30代女子の神山移住ストーリー。1年前の決意と今のわたしが思うこと。

こんにちは。しずくスタッフの佐坂です。

澄んだ空気と突き抜けるような青空が広がって、爽やかで過ごしやすい季節がやってきましたね。
四季の中でも秋が一番好きな私。
そんな秋真っ只中の1年前、私はしずくにやってきました。

あっという間の1年。けれど、ものすごく濃密な1年。

今回は私がしずくに入社し、神山に移住を決意した当時の気持ちを振り返ってみました
当時のことを思い起こしながら記事を書いていると、忘れかけていた初期衝動みたいなものが蘇ってきました。

私ごとではありますが、当時36歳女子の覚悟と決心の神山移住ストーリーを読んでいただけますと幸いです。(笑)

しずくギャラリーの看板猫大好きなすずりとショップカウンターで

会社員時代に抱えていたモヤモヤ

私の生まれは埼玉県ですが、父の実家が徳島県のため、小学校1年生の時に引っ越して来て以来、阿南市という場所で育ちました。
阿南市の人口は、7万人(神山は4600人)。田舎ながらコンビニ、大型スーパー、本屋さん、レンタルビデオ屋さんもあり、暮らしに不便はしませんでした。

移住前も阿南市で会社員をしていました。大きな不満はないものの、忙しい仕事に、残業の毎日・・。働いた分、何かで補いたい。お給料が入っては、大して必要でもないモノや食べ物に消費する、そんな日々を繰り返していました。
ふと、「自分はなんのために働いているのか」と思い、いつの間にか仕事をするために生きている、ような感覚になっていました。
大袈裟にいうと人生をさぼっているような。。
本来生きるための仕事のはずが、逆転している事に気が付いた私。自分が本当にしたい事を見つけたい、そう思って探し続けていると、in Kamiyamaというサイトでしずくの求人を見つけました。

しずくで働くと決めたワケ

求人の内容には待遇等は明記されておらず、しずくの器の写真と“求めている人”の欄には「一緒にプロジェクトを作りたい方」「看板猫がいますので、猫アレルギーではない方」と書いてありました。(笑)ここはどういう会社なんだ?!と興味が湧き、そこからしずくについてたくさん調べました。

しずくの器の美しさしずくの器の美しさに惚れた写真

代表の廣瀬や主任の渡邉の記事を読んでいくと、自分たちのしている事になんだかとってもわくわくしているように感じました。それと同時に今だけじゃなく、未来を考え、与える事を常に考えているなぁと。

私もまさにこれからの人生、わくわくしながら、未来になにか残せるような仕事がしたいと思っていたのです。

ここだ!と直感的に感じ、応募することに。初めての面談では、廣瀬・渡邉としずくのショップで1時間半ゆっくり話しました。
「どういう事ができますか?」とか、そんな話よりも「佐坂さんってどんな人ですか?」と、“人となり”をじっくり聞いてくれ、私が今まで経験した面接とは全く違うものでした。

その後、「お食事をしながらざっくばらんに話しましょう!」と連絡があり、たくさんの話を重ねるうちに、働き方についても話が及び…。

「毎年5月には1ヶ月休暇を取っていてね。アイデアはアウトプットばかりしていたら空っぽになってしまうから、インプットする期間として全員で休みを取っています。人生の貴重な時間として自分の時間もそれぞれ大事にしてほしいから。初夏の神山は気持ちがいいよ!」

自分がしてきた働き方とは全く別の世界。
求人を見つけた時から、こういう人たちの側で仕事が出来たら、自分の人生に何かプラスになるような気がすると思っていたことが、「やっぱり間違いない!」という確信に変わりました。

こうしてしずくの一員として働かせていただける事に。神山しずくで働く日々がスタートしました。

悩みに悩んだ神山での住まい探し

しずくで働くと決まった時点で、私は神山町で暮らすと決めていました。
しずくの器は神山町産の杉。間近で山の変化や空気を感じて、私の言葉でお客様に届けたいと思っていました。

さっそく家探しを始めると、すぐに「すみはじめ住宅」というお家を見つけました。神山町で暮らしたくても入居先が見つからない人向けに、最大1年半の期間限定で貸してくれるお家です。町の事業として、綺麗に修繕し貸出しをしています。

そしてもうひとつ、築60年ほどの古民家も見つかりました。ここはすみはじめ住宅と比べると、改修もされておらず、建ってそのままというお家でした。

どちらにしよう、、すみはじめ住宅はいつか出ていかなくてはいけない・・今このタイミングで古民家が見つかっている!また、せっかく田舎に住むのだから自由に使える広いお家に住みたい!そう思った私は、築60年の古民家に決めました。

古いからこその問題も色々あった家ですが、窓を磨いたり、キッチンを出来る範囲でDIYしたり、好きな花を植えたりしていると、だんだん自分色の家に変わり、最近は自分の「帰る居場所」に。
いつの間にか、家に帰ってきたらホッとする感覚になっていました。

道端の花せっかく一軒家に住んでいるのだからと、植え始めたお花たち。毎朝、花を眺める時間が日課になっています。

1年暮らして気づいた自分の気持ち

当たり前だと思っていた日常が、そうではないと気づかされた神山生活。

給湯器を付けてもらい引越し後、初めてお湯が出た真冬の日。原因不明の停電で困った私を見かねて、ご近所さんが助けてくださり、ようやく電気が点いた瞬間。ひとり暮らしの家に、母がご飯を作って待っていてくれた夜。

人は1人では生きていないんだ、と改めて感じ、そして私は1人では何もできなかったんだ、とも思い知らされました。
支えてくれている周りの友人、家族、スタッフや地域の人たちに対する、日常的な感謝の気持ち。移住をしなかったらここまでの気持ちは一生気付けなかったかもしれません。

同時に、お金で得たエネルギーは一瞬で終わってしまうことが多いけれど、人や自然から貰ったエネルギーはずっと持続することにも気が付きました。
今、私の源はたくさんの人や自然からいただいたエネルギーで溢れています。このエネルギーを少しでも多くの人に還元できるように生きていきたいと思う自分がいます。

慣れるというのは良い事もありますが、同時に麻痺してしまう事でもある。
この1年の出来事とこの気持ちは、一生忘れないようにしようと心に刻みました。

もうすぐしずくでは「伐採・製材」作業が始まります。
黙ってそこにあるけれど、当たり前ではない自然の恩恵を受けて私たちの仕事は成り立っています。
今日も神山の山を眺めながら、未来の自然を守るために、これからも「しずく」の一滴を広げていきたいと思います!

杉皮剥き昨年の皮むき作業の様子。今年もがんばります!