こんにちは、神山しずくプロジェクトです。
あっという間に1月も終わりですね。まだまだ寒い日が続きますが、今年の冬は例年よりも比較的あたたかく感じます。
さて、「水源涵養力を育む環境改善ワークショップ」の第3弾募集のお知らせです!
しずくの新しい取り組みとして始まったこの企画。昨年9月に第二回目を開催し、大勢の方に参加いただきました。前回に引き続き、生物多様性の専門家・坂田昌子さんをお迎えします。
これまで参加された方も、今回初めての方も大歓迎ですので、ぜひこの機会をお見逃しなく!
以下、イベントの詳細です。
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水と空気の循環を取り戻し、豊かな場所へと戻していくための
第3回 「環境改善ワークショップ」
日時:
2025年3月1日(土)2日(日)の2日間
3月1日(土) 10:00〜17:00(9時30分受付開始)
3月2日(日) 10:00〜17:00(現地9時30分集合)
※基本2日間通しでのご参加をお願いします。
※1日だけの参加希望の場合は要相談
ワークショップ内容:
(1)坂田さんと歩く「めぐる谷」ガイド
1,2回目のワークショップで手入れをした場所を中心に、造作のチェックや経過観察を行います。「めぐる谷」全体の概要について解説を聞き、典型的な里山古民家にあるフィールドについて理解を深めます。
(2)裏山の照葉樹林への植樹 &ミニしがらワークショップ(概念図中①)
かつて里山の重要なエネルギー源だった薪や炭。裏山の照葉樹林は薪炭林(しんたんりん)として利用されていました。しかし手入れが止まり、クヌギやカシなど薪炭に適した木ばかりの状態では、やはり植生の偏りが生じます。神山では貴重な常緑樹林ですが、地表が乾くことで土砂が流れ出し、ずいぶんと弱っています。
今回はその山の手入れをすることで、水源涵養力と生物多様性を高めるのが狙いです。
高木になるヤマモモ、クスノキ、エノキ、クロガネモチ、カツラ…中高木になるイロハモミジ、ヤマボウシ、ネムノキ…低木のムラサキシキブ、マルバウツギ、ノリウツギなどなど、全部で27種ほどの苗木を坂田さんに詳しく解説をして頂きながら、みんなでわいわい「植樹&ミニしがら」を作るワークショップです。
※雨天決行(大雨の場合は別内容の予定)
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めぐる谷の紹介とこれまでのワークショップのおさらい
1.U字溝排水に代わる「せせらぎ作り」(概念図中③)
敷地内にあるコンクリート排水溝が、自然の水の流れを遮断し、行き場を失った水脈は、コンクリートを避けるようにその下を流れていました。水と空気の動きが停滞することによって、土壌はグライ化を起こし、目詰まりします。このコンクリートU字溝を撤去し、代わりに藁や天然石で「小さなせせらぎ」を作りました。排水という考え方ではなく、水や空気が地中に染み込んだり、地上に出てきたりと、本来の水の流れを取り戻すための有機環境土木です。
2. 水源涵養力を育む要(かなめ)「しがら組み」(概念図中②)
これまでのWSでは、斜面の崩壊と滑り水が起こっていた山際に沿って「しがら」を作りました。木杭と枝、落ち葉といった自然物だけで作る「しがら」は、まるでビーバーダムのような構造になっています。水がゆっくりと浸透する機能に加え、苔や萌芽を促し、微生物や昆虫のベッドような役割も果たし、生態系の改善をも期待できます。一見、脆弱に感じる素材ですが、微生物が葉っぱを1枚分解するには約3年掛かると言われており、何年か毎に落ち葉を詰め込んでやれば、その機能を維持でき、メンテナンスも容易です。
3.乾いた果樹畑の「有機保水処置」(概念図②付近の果樹園)
②の「しがら組み」の谷側にある果樹畑には、スダチの木が植わっています。土地全体が乾いており、その影響で果樹畑の実の付きがよくありませんでした。山際から落ちてくる水を「しがら」で受け止めるだけでなく、ということで、スダチの木に少しでも水分を与えるため、設備のいらない「有機保水処理」を行いました。
(実際の様子は、こちらの動画 およびレポートをご覧ください)
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定員:
30名程度
参加費:
2日間で10,000円 (保険料・ランチ代 込み)
※当日、会場受付にて現金でお支払いください。
※高校生以下は2,500円(保険料・ランチ代)
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お申し込みはこちらから
お一人ずつのお申込みをお願いいたします
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※定員に達し次第、募集を締め切ります。
※後日、参加確定のご連絡をメールいたします。
講師:
坂田昌子さん
明治大学文学部史学科卒業。一般社団法人コモンフォレストジャパン理事。 虔十の会代表。前・国連生物多様性の10年市民ネットワーク代表。 東京高尾山にて生物多様性を守り伝える為に、ネイチャーガイドをされながら日本各地を駆け回りつつ、生物多様性条約や地球サミットなど国際会議にも継続的に参加。
開催場所:
徳島県神山町上分地区(参加者の方には詳細を後日お知らせします。)
当日の服装や持ち物:
暖かい格好と歩きやすい靴でお願いします。
水筒、雨具、軍手やグローブ、帽子、タオルなど。
できれば1人1つずつご持参ください:
枝切り用手のこ、剪定ばさみ、移植ごて。
腰ベルト・腰袋の上、紛失防止のため記名推奨。
神山町宿泊施設情報:
神山町の宿泊施設をご利用の参加者は、こちらを参考にご自身でお手配下さい。
お問い合わせ:
神山しずくプロジェクト info@shizq.jp
なぜ、このようなワークショップを行うのか
元々、神山しずくプロジェクトは、未来の子どもたちに一滴でも多くの水を残そうという想いから活動を始めました。杉林を間伐することで、山に光が届いて山林環境が良くなり、水源涵養機能が回復すると信じてきたのです。
一方で、このままで本当に良いのかと違和感も芽生えてきました。
毎年、切り旬と呼ばれる冬期に生産林に入り、間伐を進めてきましたが、環境の変化にはっきりとした実感が持てないまま、疑問が募る日々を過ごしていました。
そんな中、2年前に生物多様性の専門家 坂田昌子さんと出会い、土中環境や菌根菌、思想、文化など、里山の暮らしと環境、生物多様性が実に密接な関係にあることを学ぶ機会を得て、新しい視点と知識をたくさん頂きました。
ー「めぐる谷の物語」と名付けました。より廣瀬の言葉を抜粋
ただ杉を間伐するだけでなく、目に見えない土壌の中から物事を捉えていく。実践と学びを重ねていく中で、生物多様性の視点を持って、豊かな自然を育んでいくことへの重要性を実感するようになりました。
私たちの暮らしを下支えしている環境へ、深く繋がっていくために。
しずくの次なる取り組みとして、水源涵養機能を育むワークショップを開催することになったのです。
めぐる谷から始まった物語、この小さな取り組みが未来への「しずく」となっていくように、みなさんと一緒に歩めたらと思います。
ぜひ、ご参加お待ちしております!