米作りから見えてくる、しずく的探求心

こんにちは。スタッフの藤田です。

全国各地で、暑い日が続いていますね。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
しずくが活動している徳島県神山町でも、日中は日差しが強すぎるため、早朝や夕方の涼しい時間を狙って野良仕事をしています。

さて、今日はしずくが取り組んでいる田んぼの話をしたいと思います。

「自分たちが安心して食べられるものを少しでも自給できたら。」
そんな想いから始まったしずくの米作りは、今年で3年目を迎えました。

しずく田んぼ
しずくが借りている田んぼ

去年はしずくストアのオープンもあり、何かと手をかけられなかった田んぼでしたが、
今年は耕うん機を導入するなど、持続的に取り組んでいける方法を模索しながら進めております。

耕うん機で田おこし
4月、耕うん機で田おこし

しずくの1ヶ月休暇が明けた6月に、代掻きと田植えを実施しました。
現在は除草や水管理を行っています。

ゆっくりなペースながら、稲もすくすくと育ってきました!

そんな中で、今回は昨年7月に入社した私が、
初めて田んぼの水管理をやって気づいたことを書きたいと思います。

しずくの田んぼ除草作業
朝の除草作業の様子。出勤前の良い運動になります。

水管理って何をするの?

稲が育つには、水が不可欠です。
稲はもともと東南アジアの沼地など水辺が原産であり、雨期に成長する植物なのだそうです。水があることで、雑草や病害虫の発生を抑制し、稲の生育に必要な温度を保つことができます。

特に、重要なポイントは、「水の量」と「温度」です。

苗の状態に合わせて水の量を調整し、水温を適度な状態に保つことで、稲の発育を促していきます。

田んぼの水は入った分がずっと残るわけではなく
土中に染み込んだり、大気中に蒸発するため、
天候や気温差をその都度みながら水を調整する必要があります。

田んぼの水口
水路から、田んぼへ水が入るところを水口と言います。木の板を使って、水量を調整します。

毎日ちょっとずつ、気にかける

私のここ最近の日課は、出勤時に田んぼへ足を運び、状況を確認すること。

「今日は田んぼの水が少ないから、少し増やそう」
「今夜までずっと雨だから、水路の水は一旦止めてみよう」
という具合に、その都度状況を見ながら、水管理をしています。
(たんぼで泳ぐオタマジャクシとアメンボ)

ただ、水管理といっても、最初からスムーズにできたわけではありませんでした。
当初は、やり方を調べてもいまいちピンとこなかったですし、どれだけ情報に触れても、手を動かしていない以上は、自分ごととして落とし込めていませんでした。

途中からメンバーで話し合い、毎日交代で田んぼの様子を見にいくことを始めてから、ようやく田んぼが身近になってきました。

近くて遠い「お米」のこと

徳島平野の田園風景
実家のちかく。夕焼け空が田んぼに映り込む景色が、昔から好きでした。

私は徳島平野部の出身で、四方を田んぼに囲まれた田舎で育ちました。

昔は田んぼ仕事をする祖父母へ、お菓子やお茶を運んだりしましたが、
私自身、米づくりのノウハウを教わっていません。
共働きの両親の代になってからは、近所の農家さんへ田んぼを貸しはじめたこともあり、
家族のなかで米を作る人はいなくなりました。

ある意味、私にとって、田んぼは近いようで遠い存在でもありました。

情報として「知っている」から、実感を伴った「理解」へ
実際のところ、私たちは自分を取り巻く環境や、
それを構成する要素について、知らないことが多いのではと感じています。

毎日食べているお米ですら、何をどうすれば稲が育つのか、
深く理解している人はそう多くないはず。

また、情報として「知っている」だけのことが多く、
それで「分かっている」つもりになっていることが多いことにも気付かされました。

今回のように米づくりに関わることで、
何気なく目にする故郷の風景が、どのように形作られているか、
農家さんの労力や手間がどれくらいかけられているか、
実感を伴ったかたちで理解できるようになりました。

田んぼと雑草
米作りはいかに雑草と付き合っていくか

私たちが、米作りを行う理由

そもそもですが、この時代に、
デザイン会社であり人工林の問題に取り組む私たちがなぜお米を作るのか?
と疑問に思う方もいると思います。

私たちは米作りに、時間と労力を費やしています。

一見、不思議な光景に見えるかもしれませんが、
ここにこそ、私たちの考え方の根幹が表れていると感じています。

今、社会はどういう状況なのか、今までの当たり前がこれからも続くのか。
何が大事で、自分たちが今できることは一体なんなのか?

このような問い直しから生まれた
「安心な食べ物を自給する」という行為へのチャレンジ。

ある種、しずくプロジェクトをはじめたときと同じ論理なのです。

まったく無知な分野に関心を持ち、観察を続けると、興味が湧いてくる。

自ら手を動かし、向き合い、日々の変化に気づいていく。
問題が発生すれば、その都度原因を探り、
仮説をたてて、繰り返し試していくこと。

磯足袋で田んぼ作業をする
田植え長靴の代わりに、川遊び用の磯足袋を履く。これが中々良い。

このような探求があるからこそ、私たちは実感を伴いながら、
神山での暮らしや仕事を足元から作っていけるのだと思います。

もちろん、理想と現実のギャップ、
自分達の持っているキャパシティの限界もありますが、
周りにたくさんいる大先輩にご助言いただきながら、
自分たちでやってみることを選び、日々歩んでいます。

毎回、試行錯誤しながらですが、
これからもしずくの取り組みを見守っていただけたら幸いです!

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↓過去の様子はこちら
2020年:たった2ヶ月で畑も田んぼもはじめた話

https://shizq.jp/20200610-2/

2021年:【しずく農園だより】無農薬米作り、スタートしました!

https://shizq.jp/20210701/

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