地震で壊れた子を直したい

以前、20代の息子さんからぐい呑みを贈られたご夫婦から、「大阪府北部地震の時に欠けて使えなくなったけれど、どうしても捨てられない」という相談を受けました。それも、ぐい吞みがきっかけで、神山に出かけてみようというご旅行中のご来店。

職人に相談し、金継ぎという技術で修復に挑戦。欠けた部分やヒビは漆で補修し、その上から金粉でコーティング。使用に問題のない小さなヒビは敢えて残し、歪んでしまった底は、平らに削り拭き漆を施しました。
クリアコーティングの鶴ぐい吞みですが、お酒を飲んで傾けると、底部は亀シリーズの仕上がりがチラリと見えます。

お客様からは「息子からの記念の品に対し、またひとつ思い入れが増え、さらに感慨深いぐい呑みとなりました。一生の宝物として大切にしていきたいです」とお手紙が。

とても嬉しく、大切にするということの意味を改めて教えていただいた出来事でした。