山の日に伝えたい、自然とともに暮らすこと

こんにちは。しずくスタッフの東條です。
8月ですね。太陽の輝きが増し、立っているだけでもヘトヘトになる暑さには参ります。それでも青空と山の緑のコントラストを見ると「夏もいいな」と心は涼むような気がします。

さて8月8日は山の日。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨として、2014年に制定された祝日です。
今回はそんな「山の日」にちなんで、改めて山のお話をお届けしたいと思います。

日本は国土の約7割を山が占める山の国。自然が日常生活に深く関わる暮らしは豊かな心も育んできました。

わたし自身、神山に移住してからその豊かさ、そしてその喜びを暮らしの中で、日々感じるようになりました。また同時に、街中に住んでいた時には見えていなかったことの多さに気付かされたのも事実です。

神山、そして日本中の山々が抱えている人工林の問題もそのひとつでした。
今から約70年前、戦争に必要な建物や燃料として使うため多くの木が伐採され、山はまる裸になってしまいました。戦後、産業として使う木を増やすため、成長が早く、加工がしやすい杉が植えられ、多くの山々は杉を中心とした人工林へと変わっていったのです。

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人工林の杉の木。細いため強い台風時には倒れてしまうことも。


杉を大量に植えた日本の山々でしたが、海外からの安い木材が大量に輸入されると、日本の杉は需要が無くなり、売れないから、切らない。という時代になってしまったのです。

人工林は手入れが必要です。特に大切なのが「間伐」と呼ばれる作業で、木を間引いてゆとりをつけ、地面に光や雨を届けて、太くて良い木が育つようにします
手入れがされないと、細く弱々しい木が混み合った暗い森になってしまいます。
草が生えず、土が固くなり、雨が降っても水を吸い込みません。雨は地表を一気に流れてしまうのです。
人工林で覆われた山の保水力が失われたことで、日常的に川へ送り出す水が減り、川の水が減少しています。神山町に流れる鮎喰川の水は約30年前に比べて3分の1に減っています。

神山の主流である鮎喰川

山の問題は、山だけの問題ではなく川へ海へ、そしてわたし達の暮らしに繋がっています。そしてわたしたちの暮らしが山や川、海へ繋がっています。
人工林をはじめ、今抱えている様々な環境問題は、これまでのわたしたちの選択と行動の結果だと思うと心が痛むことも多いです。でもそれはこれからの行動で変わることができるということ。

わたしは神山に来て、しずくスタッフとして働くことで、気づくことができ、自分にできることを考え、少しずつですが暮らしの中で行動をするようになりました。

例えば、洗剤などの消耗品を自然に優しい素材に見直したり、不要になったもので使えそうなものはNPO法人が運営するリサイクルショップに寄付したり、、小さなことですが、「自分の行動が何かの、誰かのためになる」そう思うと前よりも気持ちの良く過ごせている気がします。


この山の日が、みなさんの身の回りにある自然のこと、あるいは自然との思い出を振り返り、50年、100年、その先も自然とともに暮らすことができる未来へのきっかけの日になれば嬉しいです。