています。
しずくプロジェクトでは、水資源の減少へ直結する人工林の問題に、まずは何より「間伐」を大切に考え、少しでも山に光を取り入れる活動を進めて行きます。